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【転職/キャリア設計】製造業界の技術者・研究者が押さえるべきキャリア設計/転職のコツ

みなさん、こんにちは!たこ焼きです。製造業の技術者から別業界への転職経験を基に、友人や同僚のキャリア相談を数多く受けてきました。

これらの経験から、同じような不安を抱える多くの方々に役立つ情報を共有したいと思い、この投稿を始めました。

特に20代から30代の技術者や研究者の方々が、将来への不安を感じやすい現状を踏まえ、キャリア構築や転職のコツをお伝えします。


1.本投稿のサマリ

この記事では、不安の抱える理由から3つのタイプに分類し、タイプごとの特徴と課題を具体的なエピソードと共に解説しました。

【タイプの分類】
 タイプ1:目的が不明確
 タイプ2:目的は明確だが、手段が不明確
 タイプ3:目的のために手段を実行しているが、うまくいっていない

特徴や私の友人たちのエピソードも踏まえて、タイプごとに具体的な行動のヒントを掲載しました。
みなさん自身の状況を見つめ直し、まずは何か一つでも具体的な行動に移せるヒントを得ていただければ、嬉しいです。

2.対象読者

この投稿は主に製造業界に勤める20代から30代の技術職、研究開発職の方々向けです。例えば、自動車メーカーの部品設計や生産エンジニア、非鉄/鉄鋼の生産エンジニア、化学系研究員などです。

専門性とビジネススキルを兼ね備えた貴重な人材であるにも関わらず、その「価値」を十分に活かせていない現状が多いと感じています。この投稿が皆さんにとって役立つ情報となることを願っています。


3.タイプ別の解説

タイプの分類と特徴

前回の投稿でみなさんが抱えている不安を基にタイプ別に分類しました。引用を以下に掲載します。

自分の不安のタイプは?
不安のタイプは主に以下の2つから知ることができます。
 ①キャリアや人生の目的が明確か
 ②目的実現のための手段が明確か
これらを基に、次の3つのタイプに分類されます。
 タイプ1:目的が不明確
 タイプ2:目的はある程度明確だが、手段が不明確
 タイプ3:目的も手段も明確だが、実行がうまくいっていない

私がこれまで受けてきた相談等を基に、それぞれのタイプに当てはまる方の特徴をまとめました。




みなさんはどのタイプに当てはまりそうですか?ここからはタイプごとに特徴と私の知人や転職の相談を受ける中で聞いたエピソードを紹介します。


【タイプ1】キャリアや人生の目的が見えない原因

タイプ1の方は「キャリアや人生の目的が不明確」という視点に不安を感じている方々です。不安の原因を要素分解する必要はなく、目的がないもしくは明確でないことそのものが課題です(これが最も難しい課題ですが)。

ただし、目的がないもしくは明確でない原因は人それぞれです。

【原因の一例】
・目的を考えたことがなかった
・元々あったが達成してしまった/目的が今の自分に合わなくなった
・目的と思っていたものの解像度が粗かった
  →例えば、車を作りたい!と思っていたが具体的には、、、
   ・エンジンを作りたい
   ・ボディーを作りたい
   ・工場で実際に手を動かして部品を作りたい

まずは自分自身へ問いかけることで原因を探してみてください。

タイプ1の皆さんがより具体的に自身について考えられるように、私の知人Aさんの経験を掲載します。


【タイプ1】Aさんがキャリアの目的を見つけるまで

私の知人のAさんは工学部出身でものづくりが好きだからという理由で自動車メーカーに就職しました。

面接では「日本の自動車業界を牽引する自動車づくりに貢献したい!」と自身をアピールしました。

この時点ではキャリアの目的ははっきりしています。(解像度が非常に粗いという課題はあります。)

就職後も大学での経験が活かせる場面が多く、ものづくりへの情熱も相まって、仕事をバリバリこなし、周りからの信頼も厚く、楽しく仕事をしていました。

チームリーダー格(5〜6人のチームをまとめる役割)への昇格が決まった頃
「日本の自動車業界を牽引する自動車づくりに貢献する」とは?
と過去に設定したキャリアの目的に疑問を持ちます。

本人曰く、
「役職が上がったことで視野が広がり、自身が掲げる目的の「粗さ」に気づいた。」

Aさんは自分の目的を探すために色々な方法を試しました。

【Aさんが実際に試行錯誤した方法】
 ・先輩に聞いてみる
 ・上司に聞いてみる
 ・他社に勤めている友人に聞いてみる
 ・最近流行りの人生設計系の本を読んでみる
  など

最終的には、
「世界一優しいやりたいことの見つけ方」
方法を試すことで、自分の目的を発見できました。

私もこの本の方法を実践してみましたが、まさに私が楽しくやらせていただいている仕事が目的に直結していました。
Amazonのリンクを貼りますので、ぜひ読んでみてください!

