若杉忠弘 / Tadahiro Wakasugi

コンパッション研究・グローバルリーダー育成。グロービス経営大学院教員。プロレドパートナ…

若杉忠弘 / Tadahiro Wakasugi

コンパッション研究・グローバルリーダー育成。グロービス経営大学院教員。プロレドパートナーズ社外取締役、ポジティブ心理学協会理事、人生100年生き方塾理事。ロンドン・ビジネス・スクール経営学修士、一橋大学経営学博士。https://compassion-center.online/

最近の記事

サステナブル経営には「コンパッション」が不可欠

朝日新聞にインタビューいただき、ウェブの記事にのせていただきました。 コンパッションは、社会的価値と経済的価値を両立させるエンジンとなると思っています。 もしよかったら、読んでいただければ幸いです。 サステナブル経営には「コンパッション」が不可欠 研究者が提案する実践方法とは

    • マッキンゼーの知見:ホリスティックな健康に着目せよ

      マッキンゼーが30か国で、3万人の従業員に対して行った調査が面白いです。 いま、職場では、従業員のエンゲージメントやバーンアウト、幸福度が注目されていますが、「それよりもホリスティックな健康を見た方がいいんじゃない?」という趣旨がにじみ出ています。 日本も含まれているのですが、その調査結果も注目です。 ・・ まとめ1:ホリスティックな健康は、身体的、精神的、社会的、そしてスピリチュアルな健康をすべて含めたコンセプト。ホリスティックな健康が高い従業員であればあるほど、職

      • ビジネスパーソンのためのセルフ・コンパッション7週間コース

        ビジネスパーソンのためのセルフ・コンパッション7週間コースに登壇をさせていただくことになりました。マインドフルネス心理臨床センター代表の小林亜希子先生とご一緒します。 セルフ・コンパッションを多くの人に知ってほしいと願っています。自分にやさしさを向けることで引き出される力強さがあるということを。 セルフ・コンパッションは、「自分はダメだ」と自己批判するのでもなく、「自分は大丈夫」と無理に自己肯定でもない、もう一つの道を提示します。 セルフ・コンパッションは、心理学でこの

        • 職場の負の連鎖をコンパッションで断ち切る

          上司からいやがらせを受けたら、誰でもイヤなものです。 人前で叱責職場の負の連鎖をコンパッションで断ち切るされたり、感情的にあたられたり、間抜けだと言われたり、プライバシーに立ち入ったり。 実際、いやがらせをうけると、仕事のパフォーマンスが下がるばかりだけでなく、メンタルもやられます。 上司からいやがらせをうけると、それが下にもどんどん波及し、職場がいやがらせ文化になってしまいます 上司からいやがらせを受けているマネジャーが、自分自身を守り、自分のメンバーに負の連鎖が波

        サステナブル経営には「コンパッション」が不可欠

          心理学の知見:なぜ、パワーをもつと幸せになれないのか?

          「どうして他人を支配することから幸せを見出せると考える人がいるのか、私には理解できない」 (アメリカ合衆国の第3代大統領) 多くのビジネスパーソンは、「もっとパワーがあれば」と望みます。 でも、その代償についてはあまり知られていないかもしれません。 パワーをもつと、攻撃的なり、周りが無礼に見えてきます。 そして、満足感が得られず、家でもリラックスできない。 そのようなデータがあります。 ・・ メリーランド大学とフロリダ大学の研究グループは、エグゼクティブMBA

          心理学の知見:なぜ、パワーをもつと幸せになれないのか?

          心理学の知見:私のこと、見えてる?

          自分がそこにいるのに、あたかも自分がいないかのように扱われる感覚。 こうした「見えない存在」として扱われた体験をお持ちでしょうか。 別に、意図的に無視されているわけでもないし、攻撃されているわけでもない。 でも、いるのに、いないように扱われるつらさがありますよね。 ・・ アイビー・ビジネス・スクールとブリティシュ・コロンビア大学の研究グループは、黒人、アジア系、ヒスパニック系など非白人女性に焦点をあて、「見えない存在」として扱われる体験を明らかにした。 アメリカと

          心理学の知見:私のこと、見えてる?

          心理学の知見:ミドルマネジャーがもっとも不幸であった。

          リーダーは幸せか? 幸せだったり、幸せでなかったりとなかなか一貫した答えがない問いです。 ところが、最新の調査によると、リーダーのレベルとジェンダーに着目すると傾向が見えるというのです。 その傾向とは、シニアリーダーや一般社員に比べて、ミドルマネジャーがもっとも不幸で、ミドルマネジャーの中でも女性のミドルマネジャーがさらに不幸だというのです。 ・・ ニューサウスウェールズ大学とマカウ大学は、リーダーのレベルとジェンダーがリーダーの幸せにどう影響するかを調べた。 調査

          心理学の知見:ミドルマネジャーがもっとも不幸であった。

          心理学知見:自分の人生に、英雄の旅路を見出したとき、人生が豊かになる。

          僕らは物語が大好きです。 数々の神話やハリウッドの映画には、共通のストーリーがあり、英雄の旅路(Hero's Journey)と言われています。 英雄が冒険に出て、困難に立ち向かい、それを乗り越えて変わって帰ってくるような話ですね。 英雄の旅路など、自分とは関係のないことだ・・・と思ったとしたら早計かもしれません。 というのも、自分の人生に英雄の旅路を見出すための方法が提案されています。 そして、この方法を実践すれば、もっと人生に意味を感じることができるというのです

