外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第5話 能力はどうしたら身につくか

第5話 能力はどうしたら身につくか

能力開発の重要性は皆さん理解されていると思いますが、自分の価値を高める能力は具体的にどうしたら身につくでしょうか?

一般的には、Learning Modelというものがあります。それは、理論10%、コーチング 20%、実践70%、によって構成されている能力のつけ方のモデルです。つまり実践がもっとも大事といわれてます。

では、どう実践すればよいのでしょう?

ある人は求める能力を高める実践の機会がないというかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか? 工夫次第で実践と同様の効果を生む状況を作ることができるはずです。

また、実践をおこなうためにはまず何が課題なのか、課題を分析し、その解決のための具体的アクションを決める必要があります。参考までに、私自身が英語力にどう取り組んできたかについて触れたいと思います。

私は20歳代でアメリカに2年ほどいましたが、日本人社会の中での業務がメインだったため、英語力はあまり鍛えられませんでした。ただ、日常生活の中で様々な外人と接することで英語に関する抵抗感は払しょくできました。その後日本に戻り、英語を使わない時代が10年以上続きました。すっかり忘れてしまったころに現在の会社に入る話が持ち上がり、いよいよ英語をやらなくてはいけない状況になりました。

何から始めるべきかと考えたとき、上司や同僚とのコミュニケーションでスピーキングが最優先だと思いました。そこで実際に英語を話すため、英語の電話レッスンをネットで調べ、半年間続けました。これは決められた時間に予約をして、先生と1対1でテーマについて会話をするものです。はじめは苦労しましたが、少しずつ通じるようになると自信もつきますし、面白くもなっていきました。

次に、ヒヤリング力をアップしようと考え、四六時中英語を聞くようにしました。休みでもラジオ、CD,TVなど、意識して聞きました。リスニングは、たくさん聞くことによって少しずつレベルアップしました。

しかしながら、英文を読むことは努力しなかったので、今でもリーディング力は足りないと思っています。資料を読み込んで議論に入ることは日常業務で求められるため、日ごろからかなりの分量を読みこんでおくことが必要だと思います。また、このことによって語彙も増やすことができます。

ライティングに対しては、毎週のレポートは英語で書くことにしています。このことが英語を書くことへの抵抗感をなくし、作成力アップに役立っています。

最後に、レベルアップにとって重要なことは、どのようなロジックで話・文章を作れるかということだと考えました。優れた文章やロールモデルのスピーチを見つけて、それらをまねることを繰り返しました。このことで話が分かりやすくなり、相手の理解度も増したと思っています。相手が理解してくれると、それがまた自信につながります。

このような形で私は英語と向き合ってきました。英語に限らず、自分が改善したい課題を見つけたら、それを深く分析し、細分化された具体的なアクションを作り、実践していくことが必要です。それは実務により近いと ころで行われるのが望ましく、なによりも、改善したいという強い情熱が必要です。まずは自分の重要な課題のひとつから真剣に向き合ってみてはいかがでしょうか。

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