Aさんの場合、何度も何度も目的探しを繰り返すことで、最終的に目的に辿り着いたと言えるでしょう。
目的が明確でない場合、Aさんのようにいろいろな方法を試すことをおすすめします。

1つの方法では目的に納得感がなかったり、逆に盲信してしまったりとデメリットが大きいからです。
色々試すと言っても大したことはなく、

【”ちょっとやってみる”だけでいい】
・友人にキャリアの目的や目標を聞いて、自分に合うか考えてみる
・Noteで日々の活動を報告している方のブログを見て、その方の目的が自分に合うか考えてみる

といった程度でいいです。

人生の目的が他人と同じではいけない理由はないからです。
人生は唯一無二ですが目的は唯一無二である必要はありません。

例えば、団体スポーツの選手は集団として同一の目的(例えばワールドカップベスト8入りなど)を持っていることがよくあります。
彼ら個人にとってキャリアの目的であり、同時に集団としての目的でもあります。

もし同じ目的を持つ友人を見つけられれば、その方は皆さんの生涯の友人となるのではないでしょうか。



【タイプ2】目的を実現する手段がわからない

タイプ2の方は「目的はある程度明確だが、手段が不明確」という視点に課題を感じている方です。
この場合、課題とその原因を丁寧に要素分解する必要があります。課題とその原因が十人十色の世界となるからです。

目的そのものが不明確な場合とは異なり、手段が不明確な場合は、課題とその原因を特定することが最も重要になります。
目的達成に意味のない課題や、そもそも課題ではないもの/原因ではないものを解決しても意味がないからです。


【タイプ2】Bさんが部品設計部門から電池開発部門へ異動できたわけ

Bさんは大学で電池(今盛り上がっている全個体電池)の研究をしており、電池の開発をしたいと思い入社。しかし、配属ガチャに敗れ、部品設計部署へ配属。

それなりにやりがいはあり、日々の業務を淡々とこなしていたが、目的実現にはいつまで経っても進んでいる気がしませんでした。加えて部署異動の意思を示しても、人手不足が深刻な部署だったため、異動を受け入れてくれるはずもなく、気づけば5年が経っていました。

日々の業務に追われ、プライベートでの結婚もあり、元々やりたいと思っていた電池の開発に携わる道が見えなくなっていました。

ちょうど30歳の誕生日にちょっといいレストランで食事をしながら、不意に妻に問われました。

「もともと電池の専門家なのになんで部品設計をしているの?」

あまり仕事のことは妻と話してこなかったため、不意の質問に言葉が詰まってしまいました。同時に自分の中で電池の開発への未練があることにも気づきました。

それからBさんは個人的な繋がりを使って電池開発部とコンタクトを取りました。実はBさん、数年に渡り電池開発部への異動の打診を上長へお願いしていました。

しかし、電池開発部の部長は、
「君のような専門家がいることも知らなかったし、異動希望も初耳だ。」
この後、数回の面談を経て、Bさんは電池開発部門へ異動を果たしました。

Bさんの場合、やりたいことは明確にありましたが、
その実現が自分の努力や能力ではなく、異動を受け入れてくれない職場によって妨げられていました。
Bさん自身もそれに薄々気づいてはいたものの、具体的なアクションをしたわけでもなく、日々が過ぎていっていました。

このような状況に陥っている方はかなり多いと私は感じています。

【皆さんの本音】
 ・本当はやりたいことがある、、、でも今のままでもいいかな
 ・そこまでチャレンジしなくてもいいかな
 ・実行しようにも何からやればいいかわからないし、失敗したくない
  などなど

今一度、自分自身で目的達成に向けて何が課題となるか考えてみてください。すぐに見つかると思います。あとはちょっとだけ実行してみてください。

【”ちょっとやってみる”だけでいい】
 ・社内メールを1通出してみる
 ・社内の飲み会に出てみる
 ・転職エージェントと30分話してみる
 ・大学の友人に久々に会ってみる

