taguchi akari

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時折2

感情は自分の中に留めておきたいけれど 例えば美味しいご飯を食べたとか綺麗な景色が目の前にあったとか美しい音楽を聴いたとか 特別ではないプラスな出来事があった時にそれを伝えたい人、誰かの顔が浮かびますか 昨晩 薬を飲まなかったのに知らない土地で何時間も眠れたの すごく特別なことであるように感じた 旅の疲れからかもしれないけれど本当の理由なんてなんでもいい 私は助かったよ 話すように歌う人だと思った 語るように あるいは 喋るように歌う、もちろん感じ方は人それぞれだろうけど

    • 時折

      生き続けるのには苦しみが伴うけれど好きな人が死ぬのはもっと辛いな 白んでいく空を思いながらぼんやりとそんなことが脳を掠めた 日曜の朝 商店街の半ばにある喫茶店にはモーニングの時間に滑り込むようにカップルが入店してきて 古着らしい開襟シャツを着た男の子は黄色の箱からアメスピを一本取り出し隣に座る眼鏡をかけた女の子がマッチで火をつけた 帰り際眼鏡の子の肩に下がる小さな鞄にカネコアヤノのキーホルダーがきらりと光ったのを見る あまり現実味を帯びていないからか自分の死には恐怖はない

      • 震動

        「趣味は何ですか?」 そんな質問があるあるランキング上位に上がりそうな合コンには一度しか行ったことがないし 私のことを少しでも知る人はそれに馴染めないことを理解してくれると思う。 それでも“趣味”について聞かれることは生活の中で意外と多いよね。 いつも当たり障りなく「音楽が好きで休日はよくライブハウスにいますね〜」と答えて場を白けさせる。 私が音楽を好きになったのはいつだったか。両親はB'zからレベッカまでよく家で音楽を流していた。あとはユーミンとかSAKEROCKとか。

        • 夜に酔って宵

          少しだけ脈を打つスピードが速い。薬を飲んでもあまりうまく眠れなくて朝の訪れに合わせて短い時間だけ意識を飛ばす。それなのに食欲だけが私を犯してその後また罪悪感と吐き気に襲われる。 自分以外の人間全てが幸せに笑っているようだ。いや、自分が笑うことは罪であると感じているのかもしれない。 私は国内最大人口を誇るこの都市の一つの枠内で過ごすことに慣れてしまったけど 大好きな人が今日も1人で夜を越すのだと考えたらまた心拍が少し上がる。昼間 その人は「大したことを何もしてこなかった」と言

          呼べる日まで

          元恋人のことをあっけらかんと書いた歌にはあんまり惹かれないし 打ち上げにいる謎の女にはなりたくない 何が好きなのか分からなくなってしまったよ、別にその人じゃなくてもいいんじゃない?何それ、意地? 学生時代によく一緒にいてくれた人と少しの期間を置いて会ってもらった アルコールを入れなかったのは一秒も見落としたくなかったからだけど微塵なる後悔 あの時はもう戻ってこないんだ 他人はやはりいつも私より前を進んでいるしゴミ捨て場も水溜りもスキップして歩く ずっと私が考えているのは喪

          呼べる日まで

          偶然 誕生日と同じ数字を見るとテンション上がるよね

          暖かな陽の光に包まれると思っていたら 私が住む街にも雪が降り 気が付けば北国の雪も溶けて本物の春に迎えられていた。肌に感じた冷たさをほんのりとは覚えているけれど どうしてだかここ数ヶ月の記憶が鮮明ではない。勤怠記録を振り返ればどうやら出勤はしていたようだし 何なら先月は1年の中でも長く歯車として稼働したらしい。そんな朧げな精神の中で映画PERFECT DAYSを観た すばらしき世界を観た時に 役所広司が死んだら私は泣くだろうなと知人に話したことを思い出した。私の凡庸な人生さ