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          心理学の知見:チームリーダーが自分の人事評価を開示したら、すごくうまくいきました。

          チームミーティングの場で、チームリーダーがこう切り出したらどう思うでしょうか? 「皆さん、こんにちは。私が皆さんの改善点を知っているのに対して、私の改善点は皆さんは知らないですよね。ですので、上司からもらったフィードバックをみなさんに共有します。年末の評価では、次のような改善が求められました」 チームリーダーからすると、ちょっと勇気のいる会話ですが、その価値はあるのですよね。 面白いことにチームリーダーが人事評価を開示すると、チームの心理的安全性が持続的に高まる事例が出

          心理学の知見:チームリーダーが自分の人事評価を開示したら、すごくうまくいきました。

          生き方革命をもたらすセルフ・コンパッション講座のご案内

          セルフ・コンパッションの全8回のオンライン講座を11月下旬から1月にかけて開催します。 セルフ・コンパッションの専門家3名とともにお届けします。 禅僧で精神科医でいらっしゃる川野泰周先生、コンパッションの研究と実践を切り開かれている石村郁夫先生、そして薬学博士で脳科学がご専門の駒野 宏人先生と、私です。 人はだれでも、つらい体験をするものです。 そのとき、セルフ・コンパッションは、「自分はダメだ」と自己批判するのでもなく、「自分は大丈夫」と無理に自己肯定でもない、第三の

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          心理学の知見:この世でもっとも差別されているのはAIかもしれない。

          生成AIが話題ですね。 ところが、データをみると多くの人はAIが嫌いです。 人はAIが間違えると、人が間違える以上に叩くし、AIとの約束は簡単に破ります。 またAIへのバイアスもすごいです。AIの力は過小評価されやすく、人の力が過大評価されやすい。 AIが人格を持っていたとしたら、AIはなんともひどい扱い方をされていることになりますね。 ところがAIはずば抜けて仕事ができるのです。 AIは、ずば抜けて優秀だけど、どうしても好きになれない同僚のようなものです。 人は果

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          心理学の知見:もしロボット僧侶が「般若心経」の法話をしたら

          ロボット僧侶はすでに日本のお寺で導入をされています。 京都の高台寺では、高さ195cmのロボット僧侶が「般若心経」の法話を説いているのをご存じでしょうか。 アルミ製で、顔などはシリコンで覆われ、人間のように頭や胴体を動かすことができます。 さらに、プロジェクションマッピングを駆使し、スクリーンに映像を投影しながらのダイナミックな法話です。 BBCなど海外のメディアでも取り上げられ話題になりました。 さて、ロボット僧侶の法話力は人間僧侶と比べて、いかほどなのでしょうか

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          心理学の知見:人間の思考力は、伝統に制限され、AIで解放された。

          2016年3月15日、グーグルが開発したAIプログラムAlphaGoが、プロの囲碁棋士を打ち負かしました。 エポックメイキングな出来事でした。 面白いのはここからでして。 打ち手が記録されはじめた1950年から2016年まで66年間、プロ囲碁棋士の打ち手のクオリティは、ほぼ横ばいで成長がなかったのです。 そして、2016年。これ以降、プロ囲碁棋士の打ち手のクオリティは一気に向上していくことになります。 なぜでしょうか。 今まで、プロ囲碁棋士の打ち手は伝統のパターン

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          経営学の知見:ChatGPTで、時間40%減、品質18%向上しました。

          ChatGPTを使うことで仕事の生産性はどれくらい上がるのでしょうか? 早速、サイエンス誌にこの問いに答える論文が掲載されました。 ・・ MITの研究グループは、ChatGPTを使うことで仕事の生産性がどれくらい変わるかを調査した。 プロフェッショナルにある仕事をしてもらい、ChatGPTを使った人と使わない人の生産性の差を分析した。 調査 ・大卒の経験豊富なマーケッター、ライター、コンサルタント、データアナリスト、人事専門家、マネジャーを453人を募集。 ・彼

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          心理学の知見:人恋しい?それは仕事でAIを使うようになったからだった。

          最近、人恋しいと思ったことはないでしょうか。 もしかしたら、仕事でChatGPTなどAIを使いはじめたから、かもしれません。 最新のデータによれば、仕事でAIを使えば使うほど、人恋しく感じるようです。 この人恋しさを埋め合わせようと、たとえば、周りの同僚を助けて、なんとか関わりをつくろうとするんですね。 それから、寂しさを感じ、お酒の量が増え、なかなか寝付けなくなる実態が様々な企業で見られています。 ・・ ジョージア大学、テクサスA&M大学などの研究チームは、仕事

          心理学の知見:人恋しい?それは仕事でAIを使うようになったからだった。

          心理学の知見:ロボットがもたらす職場の不安と対処法

          最近話題の生成AIやロボットが働く人々のウェルビーイングにどう影響するか? 大事な質問ですよね。 たとえば、ロボットの台頭を目の当たりにすると、ほとんどの人は自分の仕事は大丈夫なのかと不安になります。 その結果、燃え尽きやすくなったり、同僚に冷たくあしらったりと、悪い影響が出ることが分かってきました。 どうしたらよいか。この不安は、過剰に反応している場合が多いようです。 自分が大事にしている価値観を思い出し、自分を取り戻すことで、適切な対応がとれるようになってきます

          心理学の知見:ロボットがもたらす職場の不安と対処法