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『あなたと行ったヴィーナスブリッジ』続 【~ペーパーミール~】 著・戸松大河

ふーーッ
一息ついた
彩愛と一緒にベッドでアカマルを吸う
カーテンを開ける

夏なのに
外は暑いのに
窓は水滴で曇っている
ふと彩愛は窓に手形を付けた
『タイタニック』みたいに
こんな暑いのに
僕らは夜中に
ガンガンにクーラーを炊いて
グラグラとグツグツと
煮詰め合う

ふとタバコを吸いながら
彩愛が口を開く

『…優しい人、なんやね。』
『ん?』
『なんでもありな人なんかな?』
『彩愛のせいでそぉなった人かもね。』
『なんなんそれww』
『…』
『…ごめんね。』
『え?』
『や、ありがとう?』
『なにが?』
『めっちゃええ人やから、ほんまのこと話す。』
『なに?』

『ほんまはね。彼氏最近までいてんよ。』
『うん。』
『ほんで、、浮気されてん。』
『ほぉなんや。』
『で…その浮気相手がコイツ。』


彩愛のガラケーに写っていたのは

雅だった


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失笑
爆笑


残暑お見舞い申し上げます
タイトル

『あなたと行ったヴィーナスブリッジ』


なんか
夏のヴィーナスブリッジ観る感じ。
暑いけど、爽快なビューで、
汗でてフツフツとくる感じ。

なんか一周まわってスッキリした感じ…?

『そーなんやー。』
『うん。だからウチ、陵さんと寝たかってん。』
『…』
『けど、今日お話しして、、ものすごいなんか不器用で背伸びしいやけど、ほんまは優しい人なんやなってかわいいなって思ったんよ。』
『…そぉか。』
『なぁ。二人だけの内緒で付きおーてくれへん。』



『…いいよー。なんでもいい。』
『なによそれー。なんでもいいって。』
『あー。そゆことじゃなくて…彩愛が幸せならなんでもええってこと。』
『なんなんほんま。』

素直に
雅にムカついたし
偽って近寄ってきた彩愛にも苛立ちを少し感じたが
寛大に俯瞰的に受け止める方が
オモシロイかもしれなという感情が先行していた

僕の目的は
復讐

そして、
彩愛の事情と背景と気持ちを考えていた
なぜか可哀想で何かわかる気もしていた

今振り返るとオモシロイ
人は気の持ちようで
敵味方の分別をつけれたりもする

彩愛は徐々に
言葉なしに激しく泣きながら
僕に身体を寄せ
ゆっくり擦り付け、耳をかみ優しく首へとくる
飲んでいた時に話された話は鮮明に覚えていたんだ

彩愛はかすれながら本音のように切ない声で言う


『陵さん。。。優しいから。優しいくせにずるい。
陵はずるい。
自分は誰も愛そうとしないんじゃない。
…愛そうとしないんじゃない。』


「そうかもしれない。」

思えば、雅にのめり込む時も
雪乃さんを口説くときも
慧斗くんと接するときも
父と母と接するときも
彩愛とも

自分のことしか愛していない
行動していない
嘘をついて

不思議と彩愛は僕の本音の気持ちを一番察してくれる
1つ1つの行動にしても
『あ、バスタオル?はい。』
とか
『今こー考えてるやろー』
とか
『あ、これカレー作ってんけど、少しだけやけど』

頼んでもないのに色々やってくれて
料理も出してくれる
『よぉ動く娘なんやね。』
『なんか、こーやってさ、ちょっとご飯とかでも二人で分けて食べるん楽しない?』
『…』
『勿論さ、人と食事するのって楽しいねんけどさ。』
『そーだね。』
『…ウチな結構貧しかったからお魚1匹家族で分けて食べる食卓やったんよ。』
『へー。』
『南女生にはバカにされるけど、パパママ仲いいし、めっちゃ楽しかってんで。毎朝な紙に夜食べたいもんをパパと描くんよ。そしたらママがそれを夕食で出してくれんねん。』
『魔法使いやんママ。』
『ほんまそれやで。欲張って豪華にするとパパがこんなに食べれへんやろゆーてうまいとこ消されんねん。』
『そーなんや。笑笑…旅行とか食事って何するとか、どこ行くより、誰とが一番大切やって言うもんね。』
『陵さんは今誰といる?』
『…え。』


