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(5) 続、 世界は転がり続けるの巻〜ある夏の一コマ

ベルギー・ブリュッセル郊外の農家視察と、日本の出資で建てられたベルギー王立農業試験場の除幕式に出席した若き日本の農学者3人は、海斗とサンドラット夫妻とベルギー内で数日間行動を共にした。         
ベルギー滞在に続いて、日本と古い関係にある隣国に5人で移動し、首都アムステルダムから10km離れたスキポール国際空港に到着する。   
オランダ政府から招かれた5人は、空港ロビーに出ると政府関係者と数組のマスコミに囲まれる。ブリュッセルでの事件の後、EUから親善大使に任命された杜海斗は、杜大統領の4男にあたり、行方不明の母、金森元首相の次男にあたる。海斗の妻、イタリア人のサンドラットと、農学者3名は大統領の孫で日本の国立の農業研究所の遺伝子学のホープだとニュースで説明がされる。  
「昨年まで、ブリュッセルの大使館にEU大使として勤務していた柳井太朗さんが杜大統領の長男にあたり、そのお嬢さんがイタリア人母との間に生まれたフラウ・ヤナイ研究員で、杜 茜 研究員と遥 研究員は双子姉妹でセリエAで活躍する次男の杜 火垂さんのお嬢さんとなります」とアナウンサーが間違えないように紙を見ながら説明していた。

明治28年 西暦1896年、日蘭通商航海条約締結から来年で145周年となるのに合わせて、干拓地の海水排水施設に海水浄水システムと海水中の二酸化炭素を除去し、アンモニアを生成するアンモニア製造プラントの建設着工式典に、阪本首相の名代として参加するのが今回のオランダ入りの目的だった。  
政府の施設に到着すると、昼食会を兼ねた歓迎会が開催される。オランダの農水省や環境省の役人達から、3人の農学者が品種改良した早生小麦や綿花を賞賛される。また、3人が干拓地へのシステムプラント建設の必要性を提言した論文が発端となってシステム導入が決定した事に、内閣総理大臣賞をオランダ政府から授与される。海斗がベルギー王室から叙勲を受け、姪達のバランスを配慮した感は否めなかったが。
会ではモリの子孫を丁重に扱う姿勢をオランダが見せる。今回のプロジェクトをきっかけにして、オランダもEU内の親日国に加わるつもりでいるのかもしれない。          
 国際政治を大学院まで学んでいたサンドラットは冷静に分析する。オランダ政府のもてなし方が、ベルギーのものよりも上回るフシが所々で垣間見られる。ブリュッセル滞在中のイベントを隣で見ていたかのように洗練されていたからだ。
1830年に分離独立した隣国には負けないという自負なのだろうか。サンドラットの会社でオランダ企業の食品やウサギのキャラクターの販売をしませんか?と産業省の役人がさり気なく提案してくる。サンドラットの幼少時にディック・ブルーナ氏の絵本に夢中になり、ミッフィーのぬいぐるみをリュックにして背負っていたのを何処かで調べたのかもしれない。素直に受けようと考えたが、ディック・ブルーナ・ジャパンの社長までアムステルダム入りして一行を出迎え組に加わっていたのは興醒めだったが。          

「おっかしいなぁ。折角の夏休みなのに、なんで仕事なんかしちゃってるんだろ・・」茜が日本語でつぶやくと、遥とフラウが両側から肘で茜を小突く。                 

アムステルダム市内の日本大使館の日本製ロボット・サクラが、5人と日本の2人の大使達と共に会場入りし、来場者向けにAI同時翻訳サービスを提供しているので、茜の呟きが各国語に自動翻訳されてしまう。      
「彼女達はSummer vacations中なのか。そうだろうな、年齢的にまだ子供だもんな」と参列者から失笑の声があちこちで上がる。茜が照れくさそうに失敗を取り繕うように笑うが、自分の呟きが既に拡散しており、後の祭りだった。    

AIによる自動翻訳サービスの無い平成 以前、日本の政治家や大企業の社長が自身の失言がメディアにより拡散した後、問題視される事が何度もあった。
「本意とは異なる受け止め方をされた。当然ながら、そんな主旨で発言したつもりは無いのは言うまでもない。それでも、私の発言が誤解を生み、不快を与えたのであれば陳謝したい」と言い繕い、全く意味の分からない弁明やイイワケでお茶を濁して終わってしまう。そんな浅学の徒が国の議会で国の行く末を論じているのだから、末恐ろしいものがある。            
世間知らずな島国の民の言い草、もしくはムラ社会ならではの妄想的な思考が生み出す身勝手な発言でしかなかったのだが、公の場に限らず私的な場でも、その種の発言を数多く耳にする時期が嘗ての日本にはあった。国際社会の状況を理解せずとも、日本の地方のムラ社会の代表者や、頓に著名人となった者たちが安易に議員になれた時期が存在したとも言える。
企業経営者達も然りで、島国の一部の地域だけで販路を得れば、一定の企業条件を満たす売上を確保できた。日本人が狭い国土で過密した状態で暮らし、一人辺りで相応の購買力を持っていたからだ。

