ジェームスボンド派と寅さん派は仲良くできるのか?(1219文字)
ザ・昭和男の父は独断と偏見で男性を判断する。
・サッカーしてるやつはカッコつけ。
・髪の毛いじってるやつはちゃらちゃらしてる。
・時計、靴、車、スーツに金をかけるのはろくな男じゃない
たまたま相思相愛になり結婚した夫は、
サッカーをしていて、おしゃれが大好きで、良いものが大好き。
そして、素朴で誠実な人柄だった。
年上や目上の男性にとにかく受けがいい夫のことを父もすぐに気に入った。
それから13年来の付き合いになる夫と父が、初めてさしで飲みに行った。
場所は父のホームである立ち飲み居酒屋と炉端焼き居酒屋。
真っ赤に茹で上がった顔で帰宅した夫。
酒に弱いのに、父が進めるまま、相当な量を飲んだんだろう。
「シュークリームたべなあかん…」そうつぶやきながら布団に倒れこんだきり、起きられなくなった。
夜中に起きた夫と、帰宅した父の二人のメールのやり取りがのこっていた。
父「公園で寝てしまい、先ほど帰りました。今日はありがとうね」
夫「大丈夫ですか?!こちらこそありがとうございました」
父「大丈夫です。お風呂にも入って今はすっきり。明日も頑張れそうです。ありがとうね」
たしか前にもこの公園で寝ていた気がするけれど、大丈夫か父。
夫は、父の男性に対するステレオタイプイメージを優しく、穏やかに打ち破ってくれている。
ホテルのアフタヌーンティーも好きだし、トップバリューのピーナッツ揚げせんも大好き。
良いものを買ったら、手入れをして大事に慈しんで使い、修理できないものはだめになるまでとことん使う。
妻が財布を買い替えた時には、うっかりものの妻が大事なものを中にのこしていないか、処分前にくまなく点検する。
「ねじりまんぽ(*)いってきたよ」というと、
それぞれからこんな返事が返ってきた。
夫「え?ねじれ○んぽ?」
父「てくてくおさんぽか?」
(*)京都・蹴上にある、壁が螺旋状にねじれたトンネル。
ちょっと天然で、不思議なところが多くて、
自分を自由にさせてくれて、愛してくれる女性が好き。
カッコつけたくて、楽しいことが好きで
お得なセールやポイントが大好き。
そして高血糖で高血圧。
全く違うようにみえて、かなんだかんだで共通点も多い2人。
ジェームスボンドと寅さん。
どちらも各地を転々とする。目的が任務か放浪かの違い。
そしてスパイも的屋も神出鬼没。
寅さんは言うだろう。
「あいつも俺とおんなじ渡り鳥よ」
「まんぽ(トンネル)」
「ひんぽ(品質保証)」
「ちくりん(竹林)」
耳慣れないことばたちに、
「なにその言葉?」と、頬を赤らめ聞く息子。
小学3年生にも、卑猥に感じる響きがあるのだろう。
NHKブラタモリが好きな息子は、
楽曲「short short」と共に始まる、タモリクラブのお尻ふりふりオープニングはまだ1度も直視できていない。
二人でさしでのんだとて、別段あらたまった話はしていないだろう。それでも貴重な男同士の時間。
いつか三世代で飲みに行ける日まで、みんな元気でいてほしい。
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