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フードテックの可能性を支援事例から考えてみる(1) ◎地域金融機関さまの取引先支援のお手伝い

株式会社ただいまの佐藤と申します。何度か自己紹介させていただきましたが、これまで10年以上、地域の事業者さんの支援を手がけてきました。支援にあたっては、地域の金融機関さんや支援機関の方々とご一緒させていただく機会が多く、静岡、千葉、栃木、長野、京都、広島、福岡、長崎などで主に活動しています。

しばらく更新が途切れてしまっていましたが、これまで発信させていただいた中では、「地域の「得意」を加速させるフードテック」の記事にもっともアクセスが多く、皆様の関心が高いと推察しております。

日々発展するテクノロジーですが、前回の記事でも発信させていただいたとおり、「課題解決のためのテクノロジー」である必要があり、想像を超える、楽しくて豊かで、便利な生活が実現するフードテックには「現場からの目線」も重要だとあらためて感じています。

そのためには、以前ご紹介した『フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義』を参考に、弊社の支援事例から、どのようなテクノロジーの可能性があるか、あらためて、丁寧に考えてみたいと思います。

単なる技術論ではないアプローチ・内容は、
地域を支援するフードテックの検討に、非常に参考になっています。

『自らつくれること・つくること』を大切にする社会の実現へ 〜 Future Food Vision1 より

フードテックといえば、家事の負担を減らし時間を確保してくれる「自動化」のようなテクノロジーのイメージも強いのではないでしょうか。ですが、コロナ禍の大きな影響もあり、食事を準備していただくスタイルも変化してきていることを感じます。本書にも記載がありますが「時短一辺倒」から「もうちょっと料理に時間と手間をかけたい」という機運も感じます。

コロナ禍は、想像より長い期間、不自由な生活を我々に強いてきました。その中でも「ひととつながること」を大切に感じることはもちろん、もうちょっと違う角度では、ただ消費するだけでなく「つくる過程を体験すること」にも大きな関心が高まっているように感じています。

つくる楽しみにあらためて気がつける「体験キット・サービス」

この2年間、弊社では地域発の「つくる過程を体験できるキットやサービス」の宣伝販売に注力してきました。その中で最近、お客様の関心が高かったのは「味噌づくり体験」でした。長野県須坂市の老舗糀屋さんが完成させたキットは入門編として非常に取り組みやすいばかりか、仕上がる味噌の味も格別です。
この味噌づくり体験、あらかじめ「つくる楽しみを感じやすい」よう、下準備されたキットが自宅へ送付され、味噌づくり当日は、ZOOMを通じてオンラインで、職人さんの説明を聞きながら、約1時間、味噌の仕込みに取り組みます。約半年後からが食べごろです。ただ長い期間そのまま熟成させても、また違う味わいになります。

オンライン越しに教えていただきながら、スムーズに味噌づくりに取り組めます

つくる楽しみにあらためて気がつくと、もっと真剣に取り組みたくなる = ここをサポートできるテクノロジーの可能性から。


この1時間の間にも、参加者からたくさん質問が出るのですが、1つ1つに職人さんは丁寧に答えていきます。その中でも特に多かったのは「仕込んでからいつのタイミングが『ベスト』なのでしょうか」でした。味はひとそれぞれの好みがある、と思っている自分からすれば意外な質問でしたが、初めて味噌づくりに取り組む方からすれば、いつが美味しいタイミングなのか、不安に思うのもよくわかります。

もしかしたら、ご自分が仕込んだ味噌の発酵具合を、仕込んでいる部屋の温度とあわせてアプリで記録して観察し、ベストタイミングをアプリが教えてくれるとか、表面の写真をとると、ある程度AIが自動で食べごろを予測してくれるとか、何かそうした「判断の目安・材料」となるテクノロジーがあってもいいのかもしれません。

どんな情報が、いつキャッチできれば、自分のお気に入りの「味噌」が完成するか?

もちろん、そんなツールがなくても、自分の感覚や味覚を信じて楽しむこともできる(もしくはそちらの方が本質的)かもしれませんが、「つくる」ことが「うまく」いくと、やはり「楽しい」と感じる、そしてもっと「深く・真剣に取り組みたくなる」のでは、とも思います。

そんな、ささやかな楽しみ・体験の企画実施からでも、次代のフードテックのヒントがあり、人間の基本である「自らつくりだすこと」への取り組みを加速させるかもしれない、そんなことを感じました。


お忙しい中、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。よろしければ、こちらもご覧ください!




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