地方出身の有力者が中央政界を牛耳る構図が日本で確立し維持されたのは、明治政府が薩長政権で構成されたからだ。薩長閥を維持するために出身者達による縁故採用や世襲制が色濃く残り続けた成れの果てが、平成まで続いた自民党政権だった。     
「失言癖のある、世間知らずな人物」とマスコミがカテゴライズしてフォローしていたのが首相経験者の議員という、今の日本ではとても考えられない、失笑ものの人選が嘗ての与党内ではなされていた。首相としての資質や能力は一切問われず、単に与党内派閥の勢力争いが重要視された。失言を連発しても、国際社会における日本の政治家は未開地の蛮族の酋長のように軽く見られていたので、発言自体を糾弾される事は無かったが、ナチス寄りの発言等の不適切な国際問題や、人権侵害発言に及ぶと流石にマスコミも無視できなくなり、海外メディアも日本部族の酋長を糾弾し始める。それでも意味不明な弁明をすれば、失脚もせずにポジションに居座り続ける事が出来たのも、今では昔話となった。        
公の場、オフレコ発言でもひと度、日本の政府関係者が不用意な発言を口にすれば、世界中に発信される時代へと代わった。         
平成までは極東の島国でしかなかった日本が、世界をリードする国家となり、政府の方針、国の将来性を始め、あらゆる分野で世界から注目を集める立場となり、公職に付く全ての日本人が軽口を無暗に出来ぬようになった。相応の役職を担う人材は「社会的な制裁を受けるかもしれない」という危機感を常に抱きながら発言をする必要を求められ、思想を含めた身体チェックは徹底的に、そして定期的に行われる。結果的に、日本政府は強固な組織へと進化を遂げた。       

今となっては有り得ない話だが、もし令和以降でも自民党政権が続いていたと仮定してみる。
2040年迄に、日本国憲法が改憲され、日米安全保障条約は依然続いており、駐留米軍への思いやり予算も含めた防衛費は年額7兆円を超えた。消費税率が20%を越えようというのに奇跡的に社会党政権と同様に第三次経済成長が継続し、日本が世界をリードしていたとしたなら、失言大臣やオツムの悪い元首相達は引退に追い込まれ、大企業の社長は須らくクビになっていた筈だ。    

