【経営コラム】人材育成の3つのポイント┃野口 和義先生(中小企業診断士・行政書士)
令和4年度より水曜日の商工相談窓口をご担当いただいている野口 和義先生にコラムをお書きいただきました。
士業の先生と言われると少し堅いイメージを浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、野口先生は人当りがよく、リピートして相談される方も非常に多く、とても頼りになる先生です。
※本記事は(公財)台東区産業振興事業団メールマガジン 第12号 令和4年4月1日(金)に配信した内容を修正して掲載しております。
「人材育成の3つのポイント」
こんにちは、中小企業診断士・行政書士の野口です。
令和4年度から商工相談の水曜日を担当させていただいております。よろしくお願いします。
さて、経営コンサルタントとして独立する前、実は私はマクドナルドの店長をしていました。
大学院までITを専攻していた私ですが、当時アルバイトをしていたマクドナルドの魅力にハマり、半ば勢いで入社したという感じです。若さって怖いですね。
マクドナルドの最大の魅力は「人を大切にする」ということです。細部にわたって人材育成システムが仕組み化されており、ハンバーガー大学という独自機関で様々な研修を行うなど、社員やクルー(アルバイトの総称)の成長を最大限にサポートしてくれます。
同社が昔から掲げる「マクドナルドはハンバーガーを作っているのではない。人を創っているのだ。」という理念にも表れています。
今日は、20~200名規模の大小さまざまな店舗でのべ1,000人を超える人材育成を行ってき私が、人を育てて結果を出す組織を作るために心がけていた3つのポイントをお話ししたいと思います。
ポイント1:夢を語ること
夢というのは当然ながら自分自身の夢のことではありません。どんな会社・組織・お店にしたいかという明確なビジョンを示すということです。
私も店長時代、その店舗にとってストレッチな(高い目標だが実現可能な)ビジョン・目標を示すようにしていました。また、同時に意識していたのは、クルーの皆もワクワクできるようなビジョンを設定することです。
・「東京で売上No.1のお店になる!」
・「全国最速のスピードサービス店舗になる!」
・「顧客満足度調査で全国一位になる!」 など
会社経営に置き換えれば、夢とはいわゆる「経営理念」のことで、社長が会社をどのようにしたいのかを明確にするということです。
最終的に辿り着きたい夢・ゴールが明確でない組織は、従業員がロボットのように淡々と作業的に仕事をこなすだけか、個々が自分勝手に振る舞い統制が取れなくなるかのどちらかです。
経営理念を明確にしたら、理念ブックを作るなどして見える化し、日々の業務の中や評価面談、社内イベントの中で落とし込みながら伝え“続けて”いくことが大切です。
ポイント2:与え続けること
2つ目のポイントは、部下を育てるためには惜しみなく、そして見返りを求めず与え続けることです。何を与えるかというと「知識」・「リソース」・「モチベーション」の3つで、これが一つでも欠けると人材育成はうまく行きません。そして、この3つには与える順番があります。
①モチベーション
人はモチベーション次第で劇的に変化します。店長時代、入店1カ月でクルー全員から「あの子はマック向いてない」と言われてしまった高校生がいました。確かに、全く笑顔がなく、教えたことを翌日にはほとんど忘れてしまうような状況でした。
しかし、なんと彼女は翌々年にクルー全国大会の決勝に進むまでに成長しました。彼女の成長の裏にもモチベーションの向上があったからです。
何がモチベーションかは人それぞれなので、まずは上長が部下をよく知ろうとする努力が必要です。その上で、モチベーションを向上させるための私なりの最適解は「仕事を任せる」ことです。
部下が未経験な仕事や会社にとって重要な仕事を任せ、最大限サポートし、成功体験を積ませる。その小さな成功体験の積み重ねが、大きなモチベーションに繋がっていきます。
②リソース
部下がいざ何かを学ぼうと思っても、必要なリソースが揃っていなければ教育の仕様がありません。「人材育成がうまくいっていない」と嘆く会社ほど、必要なリソースが揃っていなかったりするものです。
教育に必要なリソースは主に「ヒト」「モノ」「時間」の3つです。
ヒトは、部下を育てる人材が質・量ともに十分いるかどうか、社内の教育全般を管理統制する人間がいるかどうかなどです。
モノは、教材やマニュアル類、機器、教育のためのスペースや環境があるかどうかなどです。
時間は、従業員が教育を受けたり学習をしたりする時間、外部セミナー・研修、資格取得のための時間などが計画的に設けられているかどうかです。
③知識
①②の準備が整えば、あとは実際の教育によって知識やスキルを伝えていくだけです。社内の人材育成担当を中心に、教育計画表の進捗を確認しながら計画的に進めて行きます。
人材育成においては、トレーニングスキルやコーチングスキルなどのスキルが必要になってきますが、この内容だけで膨大な記事になってしまうのでここでは割愛します。
ポイント3:徹底すること
最後のポイントは「徹底すること」です。もちろん、従業員に徹底してもらうのがゴールになりますが、まずは経営者が徹底することです。
経営理念や社内のルール、業務手順やマニュアルなどを経営者自身が見本となり、こだわりを持って実行することが大切です。
私も店長時代、嵐の中びしょびしょになりながらクルーと駅前で呼び込みをしたこともありますし、ハンバーガーを作るスピードは絶対クルーに負けない自信がありましたし、200名在籍する店舗でも必ず月に一回は全員とコミュニケーションをとることを徹底していました。
部下にこうなって欲しいという思いがあるからこそ、自分自身が見本になろうと日々の運営の中で心がけていました。
会社をこんな風にしたい、従業員にこんなふうになってもらいたいと思うのであれば、まずは経営者が一切の妥協をせず徹底することが大切です。
従業員は、我々が思う以上に経営者の行動をよく見ています。良くも悪くもです。
以上、人材育成の3つのポイントをお話してきました。
企業支援をしていると、最終的にはどの会社も人の問題に行きつきます。
設備を整えたり制度を作ったりは資金さえあれば実現するのは簡単です。
しかし、人を創るには時間と根気と育てようという本気度が必要です。
人材育成がうまく行かない場合には、改めて経営者が旗振り役になり、3つのポイントを押さえながら計画的に進めていくことをオススメします。
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野口先生、有難うございました。
中小企業や個人事業主の皆さまは、それぞれ様々なお悩みを抱えていらっしゃると思います。
どのような挑戦・取り組みをしたいのか考えがまとまっていなくても構いません。
そのような状態でも中小企業診断士の先生方とお話をすることで、課題を発見したり整理することができるため、皆さんの経営を一歩前進させてくれます。
現状の打開や新たな挑戦を考えている事業者様は、ぜひご相談下さい!
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この記事は台東区産業振興事業団 額田が担当いたしました。
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