外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第21話 日本とグローバル化2 - ライフサイエンス分野

第21話 日本とグローバル化2 - ライフサイエンス分野

2000年前後のバブル経済の崩壊から、日本経済は長らく低迷してきました。そのトレンドを変え、どうすれば成長軌道に乗れるかは多くの経営者の課題です。我々を取り囲む状況はかつての栄光の時代と大きく変わってきています。その時代に合ったビジネスモデルを持たなければ競争に勝つことはできません。

そんな中、ライフサイエンスの領域は日本の強みを活かせる分野だと思います。ライフサイエンスは、サイエンスと高い技術が集積した分野です。そのため、安い製品を作ることよりも、いかに優れた製品を作るかということに重きが置かれています。つまり「品質」が極めて重要なファクターになります。高度な技術集約型の産業を得意とする日本人にとって相性の良い製品といえるでしょう。

また、エボラウィルス対策といったような重要課題ができたりすることでもわかるように、ライフサイエンスを取り巻く技術開発はまだまだ発展途上にあります。産業としての成熟度は、ITや電気機器に比べまだまだ将来があるわけです。産業が成長のフェーズにあるというのは非常に重要なことです。

さらに、ライフサイエンスをめぐる学術の領域では、日本に多くの研究開発者がおり、また、彼らは世界的にも非常に高いレベルにいます。このことは、製品開発にとって、日本が非常に影響力を持っているということを意味します。

このような環境を念頭におき、我々ライフサイエンスビジネスに従事している者として認識すべきことは、ライフサイエンスのメジャープレイヤーの多くが弊社のようにアメリカやヨーロッパの企業であるということです。従ってライフサイエンスビジネスに従事することの意義を理解するとともに、グローバル企業に働くことへの適応が求められます。

グローバル企業に適応するとは、会社全体の中で他の国の人々とどのように協業するかということであり、全世界のグループ会社の中でいかに重要なポジションを果たせるかということです。このことは、弊社に限らず、他の産業においても、今、多くの日本人が直面している課題です。

日本人が日本社会だけで完結できるビジネスはだんだんと少なくなってきます。今後ますます日本が主役というビジネスは減り、日本人は傍系からのスタートというモデルが当たり前になってくるでしょう。

そのような環境の中、グローバルの中でどうサバイバルし、存在感を出すかということと、業務でより充実した成果を上げることは密接に関係しています。グローバル化への適応の理由はそこにあります。


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