「日本が三流国家だから、あの程度の政治家であり、経済人なのだ」と平成期までの海外メディアは日本のトップ層の実態を分かっていても、記事にすらしなかった。日本に関する記事を書いた処で、世界中の読者は日本に関心を抱いていなかったし、仮に記事にした所で扱いも小さくなり、読者も記事のタイトル名はチラ見したかもしれないが、記事の内容自体は読み飛ばしていただろう。しかし、経済成長を遂げていれば世界からの視線は厳しいものとなる。2020年代に、中国政府を快く思わない世界中のメディアを思い起こすと、想像できるかも知れない。中国と同じような奇々怪々な日本の政治と議会を取り上げる記事が状態化しているだろう。       政治家と経済人の異世界のような発言の数々が、前世紀の遺物であるかのように拡散する。G7だから、西側陣営の一員だから、と日本が主張した所で、欧米の人々の理解は得られずに中国と同じような扱いを受けていたかもしれない。        
 大統領や首相の発言が絶えず求められる国ほど、あらゆる事が上手く行かずに問題山積の国であったりする。ここでも平成の日本政府を思い起こすと分かり易い。            
いつまで経っても国内外の諸問題が解消されず、困窮した経済情勢に加えて、生活物資とエネルギーの高騰が加わり、社会保障制度の危うい国家の近未来像が現実味を帯びる国では、無能な政治家による愚政を叱責するかのように記者達が首相、官房長官に問いただすのが常となる。   
状況を打破する新たな人材が現れるのを記者達が願いつつ、うだつの上がらない首長に質問を投げかけ、インタビューを求める。しかし、官僚、役人依存率の高い無能な政治家から返ってくる返答は極めて抽象的なものでしかないし「最大限の努力をする」「異次元の対応策を練る」「躊躇なく支援を行う」とその場では前向きな表現は使うものの、出て来る政策は甚だ実効性に乏しく、実態に即した現実的なものではなかった。ー国のリーダー、スポークスマンである官房長官からして口先ばかりで、自らの発言を政策実現に向けて一向に進めようとしない。異次元レベルであるのは、妄想しか生み出せないリーダー達の頭脳であり、そんな凡庸な頭脳が想像する対応策や支援は陳腐なものでしか無い。愚かな政治家の妄想や法螺話は官僚達によって即座に修正され、実効性に乏しい骨抜き施策に変更され、何が「異次元」で、どこが「最大限」なのか全く分からない内容となる。             
アドバルーンを上げてまで国内外から注目されたいのなら、本来であれば政治家としての資質を備えなければならないのだが、薩長閥の流れを汲む世襲制が依然として存在する自民党議員には不可能だ。そもそも薩長の武家出身者は指示を閣僚や部下に出すだけで自分で何かを手掛けようとはしない。          
「異次元レベル」の政策や制度が本当に実現可能なモノなのか、じっくりと練り上げた上で発言するのが本来の姿なのだが、公の場で軽々しく美文を口にする国家の首長に、やるべきことを全くやらないリーダーに、従う者が果しているのだろうか?というお粗末な内閣、政府でしかなかった 国家首長の記者会見を定例化する国ほど、首長の国民支持率は低い傾向にある。平成までの日本の首相のように、公共放送の7時のニュースの時刻に合わせて、実現もしない政策や方針をプロンプターに表示された文言をただ読み上げるだけの、全く無意味なママゴトのような「発表会」をし続けたが、何一つ実現もしなければ、何の成果も出ないので、内閣の支持率はだだ下がりとなる。
平成までの日本に限らず、低迷している国の首長は会見を政権支持率復活の材料に使おうと考える。会見以外にも必要以上にメディアに取り上げられるように画策し、実現出来もしない机上の空論を軽々しく口にする。実現に向けて政府を統括できるだけの才を持つ首長であれば良いのだろうが、会見をする度に支持を失ってゆく国の方が世界の大半を占める。日本がどちら側だったのかは言うまでもない。    
「出来ない事」ばかりが積み上がってゆくのが関の山。全ての問題が先送りがされるだけとなり、新たな課題を何処からともなく引き摺り出してくると、再び美辞麗句を散りばめて対応を表明し続けるだけのホラ吹き首長となる。   
 茜、遥、フラウの祖父や祖母達が発言の場を必要最小限に留めている背景には、日本連合を取り巻く世界環境が変化した事が左右している。  
ベネズエラ国民から圧倒的な支持を集めている政府、内閣を例に上げると、国のリーダー達は国民に向かって饒舌に発言をする必要が無い。性格的に目立ちたがり屋の人物か、もしくは独裁政治に焦がれる、自身の発言に自己陶酔する時代錯誤の御仁であれば、演台に登壇したがるのだろうが、そもそも目立つのが嫌いなベネズエラ政府の首長、大臣達は、必要以外の会見を無闇に行わない。政府のメッセンジャー役である官房長官と報道官、それに政府広報がHPやSNSで発信すれば、十分事足りる。本来、自国の政府に満足している国民は、国に対して不満を抱かない。且つ、現体制の継続を願い、変化を求めない。強いて関心があるとすれば次の首長や企業トップの後継者が誰になるのかを一抹の不安とする位だろうか。しかし、ベネズエラも日本も北朝鮮も、欧米の老いたトップと比べれば、政治家としてはまだ若いリーダー達なので、国民は変化を求めていなかった。

自国の首長や政治家、経済人に問い質すのが習慣になっているのかもしれない。 
欧米の記者がベネズエラ大統領へのインタビューを申し込んでくるのだが、湾曲に断り続けていた。「当社の取材を受け入れた!」と形容されたくは無かったし、特定のメディア会社や記者のポイントを上げるアシスト役になりたくはなかった。日本の潰れた公共放送と民放企業に首相寄りの記者達が居て、政権の都合の良い情報発信源として活用した事実を、目の当たりにしたからだ。あんな連中の猿真似など、したくはなかった。国が栄え、民が喜んでくれれば、それだけで満足だった。                
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3人娘の叔父に当たる、EU親善大使 杜 海斗が原稿も持たずに演台に上がる。姪の一人、杜 遥がPCを操作してプレゼン資料を会場の巨大なモニターに表示する。 
この資料を作成したのは日本の外務省の欧州セクションの担当者なのだが、スピーチ内容を考案したのは海斗本人で、外務省のオランダ担当者はスピーチ内容に即して資料を作成したに過ぎなかった。両親の血によるものなのか、モリ・カイトの卓越なプレゼン能力と達者な英語に会場のオランダの人々も、日本の吾妻EU大使も里海オランダ大使も、一様に驚いた顔をしている。      金森元首相のスピーチにどことなく似ていると思っていると、聴衆の反応を見極めるように適度な間を置く。サッカー選手なのに一体どこで身につけたのか?と誰もが思いながら、知らず知らずのうちに海斗の演説に、人々は魅了されていった。

