外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第18話 レスポンススピードとタイミング

第18話 レスポンススピードとタイミング

既にお話しした「包括的な対応ができること」「一歩先を読むこと」と共に、私は「レスポンススピードとタイミング」を一つ上の仕事をするための最も重要な要素だと考えています。今回は、いくつかの角度に沿って、その考え方を説明をしたいと思います。

私は時々グローバルトップと接する機会がありますが、彼らのレスポンスのスピードにたびたび驚かされます。彼らは私より仕事量も情報量も多いはずながら、彼らのレスポンススピードはむしろ私に勝っています。仕事が多いことはレスポンスの言い訳にはならないということです。逆に仕事が多いほど、山積する課題を捌くために素早くタイムリーに反応し、判断を後回しにしないということなのでしょう。

我々は複数の仕事を同時にこなさなければなりません。また、仕事の質を上げるためには時間が必要です。場合によっては、完全な対応ができないケースもでてくることでしょう。しかし、とにかくレスポンスは早くするべきです。かつ、課題の中で一番重要な点を押さえることが必要です。

また適切な判断をスピーディーに行うためには集中力を高めることも必須です。同じことを判断するのに10分かけるのか、3分でできるのか、これは論理的思考やPSP(Problem Solving Process:問題解決)手法の理解を深めることで効率をあげることができるでしょう。エグゼクティブの仕事ぶりをみているとそういった「判断のツボ」をきっちりと押さえていることがわかります。

一般論として、ひとは何をもってレスポンススピードが速いと感じるのでしょうか?

もちろん、絶対的なスピードが速いことは言わずもがなですが、私は、レスポンスの内容が相手の期待を上回ったとき、相対的にレスポンスのスピードが速いと感じると思うのです。レスポンスは相手のニーズをきちっと把握することから始まります。必要以上に速いレスポンスを返すことを求められているわけではありません。相手から見た場合、タイミングの重要性がいかに高いかを理解すべきです。

もちろん、その絶妙なタイミングを知るということ自体がチャレンジとなるケースもあります。日頃から、いつまでにレスポンスが必要なのかをあらかじめ確認する習慣をつけることも有効です。

時にはレスポンスにどうしても相応の時間が必要な場合もあります。そのときはすぐにはできないことを率直に相手に伝えることが重要です。これはプロフェッショナルとしてのアカウンタビリティの1つです。あいまいにしておくことこそが問題となります。

レスポンススピードとそのタイミングに対する感性をあげることは、もう一つ上の仕事を行う上で必須の要素であり、またプロアクティブなコミュニケーションの肝ともいえるでしょう。


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