外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第13話 採用面接での面接者の心構え

第13話 採用面接での面接者の心構え

私が今まで数多く行ってきた面接の中で学んだことについて取り上げます。今後、みなさんが採用面接をおこなう際、また、面接を受ける際の参考にしてください。

1.候補者の素の部分を引き出す

我々が知りたいのは候補者の素の姿です。採用面接の場でも候補者が普段の自分を出せるよう心がけます。よって、私はいわゆる圧迫面談というものよりカジュアルな面談のほうが好ましいと考えています。

当然のことながら、候補者側はよくみられたいと思うので、中には、自分を過大に表現する、つまりオーバートークをする人もいます。私は必ず候補者の説明について、その背景を具体的に聞きます。

例えば、プロジェクトマネージメントの経験があるという説明があった場合、その中で具体的にどういう役割をしていたのかを聞いていきます。単にメンバーの一員として入っていただけで、プロジェクトをリードしていたわけではないことがわかる場合もあります。
 
大きなプロジェクトを実施して成果を上げたという説明については、具体的に遭遇した困難とその克服法を説明してもらいます。すると、実はあまり難しい課題には遭遇していなかったという場合もあります。
 
一方で、ジュニアや専門職を面接する際には、うまく自分のよさを表現できない人もいます。話の中で隠れた能力やスキルを引き出すのも面接官の仕事です。候補者の説明だけで成果を判断するのではなく、その奥にある事実に目を向ける必要があります。

2.能力だけではなく、その人の個性、人間的魅力を探る

採用面接は今までどんなことを達成してきたか、そして新しい会社でどのような貢献ができるかというが最も重要なポイントといわれています。ただし、もう1つの重要な点は、その人が入った場合、組織としてどういう影響があるかということです。

そのためには性格を聞いたり、自己分析を聞くことで、どういった人なのか、あるいはエピソードへの対処法や質問への答え方から、人間的魅力があるのかどうかを探ります。

例えば自分の弱みはなんですか?という質問をすると、その人がどのくらいフランクに話ができるのか、また、自己分析がどのくらいできているのか、ということがわかります。このことはその人の人間的な成熟度をみるヒントにもなります。

自己分析ができている人は、総じて日々の業務における課題も受け入れやすく、更に成長するポテンシャルを備えているとみることができます。また、他人と自分の距離感が上手に取れる人は一緒にベストチームを作りやすいと捉えられます。

このようなやり取りの中で、端的に言ってしまえば、一緒に働きたいと思えるかどうかを判断します。

3.候補者も会社を選んでいることを意識する

採用面接の場において、面接官はある意味会社の顔といえます。相手が優秀で魅力的であればあるほど、複数の会社からオファーを受ける可能性があります。
 
候補者は「この会社はどういう会社だろう?」「会社のカルチャーは自分とフィットするだろうか?」ということを考えながら面接を受けています。したがって、候補者に良い印象を与えることも重要です。
 
ただし、初めからすべての候補者に対して意識して心証を良くする必用はありません。なぜなら面接の前半はその人となりを計る重要な判断のフェーズでもあるからです。必要に応じて突っ込んだ質問や厳しい質問もちりばめることもあります。
 
話をしている中で、ハイポテンシャルで採用したい人材であると判断した場合、その人にとって弊社がどのくらいの魅力を提供できるのかということに話の主体を変化させていきます。

前半の判断のフェーズから後半のプロモーションへと、嫌味なくスムーズにつなげていくことが面接官の腕の見せ所ともいえます。


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