「・・海面上昇が起因となり、南太平洋諸国では島への侵食活動が進み生活の場が奪われています。アムステルダムに近い干拓地も、同様に海水面の上昇による被害が広がり、耕作に不向きな干拓地が年々増加していると伺っております。  我が国と同盟関係にある中南米諸国連合は、南太平洋諸国の中でも水没の可能性が高まっているツバル共和国に対して、カリブ海の島を提供し居住していただくのと同時に、ツバルの島の浸食を食い止めるためにチタンブロックで島の周囲を囲み、海水浄水システムでブロック内の海水を吐き出すのと同時に、海水中のCO2からアンモニアを生成し、浄水と分離した海水中の塩分からミネラルウォーターと塩の販売と、アンモニアエンジンで稼働するモータリゼーションに島内を変革しました。この変更により食料品を例外として、諸島国家内で事足りるようになりました。中南米諸国連合は、この海水浸食防止策を「ツバルモデル」と称しておりますが、この度、貴国の干拓地でも同モデルを検討され、導入をご決断された事に対して心より称賛申し上げます。     

1896年に締結された通商航海条約締結以前の江戸時代から、我が国は貴国との交易を行って参りました。残念ながら、第二次大戦では貴国の植民地だったインドネシアで、双方の軍勢が相対する場面もありましたが、近代の大半の時間を通して、良好な関係が維持できたと考えております。特筆すべきは長崎の出島での交易でしょう。我が国がサムライの国だった江戸時代の大半は他国との交易を避けて鎖国をしておりました。長崎に出島を構えて貴国とのみ貿易を継続し、欧州の最新技術と文化を貴国から学び続けて参りました。   

我が国が初めて太平洋横断に成功したのは、貴国製の帆船ヤーパン号、日本名・咸臨丸でした。横須賀の浦賀からアメリカの西海岸に到達できた背景には、咸臨丸の船としての完成度もさることながら、日本沖あいを漂流中に保護して送還中のアメリカ船員による操船術、航海技術があったからなのです。そもそも、我が国には大海を横断できる帆船も操船技術も何一つとしてありませんでした。と言いますのも、当時の中央政権である江戸幕府は日本の各地を統率している大名に対して、大型船の建造と所有を禁止しておりました。何故大型船の建造を幕府が禁じていたかといいますと、大型船であればあるほど、積み荷の量が増え、舟当たりの利益が大きくなると判断したからです。また、鎖国とは言っても、南部の地方の藩には中国と朝鮮半島、琉球王国、今のオキナワですね、それと北部の藩にアイヌ族と後方のロシアとの交易を認めておりました。しかし、諸藩と近隣国の交易量が増加して、地方勢力が中央政府以上に軍備に備えるようになっては甚だ具合が悪い。そこで諸藩が力を蓄えるのを避けようと考え、大型船の所有を認めなかったのです。そんな小型船舶の操船技術しか無かった国が、日本とアメリカの西海岸を往復したのです。アメリカからの帰路は日本人乗組員だけによる操舵、操船となりましたので横断した実績は一応得たのです。
補足しておきますが、鎖国状態故に航海術も周辺海域向けの極めて限定したもので事足りましたが、太平洋のような目印のない大海原に、いきなり日本人乗組員だけで挑むのは無謀であり、不可能だったのです。私が子供の頃、教科書には太平洋横断に成功した勝海舟という人物が偉人として扱われていました。実際は船室で船酔いに苦しんでいただけなのですが、後年になって江戸城の無血開城の立役者となったので、船酔いの事実は覆い隠されてしまいました。日本の歴史教科書は事実改竄の巣窟だと、社会科の教師だった父が、口癖のように言っていたのを思い出しましたので、その一つをご紹介させていただきました。  