なんでもいいです。ちょっとやってみると意外とトントン拍子にことが進み、なんでこんなことで悩んでいたんだろうか、諦めていたんだろうかと可笑しくなるはずです。



【タイプ3】頑張っているのに報われない

タイプ3の方は他の2つのタイプよりも少し複雑です。考えるべきこと/やるべきことはタイプ2の方と変わりません。

しかし、すでに実行し始めているという背景から、課題の探索や原因の究明、解決策の実行をすでに何度も何度も試している方が多いです。
それでもなおうまくいっていないということは、異なる視点で原因を分析する必要があります。

【視点の切り替えの例】
 ・自分 ー 他人
 ・個人 ー 組織
 ・能力/知識 ー 性格
  など

特に自己肯定感の低い方は自責思考が強く、他人や組織が原因となっていることに気づけないことがよくあります。

【タイプ3】頑張り屋のCさんが苦しんだ理由

Cさんはある大手自動車部品メーカー新卒で入社しました。
「かっこいい自動車作りに貢献したい!生産に関わりたい!」
と強い情熱を持っており、希望通り生産現場との折衝などに携わる部署へ配属になりました。

材料工学部出身のCさんは入社直後からその知識を活かして現場に貢献しました。加えて、持ち前の責任感と自動車への情熱から仕事をバリバリとこなし、率先して周囲をサポートしました。
上司や同僚からの評価も高く、Cさん自身もやりがいを感じていました。

3年が過ぎた頃、同期の数名が昇格していく中、Cさんにはなかなか声がかかりませんでした。

「きっと努力が足りないんだ。このレベルではまだ昇格できないんだ。」

Cさんは、終業後に自動車について勉強したり、海外工場とのやりとりのために英語を勉強したり、とさらに努力を重ねました。

さらに1年が経ち、同期の多くが昇格する中、Cさんは疑問に思いました。

「なんで昇格できないんだろう」

当時Cさんはすでに他部署や自動車メーカーとの折衝を一人でこなせるレベルになっており、これ以上何をすればいいのか、わからなくなっていました。

モヤモヤを抱える中、他部署への異動が決まった同期から飲みに誘われました。そこでCさんは衝撃的なことを言われました。

「Cさんと同じチームにいる1つ上の先輩がまだ昇格していないから、Cさんを昇格させないらしいよ」

Cさんは社内の評価はすでに昇格基準を満たしており、昇格試験(Cさんの会社では評価+試験の合格が昇格条件)にも合格していました。
それでもなお昇格できなかったのは、Cさんの能力や成果ではなく、チーム内での暗黙の「年功序列」によるものでした。

Cさんは今までの頑張りが裏切られたような気持ちになりつつも、”自分の視野の狭さ”に驚きました。

その後、Cさんは一念発起し、転職活動を開始。同業他社へ1つ上のランクで転職に成功、2年後にはさらに上のチームリーダーにまで昇格しました。
転職した後のCさんはこう言います。

「”頑張れば報われる” ”努力は裏切らない”は結果論。
結果的に報われた人、裏切られなかった人が経験を語っているだけ。」

私も”努力は報われる”とは思っていません。しかし、”努力が無駄”と言っているわけではありません。成果(Cさんの場合、昇格)につながる努力をすべきです。

Cさんの場合、上司への働きかけはあまり意味がないと推察できるので、別のチームや部署への異動、転職など「環境」を変える手段を早くから講じるべきでした。

真面目で頑張り屋な方ほど視野が狭くなり、報われない努力を続けてしまいがちです。

自分を客観視(他人視点、組織視点など)することで、報われる努力(手段)を今一度探してみてはいかがでしょうか。

自分一人では難しい場合には、友人や家族を頼ってみましょう。
しかし、私の経験上、このタイプの方は他人に相談することが苦手です。

「時間を使わせてしまう。迷惑になってしまう。余計な心配をかけてしまう。」

もしそう思うなら、相談相手の困りごとを聞いてあげましょう。友人や家族にも困り事や悩み事はあるはずです。
それを解決してあげることで、WinーWinな相談にしてみてはいかがでしょうか。


4.最後に

2回にわたって、私の経験をもとにキャリアや人生の岐路に立っている方のタイプ分けとエピソードを紹介してきました。

少しでも役に立った、面白かった、共感したと思ってもらえましたら、「スキ」をしていただけると励みになります。

もっと知りたいことや相談したいことがあれば、コメントいただけますと幸いです。
それでは次回の投稿でお会いしましょう。

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