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台北郊外の街「幸福」で、幸せを探してみる


台北の郊外に、「幸福」という小説やアニメに出てきそうな名前の街があります。今回は、ここで幸せを探してみたいと思います。
 
この街へ行くには、そのものズバリ「幸福」という名前の駅で降ります。
ウソのようですが、本当にあります。
信じてもらえないと思うので、駅の写真も撮っておきました。

黄色の線(環状線)に幸福駅があります
幸福駅

幸せの街を散策する前に、駅のトイレに行って、からだを幸せにしておきましょう。日本の駅のトイレよりもきれいなので、心も幸せになります。
 
はやる気持ちを抑えて、まずは駅周辺の地図を見てみましょう。駅前から川に向かって「幸福路」という道路があります。幸せがいっぱい見つかりそうな気がするので、まずはここへ行ってみます。

地図の真ん中にあるのが幸福路。北は下になっています

幸福路を歩きながら看板をを見ると、
耳鼻科も歯医者さんも「幸福」
しゃぶしゃぶも、そば屋さんも「幸福」
バス停も「幸福」
橋の名前の「幸福」
右も左も、前も後ろも「幸福」だらけです。
思ったとおり、幸せがいっぱいあります。

耳鼻科も幸福
歯医者も幸福
しゃぶしゃぶも幸福
そば屋さんも幸福

ワクワクしながら写真を撮っていると、通りかかりの人がみんな私のことをジロジロ見つめてきます。幸福に囲まれてテンションがマックスになっていたので、怪しい人に見えたのかもしれません。。
 
最初に、アニメに出てきそうな名前の街と紹介しましたが、実際にアニメ映画の舞台になっています。
 
『幸福路のチー』という映画で、東京アニメアワードフェスティバル2018でグランプリを受賞しています。
 
 幸福路のチー 公式サイト

 
この街で生まれ育った「チー」という女性の半生を描いています。子供時代を回想するシーンで、数十年前の幸福の街が出てきます。
 
ノスタルジックな気持ちになって見ていると、ガッチャマンの主題歌を楽しそうに歌っているシーンが登場します。歌詞は中国語なのですが、海外のアニメを見ていることを忘れてしまいそうなほど、懐かしさが込み上げてきます。
 
メルヘン風の描写に心が奪われていきますが、注意深く見ていると、戒厳令、方言の使用禁止、民主化運動、台湾中部の大地震、アメリカ移住、原住民差別(注)など、台湾の社会問題を知るために必要なキーワードが、次から次へと出てきます。
 
主人公のチーは、1975年生まれという設定です。チーの目線でわずか40年で大きく変化した台湾を紹介しています。
 
中国語の原題は『幸福路上』といいます。
「幸福路での出来事」という意味のほか、
「幸せを探しているところ」という意味もかけています。
幸せを追い続ける主人公の物語という内容にぴったりの題名です。

(注) 台湾では、先住民のことを「原住民」というのが正式な言い方なので、ここでは台湾の言い方に合わせて表現しました。

この幸福の街は、台湾のどこにでもあるようなフツーの街です。有名な観光スポットもなく、わざわざ日本から行くほどの場所ではありません
 
でも、『幸福路のチー』を見たら、ぜひ行ってみてください。
主人公のチーになったつもりで街を歩いていると、映画に出てきたシーンが脳裏によみがえってきます。「幸福」と書かれた看板たちも、幸せのおすそ分けをしてくれているような気がしてきます。
 
長い時間歩いておながが空いたので、地元の名物を食べてみましょう。

幸福路と交差している福寿街は「宵夜一條街(夜食通り)」とも呼ばれ、食堂がたくさん並び、夜になるとまるで夜市のように賑やかになります。
 

夕刻の福寿街 夜食通り


私は有名だと言われているお店に入ってみました
 
ドキドキしながら運ばれてきた料理を口に入れてみたところ、おいしいのですが感激も感動もありません。

 夜食通りと言われるB級グルメ激戦区にあるのに、このレベル?
 台北からわざわざ幸せを探しに来たのに、この味?
 
私の舌が「幸せになれない」とグズグズ言い出したので、おいしそうなにおいが漂う別の店に入ろうとしました。すると、私の胃袋が「これ以上入れると破裂する」と怒り出し、舌と胃袋がけんかを始めてしまいました。
そこで私はあわてて駅へ向かい、幸せを探す旅は強制終了になってしまいました。
 
後日、別の街を歩いているとき、鍋のレストランに日本語でこのように書かれているのを見つけました。
 
幸せって、こんなに簡単なもんなんだね

幸せは、わざわざ探しに行くものではないのかもしれないですね。 

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