外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」第36話 クルーシャルな会話

第36話 クルーシャルな会話

クルーシャルな会話とは、相手との関係で非常に難しい局面でおこなわれる会話をさします。例えばパフォーマンスについて上長が部下に対して改善すべき点を説明し、問題を認めさせ、改善アクションを合意するといった一連の会話はこのような会話の一例といえます。そのほかにも何か問題が発生し、その当事者に反省を促す場合の議論であったり、会社の規則に違反した人に対する話をする際など、色々なケースでクルーシャルな会話が必要な場合があります。

このような場合、一般の通常の会話よりも話の進め方が難しく、通常と同じようなやり方でおこなって失敗するケースがあります。では上手に難易度の高い会話を進めるにはどのようなことに注意して行ったらよいかについて4つのポイントについて考えてみたいと思います。

1. ネガティブな感情をコントロールし、事実ベースで話を進める
仮に問題がネガティブなことであっても、ネガティブな感情の場を作ってしまうと話が前向きな方向に進みづらいものです。一方で楽しい雰囲気を作ることは問題の重要性を軽んじてしまい、場にそぐいません。したがって、できるだけニュートラルな状況で事実ベースに話を進めることがいいと思います。

2. どうあるべきか、どうしたいのかのゴールを一致する
現状や誰の責任であるかどうかという議論をおこなわず、本来あるべき姿、理想はどうなのかを共有し、それに向けて一緒に問題解決をしていくという共通目標をう来ることが重要です。あるべき姿と現状のギャップを認識したところから改善は始まります。

3. 必要な思考、沈黙の時間をキープする
仮に問題提起をおこなった場合、あるいは現状認識のための質問をおこなった場合相手に十分な考える時間を与えることが必要です。その際、沈黙の時間ができても、それは課題を消化するために必要な場合もあります。
また、一度問題点を持ち帰ることで自分なりに感情をコントロールする時間を得る場合もあり、拙速に話を進めることは好ましくありません。

4. 相手との一体感、共感できる部分を作りアクションに合意する
敵対する構造を作るのではなくて、相手に寄り添って一緒に問題を解決するという姿勢が必要です。自己防衛の壁を相手が作ってしまうと本音がでなくなり、対立することになりますので、いかに自己防衛の方向にならないようにするかが重要です。


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