優しく透かして察してくれる
今日会ったばかりなのに
なんか
一番素直でいれるように感じた
けど
彩愛と繋がったのは
雅がいたからだし

雅がこんな気持ちにさせたからだし


なんか不思議っすね
嫌いなヤツが素敵なヤツと巡り会わせてくれたり
出逢わせてくれたりする
そんなこと…皆さんありませんか(?_?)ww

気づくと僕は彩愛に全てを話していた
いや
話そうとしていたけど
彩愛は3喋れば10わかってくれる女性だった
今日一緒に飲んだ時の彩愛は嘘だったのかホントだったのか
今日酔っ払った彩愛はホントだったのか嘘だったのか
いずれにせよ
魅力的に感じたのである
だって
主導権を握っていると思ってたのに
握られていたのだし
歳下なのに
そんなことまでも優しく理解して伝えてくれる彼女に大人を感じたし
そんなことを…
勝ち負けを考える自身を
恥始めていた

そんな中
彩愛にお願いをする

『このmixiの投稿そつなくしれっと拡散してくんない?』
『ええよー。』
『あと、、』
『メールとかアカウント作ったりして、学内の個人アドレスにランダムに送ってあげよか?』
『え?』
『学籍番号とか適当に打てば送れるやんな確か。』
『お前…』
『ん?』
『鬼やな。』
『だってオモロイやん。そっちの方がオモロイやろ。』
『…そぉやね。』
『世界史でなろてんけどさー、昔は目には目を歯には歯をっていうのがホンマにあたりまえやってんて~』
『そーなんだ。』
『けど、それってなんか傷があるからやし、なんか楽しいからやし、さみしいからやし、守りたいからなんちゃうかな。』
『めっちゃなんか意味深なこと言うね。』
『だらだらグチグチしててもしゃーないからさ、潰したいとこだけ潰してたのしーことして遊ぼーや。』
『…そぉだね。』

彩愛に今後の考えてることを指示し、指示され話し合って、そのまま彩愛とまたぐちゃぐちゃになった。
起きて、雪乃さんに逢いに行くと告げ、家を出る。

帰り道
夏なのに
神戸は山が近いからか
朝霧が出ている
雪乃さんが待っているんだー。
霧を抜けると同時に雪乃さんが待つ家
雪乃さんは可愛い顔でぐっすり寝ていた。

慧斗くんからメール
真面目な人は朝が早いのか…
びっくりした

『陵!おはよう!お部屋ありがとう✨めっちゃ楽しいしなんかおもてん!昨日はじめて自分で買い物行ってご飯作って思った! 思ってん! あんな、まだちっちゃいころねーねとよく留守番しててご飯の時間なってもママが帰ってこないときは、ねーねがご飯炊いてくれたんよ。ねーねご飯炊く係やったからご飯の
炊き方知っててん。ほんでな。おかずがないから、マヨネーズとケチャップでお皿に「からあげ」とか「やきにく」とか「やさい」とか書いてくれて、それをご飯にのせて食べてた。マヨネーズやケチャップない時は紙に書いてそれを嘘で食べんねん!けど、今は自分で買って自分でやってホントに大変やなって思てる。ねーねにありがとうとも思てる。嫌いやけど笑笑 陵にももちろんありがとうって思てる! ひとり楽しいけど、また陵ともご飯食べたい!そんときは慧斗頑張って作るな!今からお洗濯するー!』

幸せってなんなんだ

つづく


残暑お見舞い申し上げます
重ねまして
終戦記念日お祈りいたしますと共に
長崎の皆様へ深く愛と希望を込めてお祈りいたします

ご一読頂きありがとうございました。
戸松大河

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