さて、武家社会の日本が近代文明を自ら隔絶して鎖国の道を選んだ理由が、武士による統治、封建体制の維持でした。取り分け、キリスト教の教義がヒトの平等を唱えていることから、狭い島国での布教を中央と地方を統治する武士達が恐れたのです。貴国との交易を継続出来た背景には、貴国がキリスト教の布教を日本で行わないと約束してくれた唯一の国だったから、なのです。
農民や民衆の蜂起を「一揆」と呼称していましたが、民衆蜂起に懲りた武家政権は、民が民主主義の概念を身につけるのを極度に恐れていたとも言えます。とは言え、オランダ、中国、朝鮮、琉球、ロシアとの間接的で限定した交易を除けば、一切海外とコンタクトしない鎖国政策が200年もの間、継続しました。政策をいつまでも続けていれば、欧米との社会格差は益々広がるばかりです。因みに、この200年間は世界から致命的な遅れを引き起こす時期と重なってしまいます。
大航海時代は既に終盤を迎え、英国で産業革命が起きて工業化が加速し、貴国をはじめとする海洋国は既に海外進出を軌道に乗せていたのですから、必然的に日本との格差は膨大なものとなりました。この格差の存在すら、日本の大多数の人々は把握していませんでした。長崎の出島で貴国から齎される世界の情報は、一部の幕府の高官以外は知らされず、日本人は世界の状況を全く知らずに日々を過ごして居たのです。      
そして遂に、日本の鎖国政策が大きく変わる事件が起きます。江戸時代の後期に状況が一変したのです。日本の隣国の中国で、ほんの数隻の英国艦隊との間でアヘン戦争が起こり、帆船の艦砲射撃で、僅かな手勢でしかなかった英国が短期間で勝利を収めたのです。           
強大な筈の清王朝が、僅か数隻の帆船に屈して多額の賠償金を支払ったという情報は、独特な閉鎖社会を形成していた日本に驚愕を齎しました。鎖国政策現状維持派と開国派が自論を掲げて論争し合うようになります。幕府は同時に国土防衛の動きを急がせる事になります。      
中国の敗戦を明日は我が身と悟った日本地方のサムライ達は、貴国を介して欧州の先端技術を求めるようになります。もはや日本刀と火縄銃で勝てる時代では無いと、遅ればせながら察したのです。先述しましたように国内勢力の勃興を阻止するために、小型船舶の建造しか出来ない状況だった為、貴国には帆船の提供と建造を打診しました。                    やがて1868年に武家政権が崩壊し、欧州の技術取得を目標に掲げた日本の近代化がようやく始まります。日本の体制が大きく変更するのに対し、貴国とのパイプを持っていない国家だったなら、一体どんな国になっていただろうと考えると、ゾッとします。列強国は中国よりも脆弱な日本を、いともたやすく制圧していたかもしれません。
その後 時代が進み、私の母である金森鮎が首相となってから状況が一変します。好景気が齎す、多額の税収で資金を得た日本政府が先端事業に優先的に投資を続けていたのは、皆様もご存知の通りです。冒頭でご紹介いたしましたエコ・アンモニア生成技術とアンモニア駆動車両の開発は我が国オリジナルの開発となりました。     

貴国の一隻の帆船、リーフデ号が我が国の広島東部の備後を初めて訪れた西暦1600年は、日本では天下分け目の戦いと称して、2つの武家勢力が日本国内の覇権をかけて戦っていました。秀吉亡き後の豊臣家と、後に幕府を作る徳川家康との最終決戦ですので、貴国にとっては実に間の悪いタイミングだったと申し上げるしかありません。海外の国との交易を考える余裕など、無かったと推察しております。リーフデ号の寄港から440年が経過して、貴国への恩返しがようやく出来る環境が整いました。            

 EUの親善大使に任命された直後に、このような栄えある場にお招き頂けた事に感謝しつつ、農学者のモリ・アカネにバトンを託します。彼女の方から、干拓地の再活性化に関して具体的な手順や方法のご説明をさせていただきます。 

皆様、本日はご清聴ありがとうございました」 海斗のスピーチへの拍手が続く中、海斗の後方で椅子に座っていた茜が立ち上がり、海斗とハイタッチして役を変えた。     
演台に立った茜も海斗も、この日はモリ兄弟のブランドのネイビースーツを纏っていた。モリ大統領がメディアに登場する際の定番の姿となっているが、モリ家としての一体感をさり気なく醸し出していた。          
農学者としてプレゼンを始めた茜は、オランダ開拓事業の功罪について触れ、干拓地のすべてが活用出来なくなりつつある現実に触れてから、数倍化する海水排出量後の土壌改良方法の説明を始める。また、干拓地内の耕作放棄地が野生動物のサンクチュアリとなっているが、観光地化に伴い、餌付けされ、人間の味覚を知った鹿やキツネ等の動物が増えるなど生態系のバランスが狂い始めていると指摘する。
キプロス島で国連軍のロボット部隊が鹿や猪を狩ったように、鹿やキツネを間引くタイミングなのかもしれないと説明する。   
オランダの議会で干拓地での生態系のバランスを取る為に捕食動物となる狼の導入を議論し続けているのを念頭に置きなが発言する。     

 「干拓地みたいな海面以下のフラットな土地に狼を放つだなんて、どこの世間知らずの発想なのかしら?干拓地とアムステルダムとの間に高い山なんてないんだからね。市街地に狼がなだれ込んでもいいって思ってるの?」と内心では思っているが、ロボットによる間引き討伐のメリットの数々を述べてゆく。          
茜が強気に出れたのも、中南米軍のロボットが世界各地で成果を収めていたからだ。    
キプロス島の鹿や猪の駆除は有名な話となったが、カナダのサスカチュワン州に展開中の中南米軍のロボット部隊に対して、州警察から、とある対応の要請が届いた。  
サスカチュワンを始めとする3つの州がカナダからの独立を目指しており、中南米諸国が間接的な支援に乗り出していた。改良小麦・大麦で、異常気象で大幅に減少していたサスカチュワン州の小麦、大麦の生産量を史上最大の穀物高にまで引き上げ、世界3位の石油埋蔵量を誇るアルバータ州のオイルサンドの精製コストを従来の1/6とし、原油安の市場でも採算が取れるレベルに仕立てた。ケベック州も含めた3州が独立するのを是としないカナダ政府が、治安目的で陸軍を3州に派遣しようとしたのだが、既に中南米軍のロボット部隊が州境に配置されており、カナダ軍の派遣を牽制し続けている。         

