見出し画像

【読書記録#15】心理的安全性のつくりかた

 今は”正解のない時代”と言われています。「絶対にこれをすると生き残れる」という保証がありません。だからチームにおいては、様々な視点からの素直な対話ができる環境をつくって最適解を導き続ける必要があります。また、模索・挑戦し、失敗や実践から学べる環境がチーム全体の成長に起因します。

 では、どうすると、現代社会に適したチームへと整えることができるのでしょうか。そのヒントが「心理的安全性」です!

 前置きが長くなりましたが、この本を手にしたきっかけは、企業研修を任され、「組織づくりに着手したい」とご要望いただいたので、企画する立場から知見を深めようと手にした一冊です。

 実は、【読書記録#13】世界最高のチーム でも書いたように、心理的安全性というキーワードは今ものすごく広まっています。しかし、その弊害として人によっては曖昧な捉えのまま解釈していたり、「なんでも言える状態ってことでしょ」と斜に構えたりされます。この本は、心理的安全性とは何かをはじめ、創り上げるための具体的な行動まで細分化して書かれています。しかも世界基準ではなく、日本人特有の性質に合わせた基準でです。

 以下記録として、ポイントを記載しておきます。

■心理的安全性とは

メンバー同士が健全に意見を戦わせ、生産的で良い仕事をすることに力を注げるチーム・職場のこと。

逆に言うと、対人リスク(罰を受けるかもしれないリスク)がないことを指します。

人は次の4つを感じると行動しにくくなってしまいます。
①「無知」②「無能」③「邪魔」④「否定的」
この4つを感じることが対人リスクの代表例です。
図にしたものがこんな感じ。

画像1

これらの何かをチーム内で感じたら、心理的安全性について考える必要がありそうです。リスクがあると一人ひとりのパフォーマンスも高まらないので注意が必要になります。

■目指すは学習するチーム

チームや組織の雰囲気を大きく4つに分けるとこのようになります。(メモ書き失礼します…(笑))

画像2

冒頭にも書いたように、これからは失敗や実践から学ぶことが大切になります。その為には行動できる、挑戦できる環境であることが望ましいです。それが”学習する職場”です。

 学習する職場づくりのためには、一人一人の努力が重要になります。その努力の源泉となるのが次の4つです。
①サポート
→成果が出ない時にも、罰や不安ではなく相談に乗ってくれたり、アイディアをくれたりする
②意義
→組織・チーム・プロジェクトとして、大義や意味がある目標設定がされており、やりがいや成長実感が感じられる。
③みかえり
→まだ成果には至らなくても、望ましい努力をしている時に承認や感謝を伝えてもらえたり、より適切な行動を促してもらえたりする。
④配置
→適材適所で配置されることで、自発的・自律的に努力できるようになる

個人的には、ジュニアサッカー指導もしているので、①と③はマストだと感じました。適切な成長を遂げるように共に考え共に歩む姿勢が学習を促すように思います!

4つの努力の源泉に加えて、健全な衝突ができることがチームの最大学習(最大成長)には欠かせません。ヘルシー・コンフリクトと専門的には言わます。これまで「衝突=悪」として意見の対立を避けてきたのだとしたら、学習する機会を減らしている可能性があります。もしそうなら、
「健全な衝突かどうか」
「健全な衝突なら促進し、不健全な衝突なら調整する」
という方向へチーム全体の舵を切ることをお勧めします。
ただこれは、心理的安全性が担保されていないと簡単に人間関係を対立させてしまいます。心理的安全が担保される状況下であることを前提にチームの最大学習を狙うヒントにしてください。

■心理的安全性を高めるテーマ

では実際に、どうすると心理的安全は育まれるのかというと、キーワードは「話」「助」「挑」「新」です。

画像3

このキーワードは日本バージョンで、世界共通というわけではなく、日本特有の性質によって分かったということがポイントです。

説明すると長くなるので割愛しますが、個人の見解を言うと、4の新奇歓迎はどうもハードルが高いような気がしています。それは僕もそうですが、多くのチームもそのようです。なぜなら、「昔はこれで結果がでたから新しいことを取り入れなくても大丈夫だ」という概念が強く残っているからです。加えて、人は変化を恐れる生き物だからかなとも思います。

 過去の常識を解放して、個々人の才能に合わせた最適なチーム編成や、アウトプットの最大化を目指せる役割分担を行えることが今後は大切です。そのためには、常識に囚われず、さまざまな視点やものの観方を持ち込むことが歓迎される必要があります。

指導者として4の新奇歓迎を伸ばしていくための、抽象化→具体化は、
・強みを把握する・強みに応じた役割を与える・常識は変化すると知る・ステレオタイプを避け、本人の行動をみる・月並みを拒否する・違いを良い悪いではなくただ違いとして認める
といった行動を増やすことです。

それが結果、
心理的安全性が高まる
↳最大学習(最大成長)できる
↳個々人のパフォーマンスが高まる
に繋がります。

■実は心理的安全性以上に、個人の心理的柔軟が重要

「心理的柔軟性」

実はこれが本書で一番大切なのかもしれません。
本書とはず、全ての組織に所属する個人にとって大切です。
リーダーまたは、スポーツ指導者にとってもまた同じです。

心理的柔軟性を磨く3要素があるので、その点だけメモします。

❶ 必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
❷ 大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
❸ ❶と❷をマインドフルに見分ける

マインドフルとはここでは、「気付きに満ちている状態」を指して、たくさんある大切なことを、いつ大切にする見分けることを言います。

こんな単純にまとめていいかわかりませんが、
要するに、「しなやかな心」です。

一人ひとりの「しなやかな心」が心理的安全性のベースになります。

まとめ

 前提をここまで書いてきましたが、本書にはここからより細かく、実践例も載せながら「でははじめの一歩をどう出すといいか」を行動レベルで書いています。

 ここでの学びをスポーツチームに置き換えるなら、
・健全な衝突ができる状態まで、チームにいても安全だと環境を整えること。
・その為には、”策”やチームの”環境づくり(ルールづくり)”も必要だが、一番は指導者が「しなやかな心」をもつこと。
が最も重要だと思いました。

 机の横に一冊あるだけで、具体的な行動を個人的に振り返ることができ、実践に生かせる本です。チームを観る時にまた1つ大切な視点をゲットすることができました。

では!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?