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ちょっと一回死んでくる。

大バカ者の話。へぇーこんなバカもいるんだ〜くらいのテンションで見てくれるといいな。

千葉から帰って、私が19歳の誕生日を迎えた朝。
部屋をノックする母親。
なにかお願いごとがある雰囲気をまとって、猫なで声で「○○、頼みがあるの。」
誕生日おめでとうを聞く前に、消費者金融でお金を借りて欲しい。というお願いを聞いた。
なぜ借りて欲しいか、頼むのか、どう言っていたか細かくは覚えていない。
ママのカードはブラックリストにのっていてママは借りられない。とか、パパが一切お金を出してくれなくて困っているとか。

あの時なぜ断らなかったのか…本当に今思うと馬鹿。

馬鹿

ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか


世間知らずというのと、それまで母親が大好きだったからだ。頼りになりたかった。未だにそれしか考えられない。

1社のつもりが、それから暇さえあれば頼まれ、消費者金融にお金を借りに連れていかれた。店を出るといないので迎えに来てと電話をするとバックでパチンコ屋の音がした時もあった。

お前は借りてくれればいい。
ママがちゃんと返すから。

19歳なんて借りられても1社でもせいぜい十数万だった。
それがあっという間に13社になった。

14社目は、これまでとは全く雰囲気が違う。CMでは見ない会社。
闇金ではないけど、カタギじゃないような人がカウンターにいるところだった。
手続きをしていると、「あなたね、お母さん○○○○さん?」「頼まれたの?頼まれたなら貸せないよ。」そう言われた。
ただ事じゃない感じがした。
その場の空気にも圧倒され、強面の人からそんなふうに言われる母親…どうもおかしい。何となく、やっとわかった。こういうところの人が貸せないと言う母親。。

精一杯気丈に「出直します。」というと、「待って、あなたが借りるならいいんだけどね、でもそんなに金額出ないよ。」と焦る様子。「けど言っておくよ、既にあなたは短期間で結構借りてるみたいだね。あのね、うちのを1番先に返して、それを約束してもらう。」私はさらに意地になって、「分かりました。」と借りてしまった。

その間も、母親からしつこく頼まれたがもう借りなかった。そしたら、今度はアジア人との偽装結婚をもちかけてきた。100万やると言われた。

思考フリーズした時と、耳を疑うようなことを聞いた時と、見ちゃいけないものを見た時って記憶にちゃんと残らないのね、びっくり。細かい描写は思い出せないのだけど、間違いなく私は、精神的にボロボロになっていた。

「お前にしか頼めない。」と、口止めされていたので他の家族に話すことは無かった。


その頃が古着屋で働いていた時だった。
ちょうど新店舗のオープン準備で毎日クタクタ。
ずっと母親が返すと言った言葉を信じていた。約束を破るはずがないもの。
とんでもない事になっているとは知らず、仕事の忙しさで麻痺していた。

返済が滞ったのを知ったのは、会社に督促の電話が来てから。
初めから3、4ヶ月利息だけを払い、元金が全く返されていなかった。
怒り心頭で電話をすると、言い訳ばかりで逆ギレをする始末。それ以来電話に出ることは無かった。
母親がバックレた。

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実の父親と初めて会ってからは視界が晴れたように明るくて、毎日ウキウキしていた気がする。

ある日、実父から提案があった。
「一緒に住まないか?転職先が社員寮だから。○○も家賃が抑えられていいんじゃないか?」

母親がバックレてから、Dさんの好意で実家からの自立を果たしてはや2年がたとうとしていた。
更新するか、2万5000円のボロアパートから脱出するか、悩んでいた。

そんな折り、実父からタイミングよくいい話。失われた親子の時間が取り戻せる。
そんな気持ちが高ぶっているのが伝わるやり取りが続いていた。

私もこの機会に返済に集中するため転職先を探し、アパートの解約日も決めて手はずを整えていた。すでに車も売り払っていた。

それから引越し間近に実父からの連絡、「予定の日にち、社員寮に空きがでなくて一緒に住めなくなった。ごめん○○」

そんな馬鹿な。
ごめんで終わり?

合わせる顔がないみたいな内容がメールに書いてあった。
ショックのあまり丁寧な言葉がまわりくどく自分を正当化するだけのようにしか受け取れなかった。
バツが悪いのか電話に出てくれない。
なんだか私の中でまたプツっと切れた音がした。
こんな人が親だったんだな。と虚しくなった。

実の両親に裏切られた。

どん底だ。返すと言った借金。
母の借金だと思っていたが、私名義で借りその金は母親が使っていただけの話だ。

すでに派遣会社と契約して、仕事はある。
住所不定有職だ。


これから始まる新しい人生、けっつまずくわけにはいかない。

そうだ、○○沿線上に小学校、中学と一緒だった親友Mがいるじゃないか。
事情を話すと快く受け入れてくれた。
少しの間なら…という感じだったけど、私にはまるで神様のようだった。

Mちゃんらしいきちんと手入れの行き届いた綺麗な部屋でちゃんと一人暮らししている生活感が漂っていた。
仕事が終わってからの夜遅く部屋に入れて貰ったにもかかわらず、オシャレなお皿に程よい大きさのおにぎり2個と厚焼き玉子を、明日の朝食べてね。と作っておいてくれていた。
朝の出勤時間が違うから、と気遣いが有難かった。(あのおにぎり、泣きながら食べたな。忘れられない味だ。)

これまでの経緯を全て話すと、「あのお母さんが??」と信じられない様子だった。私もだ…。
昔から手先が器用で丁寧で、服を作るのが好きだった彼女に服飾の道を勧めたのは私だった。それでその道に進んだとその時初めて聞かされ驚いた。

で、最近彼女に人生初の彼氏が出来たらしい。昔からミーハーなんだけど、奥手だった彼女に初めての彼氏とは恋バナで盛り上がった青春の日々を思い返すと感慨深いものがある。

2日目の夜、Mちゃんのアパートで夕食を食べたあと、Mちゃんが言いずらそうに「彼氏がね、明日うちに来る約束をしているんだ。本当に本当ーに申し訳ないのだけど、明日だけよそに行けないかな?」と絞るような声で拝み倒していて、ずっと顔を伏せたまま。

(そうだな…人生初めての彼氏な…いきなり転がり込んだ私も間が悪かったな、きっと毎日会いたかっただろうに…)
最近の流れで悲観的に捉えると『あなたまで!!』となるところだけど、この2日、十分世話になった。
旅館の女将みたいに色々してくれた!

…やっぱり正直とても辛かった!!
漫喫があるじゃんか!そう言い聞かせて、次の日から漫喫で寝泊まりの日々が始まる。

このあと「裏渋谷に恋をして」に続きます。


いやぁ、変な宗教や酒、ギャンブル、ドラッグをやらなかった私凄くないですか?
もちろん、身体を売ってもいない。
ホント馬鹿みたいだけど、これはね褒めてやりたいんです。

当時、悪くてチェーンスモーカー。ニコ中ですが何か?

そりゃあ馬鹿なTATOOも入れちゃう。何か?


あっ♡ちょっと一回死んでくる。


書きながら思い出して辛いのでふざけてみました。

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