サスカチュワン州議会は、キプロス島での狩猟映像を見たのだろう。「ロボットでグリズリーを追い立て、囲んで銃殺して欲しい」と、中南米軍に要請してきた。           
街に繰り出し、ゴミをあさリに来た熊を市民が猟銃で狙撃し、報復されて殺される事件が生じた。以降、通行人に大けがを加えるケースが立て続けに起こった為に。、駆除を要請してきた。キプロス島の国連軍のロボット部隊の鹿の狩猟映像を念頭に置いて、作戦要請してきたのかもしれない。しかし、ベネズエラのロボットは日本製ロボットとは能力が異なる。州警察が考案した複数体のロボットによる袋小路作戦ではなく、
「ロボット1体で十分です。即座に仕留めます」と、ハイチ人のシラン中佐、カナダ駐留部隊長が返答する。           
中南米軍は州警察から街の監視カメラの映像を入手し、巨大熊の個体の特徴や行動パターンの識別を行うと、大型ドローンに乗ったジュリア1体が、高度1500mの上空で活動に入った。これだけ上空に上がれば、プロペラの音は地上に届かないので、熊が頭上を見上げる事も無かった。
地上の監視カメラが州警察が熊の居場所を特定すると、ドローンに現在の熊の居場所を伝える。位置情報を受け取ったドローンは現場に急行し、現場付近で更に高度を2000mまで上げて、プロペラ音が一切届かず、視力の弱い熊には悟られぬ高度に留まった。ドローンの荷室でうつ伏せ状態に固定された状態のジュリアの両目が、下界の熊を補足し始める。                熊までの距離、現在の風力を加味して弾頭の補正計算を始めて、計算が終わるまで1.8秒だった。外出禁止令の元、通りには熊一頭しかいない路上に、ベネズエラ製のロボット部隊専用狙撃銃V21が1発の弾丸を放った。                    地上の監視カメラを見ていた警官達は突然の出来事に動揺する。道をのっしのっしと4足歩行していた熊の頭が1瞬のウチに吹き飛んで横転する。だ。熊は何があったか分からないぬまま絶命したと分かる映像だった。       
「1マイル以上も上空から、たったの一撃だと?・・信じられん・・」人間のスナイパーによる有効射撃距離は600m以内とされている。その2倍以上の距離で一撃で仕留めたので、ライフルの照準器の性能、ロボットの並外れた射撃能力が明らかとなった。今回は狙撃銃だったが、更に強力な火砲力のある兵器を使えば建物であろうが粉砕出来るという話だ。戦車も装甲車も頭上からの攻撃に備えて設計されていない。    

「中南米軍は凄腕のスナイパーを空中に配備できる。夜間なら誰にも悟られずに済むだろう」蒼白な顔をした警官達が意見を交わしていた。  

話は陸上だけに留まらない。
メキシコの海洋リゾート地であるカンクンにホオジロザメ数体が現れて、海で遊んでいた数名が被害に遭った。メキシコの海上保安庁と近隣の漁船が沿岸での遊泳禁止を喚起し続けたが、リゾート地なだけに地域の観光業界から、軍に対してホオジロザメの捕縛要請が出された。  
「海洋型モビルアーマーで人喰いザメを叩き殺して欲しい」と。           
中南米軍メキシコ部隊は試作開発中の5mサイズのムーンウォーカーの改良機、水陸両用モビルスーツの使用を決定する。カンクンのビーチ沿いにマグロの内臓の入った袋をぶら下げた仮称アースウォーカーを5km置きに配置し、待機させた。マグロの血を察した大小様々な魚が集まり出すが、AIは全長10mを超えるホオジロザメ以外には見向きもしない。マグロの血が辺りに広がり魚で視界が遮られてもAI補正で映像の対象から排除してしまう。ただホオジロザメを特定捕捉することだけに集中する。アースウォーカーのソナーが巨大なホオジロザメを捉えると、5体のアースウォーカーがホオジロザメを中心にして球体で囲むように移動を始める。水中推進力はバックパックと脚部のスクリューとなる。地球上の水性生物で最も早いバショウカジキが時速90km,ホオジロザメは40kmに満たない速度だが、試作中のムーンウォーカーは210km/hで、動力源は核熱モジュールなので速度維持が可能な距離は「ほぼ無限」だった。
決してホオジロザメの捕縛用に開発された訳ではないのだが、スペック上は絶対的に優位にあった。ホオジロザメから離れた場所にいる4機のアースウォーカーの撒き餌のマグロを海上のボートが引き上げるとホオジロザメに感知されぬよう4機が連携を取りながらターゲットを囲い込んでゆく。

