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『"お父さん"の命のうた』

私は 夫が
腎不全で 最期だと
言われて 療養型病院に転院したとき
胃瘻に 丸つけました
奇跡を願いました
苦しむようなその時は
この手で 殺そうと決めた
刑務所 入る 覚悟しました

夫の退院が
決まった お祝いの日
夫の 脳みそは 突然 病に犯されました
大きな病院に
搬送された時
絶望的ですと
画像を見せられた
ひたすら 無言で くちづけしました

おしえてください
命は 等しく 尊いものだと
こぼれた 命を 拾って 描いてきました
貧困を 描いたり
風俗嬢 描いたり
精神病 描いたり
高齢者 描いたり
私は 祈るのです

夫は 近頃
「 生きるのに 疲れたなぁ」と言う
腎臓病食  水分制限  5年目です
私が仕事をすると
夫は孤独になる
言葉を交わすのが
1日の中の わずかです
夫は 後期高齢者です

私の 若さが
私は 憎たらしいのです
夫は 心臓も腎臓も ステージ4です
せっかく 助かったのに
今 ふたり暮らしてるのに
夫の余生とは
一体 なんですか
私は 泣いています

仕事と 夫と
私が 重きを置くべきは
夫の命と 向き合うことだと 分かっています
言葉を失わないで
私が机に向かうたび
夫は 静かに笑って
そして 全てを諦める
私は 壊れそうです

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25歳 上の夫(令和5年、77歳。重篤な基礎疾患があります)と私との最後の「青春」の日々を綴ります。

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