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データなんて興味ない!?

 突然、寒さが増して外に出るのが少しつらいですね。自分の選手時代を思い出すと、そんな寒くてもよくやってたなぁと感心します。2023年は、ほぼずっと室内でパソコンと格闘を繰り広げてきたので、屋外での活動はあまりなかったんです。たった1年で、こんなにも弱くなってしまうものかと思ってしまいますね。
 さて、前回までの2回は大学院について書いてみましたが、やっぱりアナリスト的な内容を書きたくなってきてしまったので、戻ってきてしまいました。またリクエストがあれば、大学院の内容も書いてみますね。


ターゲットはアナリスト

 アナリストをしていると、データなんてあんまり興味ないよと感じているような選手と出会うことがあります。そんなに露骨に、いらん!と言われるわけではないのですが、興味なさそうだなとか聞いてないなと感じられるような反応をする選手もいるんですね。
 やはり、アナリストとしては分析した結果こうなんだ!と自信を持っているわけですからなんとか選手にも吸収してほしいと感じるのも無理はないですよね。まずは、それだけ自信を持つことが大切です!
 タイトルを見る限り、対象はデータに興味のない選手かと思ったことと思います。違います!アナリストが対象です!!

前提

①自分自身が「理解している」こと

 はじめの項目でありながら、一番大切かもしれません。データについて、アナリストである自分自身がちゃんと理解していることが大切です。当たり前と言えば当たり前なのですが、「ちゃんと理解」とは説明できるようにしておくということです。
 選手は様々な疑問を持っています。一つの簡単な例を挙げましょう。Rapsodoを測定して、その結果をフィードバックするとします。データがいくつかの項目出てきたのを見て、「この数値ってどのくらいのレベルですか?」と疑問を投げてきます。その時に、アワアワしてしまったら、もう信頼してくれないでしょう。
 さらに、当然ですが、選手の方が詳しいということも「なし」です。アナリストという肩書きがあるわけですから、少なくともそのチームの中では、一番知っていないといけない。そして、説明をできなければいけない。そうでなければ、存在意義がなくなってしまいますからね。

②一生懸命にやること

 これもすごく大事なことです。当たり前のようですが、意外とこれも難しいのかもしれません。この時の「一生懸命」はあなたの基準ではなくて、選手の基準です。自分は頑張っているつもりなんだけど…、というのは論外ですね。自分が、選手になったと思って考えてみてください。もしかしたら、次のワンプレーで選手生命に影響する結果につながるかもしれないし、それが今後のキャリアに響くかもしれない。少し大げさかもしれませんが、レベルが上がるほどそうですよね。
 選手は選手なりに背負うものがあってプレーしているわけなので、それに応えられるようにしなければ、相手にしてくれないのではないでしょうか。

③時の流れに乗り遅れないこと

 ここ数十年程度で、技術は指数的な発展を遂げてきました。そして、その趨勢はこの先しばらく続くのではないかと思っています。
 アナリストに秘められた可能性というのは、科学技術の発展とかなり密接な関係がありますよね。例えば、少し前は投手の投げたボールの球速をスピードガンで計測していた程度でした。しかし、近年では、球速に加え、回転数、変化量と様々な変数を見ることができるようになりました。これによって、アナリストは球速を見るだけでなく、その他の変数にも目を向ける必要が生じて分析の幅も大きく広がったわけです。
 このようにして、次から次へと計測できる内容が増加し、アナリストのできることも増えていくという関係はこれからも変わりません。逆に考えてみてください。少し極端ですが、20年前、せいぜい球速を見て判断するくらいだった知識のまま、ラプソードのデータを使ってくださいと言われたらどうでしょう。確実に、使いこなせないですよね。これがこの先にも同様に続くのです。
 計測以外でも同じです。水を飲むな!が正解だった時代もあります。でも、今はそんなことをしたら、それを指示した人は下手したら体罰として処分されるでしょう。残念ながら、時の流れは止まりません。

研究と競技現場の乖離

 時の流れというと最先端は、研究的な側面になると思います。
 研究分野で言われているけど、そんなん実際違うよね。という話をちらほら聞きます。一方で、現場でこんな指導しているけど、何考えてるんだろう。という話を耳にします。
 そんなこと言わないで、仲良くやっていったらいいのになと思っていました。実際に今日の指導現場でも、様々な意見があるの中で、その根本的な部分に目を向けてみましょう。

研究と競技現場の理想的な関係性は…?

 まずは、「ゴールをどこに据えるか?」が最も大切だと思っています。あくまで、個人的な意見ですが、ゴールは「研究分野で得られた結果を土台にして、指導者が知識を蓄積・アップデートできる」だと思っています。

 研究分野からは、現場に対して科学的な裏付けとともに進言を行う。現場からは、現場ベースで疑問に思われていることについて科学的な根拠を求める。こんな関係性が創出できたらよいなと思うわけです…。要は、どちらが上ということでもなく、どちらが下ということでもなく、対等でいられたらいいななんて思います。

大事なこと

 私たちアナリストにとって大事なことは、何でしょう…?
 もちろん、答えは様々だと思うのですが、まずは、「野球におけるデータ」の意味を考えることだと思っています。「測定した結果」というデータ、「試合中のスタッツ」的なデータ。種類は様々ですが、それぞれが最終的に選手に対してどのような意味をなすのか考えなければいけませんよね。例えば、Rapsodoで測定したデータはどんな意味を成すことが最終目的なのか。そして、そのデータから何ができるのか。このようにして、その本質を考えることに大きな意味があると考えています。

感覚と数字の照合

 私の考える、野球におけるデータの本質は、「感覚と数字の照合」です。数字で客観的な視点の見方ができますが、プレーするのは選手個々です。つまり、主観的な感覚です。そのために、どのようなアプローチをするのか、どのような数字を提示するのか、どのような伝え方をするべきなのか、すべてはここに集約されていきます。
 このようにして、自分なりに嚙み砕いてみることが非常に大切ですよね。「なんでこんなデータ使うんですか?」とふと訊かれたときに、芯がないと一貫性に欠けてしまうからです。

まとめ

アナリストとしてデータの必要性を訴えるためには、
①自分自身が理解していること
②一生懸命にやること
③時の流れに乗り遅れないこと

を前提として、
そもそもデータの本質を常に考えておくことが大切です!

さいごに

 これからシーズンが始まっていきますが、たとえデータをいらないと言われなかったとしても、改めてデータについて考えてみるいい機会になると思います。シーズンに向けてどのように運用していくか、よく考えてみてください。きっと、いいシーズンを過ごせます!

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