動態認知小型魚雷を使えば即座に駆除出来るのだが、駆除の映像を収録したい中南米軍はアースウォーカーの両手の破壊力に依存する方針を固めていた。撒き餌に近づく巨大なホオジロザメを察して、周囲の魚が一斉に散ってゆくと撮影が始まった。ホオジロザメからすれば、5m程度で自分よリも小さなモビルスーツを警戒もせずにゆっくりと近寄ってくる。 
アースウォーカーが近づくサメに水中銃を構える。発振器付きの矢じりをホオジロザメに打ち込むためだ。ソナーの捕捉精度がより確実なものとなる。ここで強力な麻酔銃でもあれば良いのかもしれないが、本来の用途とは異なるので開発していない。クマの殺生の映像の公開と共に、動物愛護団体から要請が来るのかもしれないが。   矢じりを右腹の下部で受けたホオジロザメは、痛みを感じたのか慌てて反転して沖に逃げてゆく。速度で勝るアースウォーカーは既にサメを取り囲んでおり、5体のアースウォーカーが時間差で波状攻撃を掛ける。敵潜水艦を破壊するイメージを重ねていた。
アニメのモビルスーツ、バンシイのように手のひらの上部から粉砕破壊腕部が出てきて、高速移動しながらサメの各部を千切り、横腹に穴を開けてゆく。仮に波状攻撃対象が潜水艦であれば、潜水艦からは至近距離過ぎるので近寄る相手を攻撃できない。潜水艦の通常魚雷の初速は100km程度なので,300km近いドイツ製の超高速魚雷以外であれば、アースウォーカーは楽々逃げ切ってしまう。潜水艦自体が100km/hの速度で航行出来ないので、結果的にサメと同じ様に破壊され、切り刻まれてしまう。全長20mを超える海洋型モビルアーマーではソナー感知される可能性があるが、5m丈であればサメや大型マグロ、シャチの群れとして誤認される可能性もあれば、海中の至る場所に隠れて待ち伏せする事もできる。     

クマの殺戮シーンに引き続いてのサメへの残虐行為となり、グリーンピースのような環境団体、自然保護団体が訴えて来るかもしれないが、中南米諸国連合は日本同様にクジラを捕食するので、彼等の主張に意を介さない。仮に環境団体が武力行使に打って出てきたとしても、正当防衛を行使して、相手にすらならないまま撃退されて終わるだろう。      

また、カナダ、サスカチュワンでのロボットの射撃能力の理由が、たまたま同時期に投稿されたある動画で分かるという話がSNSで世界中に拡散し、爆発的な視聴回数を誇っていた。    
杜家と柳井家の夏休み前半、フィリピン・エルニド海域の無人島で撮影、編集された動画だった。ロボット・ジュリアの射撃の腕前を捉えた映像が杏によって撮影され、編集されて公開されていた。カナダのグリズリー討伐の「後出し」となり、補足説明映像のようになってしまった。  

