ミラノで野宿をした思い出
21歳の時、フランスとイタリアをめぐるバックパッキングの旅をしました。美術館巡り、憧れのヨーロッパの街並みのスケッチのためでした。
その旅のエピソードで、誰に話しても楽しんでくれるものがあるのでご紹介させてください。
イタリアでは五大都市、ミラノ、ベネチア、フィレンツェ、ローマ、ナポリ、の各美術館を巡る予定だったので、まずはミラノに降り立ちます。
クリスマスイブのイタリアは静寂そのものでした。どんなお店も開店などしないのです。ちょっと居場所のない居心地の悪さを覚えつつ、予定のユースホステルをノックしたら、「フルですよー」と。
クリスマスみたいな帰省の時期は宿がとにかくいっぱいになるのですね。めんどくさいからと予約無しでホステルに駆け込んでいると門前払いを食らいます。
まさにそれを食らい、しょうがないからと駅前のホテルに行ってみたら一応部屋は空いているが、ユースホステルばかり泊まっていた僕には少し値段が張る印象でした。
今思えば普通の値段ですが、当時はケチで貧乏で、、真冬のミラノで野宿を決意するという暴挙にでました。
人影のない、ミラノで1番の大通りの片隅に寝袋を敷いて、着れるものを全部着込んで、ガタガタ震えながら横になっていました。
(画像はフリー素材ですが、こんな感じの通りの端っこで…)
人が来たら襲われる!という想像が膨らんで怖くて、あーあ、ホテル行きたいなあと、後悔しきりです。実際に若者2人が近づいてきてバッと振り向きましたが、髭面のボロボロなアジア人(髭剃らず、ズボンも破けてて…)の方が不気味だったらしく、一眼顔を見ると立ち去りました。
それでも疲れがピークに達する午前4時くらいに眠ってしまい、朝を迎えました。モゾモゾと動くと足元でカチンという音が聞こえます。え?なに?
起き上がり目をこすってよく見ると、シャンパンと葡萄パンがそっと添えてありました。未開封のものです。
イタリアのクリスマスだ…クリスマスプレゼントだ!と感動を覚えて、周りを見渡すと、同じものを持ったホームレス達がブラブラ歩いています。
キリスト教の慈善活動の恩恵を受けたということでしょうか?素晴らしい精神だなと、やはり感動しました。
ちなみに、日本でこのエピソードを話すと、良い話だ!という方と、ホームレスに間違えられて草!という方のどちらかの反応に別れました。
クリスマスは昼間もどこも店は閉めています。もちろん美術館も。日本の24時間フル稼働の街に慣れていると退屈してしまいました。
その日の夜はもちろん反省を活かして、ホテルに泊まり(ユースホステルはやはり満員)クリスマスプレゼントのシャンパンと葡萄パンをいただきました。
とっても素敵な経験になりましたが、進んでやりたくはないですね。
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