          偶然 誕生日と同じ数字を見るとテンション上がるよね

          循環

          年が新しくなる頃から息を吸って吐くことが難しくなっていたけれど随分と楽になってきた。そして文字通り一呼吸置いた今日、何を目指せばいいかまた迷い始めた。 月を経るごとにインスタグラムの画面に増えるエンゲージリング。かく言う私の母もこの歳になれば仕事を辞めて社宅に居を移したし いつかの同級生がやれ結婚だやれ同棲だと言っても何も不思議ではない。 ふと気が付いた時、私はいつも空っぽだった。勉強も部活も中途半端で 努力もせずに進める大学を選んだ。出来るだけ目立たないように近くの席に

          春期鬱

          私はあまりにもマイペースで ただそれを保つことが難しいほどに生真面目なところがある それでいてこころの表面積が大きい。良いも悪いも触れ合うものが人より多いから ふとした時の誰かの翳りは辛いしちょっとした喜びが嬉しかったりする。そしてそれ以上に自分自身へのダイレクトな感情アタックが脳に届いた時 何だかまた情けなくなって涙が出てしまうんだ 涙腺はコントロールできないし自律神経はバカになっているから真冬の電車内で急な滝汗に襲われる。夜は眠れないのに日が昇ると眠くて堪らないし貧血と

          死に絶えることなく

          私が住む街に舞い始めた悪の化身花粉に犯され腫れた目で向かったツルツル真っ白な街。連日涙を流してしまってまだアホみたいになった二重幅が治りません 魔冬のガールフレンド、魔夏のボーイフレンドの続き。あなたたちがつくってくれた物語の中で私はいつだって一番に救われるんだ この日のサンクルでしか聴けないあの曲、定番だけどリードギターの音の違いでいつもと少し違って聴こえる歌や「俺たちの歌」とずっと叫び続けてくれる大好きな声、MCでくれた言葉たち どれも大切で失くしたくない。忘れたくな

          死に絶えることなく

          思索捜索、回答

          この数週間、感情を持つことを放棄していた。自分を守るため、そうすれば傷付くことがないから あなたを含めた幸せを本気で願っているのに、それを土足で荒らしていく輩にはほとほと嫌気が差す すきな人にすきだと言われるよりありがとうと言われる方が嬉しい、そんな風に思えるようになりたい。恋にも夢にも絆されずに現実だけを見てきたから、今は少しだけ回り道をしてもいいじゃない。すきを伝えたい時にはなんて言えばいいんだろうかとずっと考えてきた。言葉は沢山あるからいくらでも悩むし私の足りない脳

          思索捜索、回答

          らゔりぃ/lovely

          去る1月9日、地下鉄さっぽろ駅のごく近くでの掲題公演のために日々生活をしてきたと言っても過言ではないだろう。DOUBLIVINGとFATE BOXの共催企画の開催が発表されたのは忘れもしない昨年9月29日の午後9時でした。その2組の来東時期が重なったのはまた遡ること約3ヶ月前、照りつける陽がかなり高く昇っていた7月の初旬。全ての対バンが解禁されていなかった頃に心にあった淡い期待はあっけなく、それぞれのライブは素晴らしく私を潤したものの少しだけ寂しさや悔しさとも違うよく分からな

          らゔりぃ/lovely

          青い花

          ーー友だちが欲しいな 年末年始の休暇を挟んだからなのか、怠惰な生活を繰り返した人間と同じようにやけに起動が遅いPCを前にひとりそう呟いた1月5日。 大人になると友だちは減る と人は言うし、正にそうだとも考えるようになった。自他共に認めるほどに友だちが少ない私がこんなことを話すと何だか可哀想な話に聞こえるが決してそれはそういうことではない、と思いたい。 幾つ年を重ねてもただ漠然としてある人の存在というものを、好意や悪意が呼ぶ感情や相互関係を考えてしまう。 ずっと普通で在り