島の内陸部から帰ってきた男達が、獲ってきた動物を浜辺に並べて、順に解体処理に取り掛かっている映像から始まっていた。
野生化した鹿と豚を木に吊るして、十分に血抜きをしてから解体し、海水で部位肉に付着した血を、柳井治郎、次期防衛大臣が海水でザッと洗っている。      
既に銃弾で殺めているので、生物の命が事切れる際の断末魔に立ち会う事は無いものの、5歳未満の男の子達にはまだ早計だったのか、大人達が作業している様を遠巻きに見ている。    
無人島滞在中の昼食は、島の白砂の浜辺での調理となる。この日は豚のブロック肉をバナナの葉で包み、掘った浜辺の穴に焼けて赤くなった石を敷き詰めた上に乗せて焼き、藁を入れて上から砂で覆うと海水を軽くかけて遠赤外線プラス蒸し焼きにする一品と、バーナーで毛を焼いた豚を、焚き火で炙り焼きするフィリピン料理「レチャン」を作っていた。          
湾内に浮かぶ客船内で食べる朝夕食は、裁断した肉を野菜と果物と炒めたり、煮たりして、子供達に解体の状態を思い出さないように努めていたが、島の浜辺で食べる昼食は子供達の大半が男の子ということもあって、昼は鶏や魚を焼いただけの野趣あふれる食事となっていた。
一方で、鹿肉は豚肉に比べて食べられる箇所が限られる。足の肉は筋張っているのでヒトが咀嚼するのに向かないので、破棄処分する箇所がどうしても多くなってしまう。豚の骨、内臓、魚の骨も含めて、毎日真空パックにしてドローンに載せると、中南米軍の食堂部門が提携しているミンダナオ島のペットフード会社と肥料会社に引き取って貰った。女性陣は部位として限られる鹿の肩ロースをひき肉にして、ハンバーグやピーマン詰め、ソーセージを作り、子供たちに分け与えていた。        
ベネズエラでの狩猟、カリブ海での漁が定例化し、食生活がサバイバル慣れしている杜家の状況に、柳井家一同が驚いている様は動画視聴者の反応と全く同じだった。モリのハンティング能力と解体時のナイフ技術を知る人は限られている。
柳井太朗と治郎の兄弟が見まみれになっているのに、モリは返り血を浴びずに、一人だけ涼しい顔をしているので「大統領はやっぱり何もしないんだな」と視聴者から勘違いされていた。   
しかし、動画では柳井太朗と治郎の兄弟はモリの射撃の腕前を絶賛する。陸軍帰りの祖父の狩猟に付いていって、見て覚えたというモリのスタイルは独特なものだと狩猟ライセンスを持つ視聴者から評価される。ハンティングマニュアルには書かれていないライフルの構え方を取っていると言う。モリが「祖父の構え方は全然違うんだ」と話していると、この日は別働隊の杏と樹里の姉妹とロボット達が帰ってきた。2体のロボットだけで17頭の鹿を捕獲してきた。ロボットの狩りの様子を撮影するのが姉妹の目的だった。早速、大人たちで映像を確認すると、ロボットとモリの射撃能力の違いを証明する様な映像となる。ヒトはライフルの照準器を使って獲物を狙うが、ロボットはライフルの照準器以上の能力がある両目のズームレンズが獲物を捉える。ロボットが視野に入れて分析をし始めると、ロボットが解析中のデータをロボットが見ている映像と共に樹里のタブレットに転送してきた。鹿の群れの速度、風向き、使用中のライフル性能と弾丸の速度、重さ等のデータが纏めて処理されて、数秒で射撃判定が出ると、ロボットのジュリアが1発の弾丸を放つ。丘から460m下の草原を疾走していた先頭の鹿が突然つんのめるようにして倒れる。5頭の群れが「何事があった?」と止まり、倒れた鹿の元に集まる。後ろ足の腿を射抜かれている鹿は、仲間に何やら訴えかけているようなのだが、2体のジュリアが続けて2発づつ弾を放つと、残りの4頭も前足か後ろ足を狙撃されて、蹲る。1体のジュリアが姉妹の護衛役として残り、1体のジュリアがフライトユニットを使って飛翔して、狙撃した鹿の頸動脈を斬りに向かい、5体の鹿の足をロープで束ねて、吊るしながらゆっくりと飛んできた。
鹿の首を刈る様は公開される事が無いものの、キプロス島に派遣されている日本製ロボットとの狩りの違いを如実に示したものとなる。ベネズエラ製ロボットは射撃能力に長けており、飛翔も出来る。日本のロボットは2手に分かれて追い立て役と待ち伏せ組に別れる。どちらもヒト以上の能力なのだが、ベネズエラ製の方が、戦闘寄りに比重を置いているのがよく分かる映像だった。   

「無駄な弾が要らないってこと?たったの5発で5頭纏めてって、一体何なのよ?」 妹の彩乃がモリに絡むが、大統領はやはり涼しい顔をしている。「必ずしも百発百中って訳じゃない。たまたま条件が良かったんだ。高台からの射撃で、草原を遮る樹木は皆無だろ?風も殆ど無かったみたいだしね。射撃距離はさすがに異常だけど、500m位なら、熟練した狙撃兵であれば狙える距離だ・・」ヒトが射撃するなら、ライフルを固定して更に時間を掛けて射撃前の十分な捕捉時間を必要とする。自分が射撃しても5頭全てには当たらない。せいぜい2頭ではないかと思っていたが、
この場ではモリは触れない。    

「なんかカイヅカ・イナホみたい・・」 
「アナリテイック・エンジンよね、まさに」  

サチとアユミのやりとりに、母親達が「なにそれ?」と言うような顔をして首を傾けている。アニメのアルノドア・ゼロの主人公の人工左眼なのだと言われても、モリも含めた年配者には何の事だかサッパリ分からなかった。 
ロボットの眼が望遠レンズと赤外線レンズに、画像AI解析能力を持つと、戦闘機や戦車の照準器に依存する必要が無くなる。狙った座標データだけを射撃能力を有する機体に転送するだけで事足りる。ミサイル発射、機銃射撃の為の兵器だけ搭載し、余計な電子機器を搭載せずに必要最小限に留めることで、機体のコンパクト化と軽量化を実現しているのが中南米軍の特徴だった。外観は自衛隊機と同じでも、中身はかなり違う。軽い方が旋回性能も高く、飛行速度も速い。      

カナダでグリズリーを一発で狙撃できた能力がこの動画で判明した、とされるのも当然だった。

(つづく)                 


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