Kawabata Taisei

創作が好きです

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最近の記事

「見る音」@創作の種

水面に波紋が広がる。あちらこちらに円状の波紋が見える。お、雨か?と空を見れば、どんより暗い雲が項垂れている。「ポタポタ」が「ポタポタポタ」になって「ザーザー」になる前に、家に戻ろう。 漫画の表現では頻繁に、オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語)が用いられる。音を発さない紙面から、自由自在に音を発することが出来る。それらの音は字形もデザインされ、文字そのもので音を表現することができる。僕は集中線と並ぶ、大発明だと思っている。 音は言うまでもなく、空気の振動である。見えるもので

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    • 「創作の種」について

      「創作の種」というシリーズで実験的に有料の記事を書いてみようと思います。 日頃、魅力的なキーワードを見つけては、A4の裏紙に書き留める、ということをしています。そのネタ帳は多くの場合、公開されることなく忘れられていってしまうものです。(忘れないために書き留めているのですが、書き留めた時の感情は見返した時に再現されなく、首を傾げることが多いのです) それでは勿体無いので、なんかビミョーな(限定公開的な、非積極的な)感じで公開したいなと思い立ち、「創作の種」という形を考えてみま

      • 「読む」@創作の種

        先日、アーティゾン美術館にて「読書する女性たち」という展示を見てきた。(※1) そこで得た知識と気付きが以下の通り。 ・読書をするには識字能力が求められる → 習得の機会(≒教育)が必要 → 支配者階級、聖職者、人文主義者の男性に限られていた時代(巻物)から冊子本の流通を経て、市民たちのものとなった時代へ移っていく ・読書する女性(19世紀フランス) 男女間で読書の分野に違いあり(男性:社会、経済、政治、スポーツ/女性:小説) ブルジョワ階級男性「女性が知識を持つことは家

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        • 音楽と環境音

          先日、音楽家・サウンドアーティストである松本一哉さんの3rdアルバム『無常』リリースツアーライブに行ってきた。パフォーマンスを拝見しながら、最近考えていることについて整理したくなったので、書いてみる。 まず、本人がデモ演奏動画を投稿されているので、勝手ながらご紹介。演奏はこんな雰囲気だった。 環境音も自分の演奏の一部と捉え、偶然起きていく現象に呼応しながら演奏する即興的なパフォーマンスである。波紋音(はもん)と言う金属製の楽器(正確には楽器じゃないらしい?)を打ち鳴らし、

        「見る音」@創作の種

          誰に教えてもらうか

          何かを学ぼうとするとき、やはり教えてくれる人は必要である。教本や独学で学ぶことも出来るが、人に教えてもらうということは、現代に生きている(活きている)スキルや思考を受け継ぐということである。なので、とても貴重で尊い学びだと思う。 僕は高校生でお芝居に出会ったので、今現在で11年経っている。もうそんな経ってしまった。それにしては中身がスカスカで実力が伴っていないかもしれない、と恐ろしく感じている。(これに賛同してくれる人はきっと多いに違いない。ただ恐れ多くも、諸先輩方を見て、

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          短編作品とオムニバス公演

          注:この記事は特定の団体や作品を指している訳ではありません。(前半で紹介している作品を除く)仮に読者の中でドキリとした方がいらっしゃっても、僕は貴方の批判をしたい訳じゃないので、悪しからず。 最近、短編映画(ショートフィルム)をよく見ている。「仕事から帰ってやることやったら、もう寝る時間だ」という生活の隙間に、右脳を動かす時間が生まれる。それだけで少し生活が豊かになった気がするものである。 短編映画好きの人はご存じのことと思うが、Youtubeで見れる、初心者でも楽しめそ

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          オペラ座の怪人を比較する〈ACT1〉

          劇団四季の『オペラ座の怪人』はすごいらしい。そんなふれこみのミュージカルを僕は先日見てきた。そしてそのすごさに見事にハマったのであった。 それから映画を観て、原作の小説を読んだ。原作を読むことで、ミュージカルでは語られない部分の気付きがあったし、それぞれ設定や展開が違う部分があって面白かった。今回は、整理も兼ねて、舞台と映画と小説をシーンごとに比較してみようと思う。少し書き出したらあまりに長くなりそうな兆しがみえたので、前半と後半で記事を分けることにする。よっぽどの物好きだけ

          オペラ座の怪人を比較する〈ACT1〉

          パントマイムは「"普通"の共有」

          パントマイムを知らない人はいないと思う。見えない壁、動く床、意思を持った鞄。舞台や街中で見たことある人は多いはずだ。僕はいつかマイム作品を作ってやろうと思っているのだけど、周りでやっている人がいないので、なかなか計画出来ずにいる。石川近郊で探しています。連絡下さい。 パントマイムは客との「"普通"の共有」の上で魅せる表現だと思っている。つまり、壁は平らで垂直に立っているもので、押しても引いても動かないものであったり、歩く動作は前重心で足を出した方向に進み、進行方向とは逆の方

          パントマイムは「"普通"の共有」

          即興は「揺れ」と「枠」

          僕は「即興」が得意でも豊富な経験があるわけではない。 ただ最近、昔は感じ得なかった見方が出来るようになった気がしているので、少し書いてみようと思った。 即興という言葉は、演劇、音楽、ダンスで頻繁に登場する。ごく簡単に言えば「決まった枠の中で自由にパフォーマンスすること」である。演劇なら「ここはコンビニで、あなたは店員でレジにいて、あなたはお客さんで入ってきて。店を出ていくところまでやろう。よーい、スタート!」と、最低限の設定を与え、後は目の前で進行する物語を見守る。俳優はそ

          即興は「揺れ」と「枠」

          カテゴライズできないもの

          創作のアイデアは遍く、偉大なる先輩方のアイデアを基に生まれるものである。創作は「0→1」の作業と言うが、先人が作り上げた環境の中で、創作者が体験や学習を経て試みるものであるなら、正確には全くのゼロスタートでは無いはずである。既存のアイデアの掛け合わせによって創出されるものであるので(※1)無理やり「①×②→③」と表現してみる。では「この作品はどのようなカテゴリーですか」と聞かれれば、②の要素が強そうなので「②のカテゴリーです」と答える。「②なら興味ないですね」と返答が来る。「

          カテゴライズできないもの

          小さな雪だるまなら作れそう

          「創作してます」なんて言うと大層なものに聞こえてしまって安易に言いたくないのだけど、牛歩なりともやっている自負があるし、また、それに代わる良い言葉も思いつかないので、つい楽をして言ってしまう。名刺を添えて、自己問答しながら。 文章や音楽、芝居など「創作物」に触れている際、つい自分がやってみたい、あるいは観てみたい創作のことを考える。客席にいながら、脳内のアイデアを誰か書き留めていてくれと思う。それはかつ消え、かつ結び、「ゆく河の流れ」の如く留めることができないでいる。 「

          小さな雪だるまなら作れそう