見出し画像

コンビニ

コンビニの自動ドアに人が出入りするたびに、正確にはそのドアに人が近づくたびに鳴る、あの音が不快だ。

生粋の台湾人の両親のもと、台北で産まれたが俺だが、親の仕事の都合で小3まで日本の群馬県で暮らしていた。だから、やや方言が混じるものの、一通り日本語が話せる。台北に戻ってきてから中学生くらいまでは、けっこうそれだけで話題に困らなかった。クラス替えをしてすぐの自己紹介でそのことを話せば、だいたいクラスメイトに顔と名前を覚えてもらえたし、話しかけてもらえた。日本という台湾から近い外国に興味を持ちだす年ごろであり、また、ちょっと珍しいものがかっこよく思える年ごろである。東京とか大阪じゃなくて、群馬ってとこがクラスメイトのツボだったようだ。

ここから先は

1,384字

舞台は台湾。台湾で暮らす人たちの日常を切り取った短編小説集です。 普通のガイドブックや旅行記に飽きた方へ。 小説の舞台となっている台湾…

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?