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福岡で夏至にしか見れない景色を見てきた

 1年で最も太陽の出ている時間が長い日である夏至の日,福岡のリゾート地として有名な糸島へと向かった.


糸島

芥屋の大門

 最初に訪れたのは,糸島半島の西側に位置する「芥屋の大門(けやのおおと)」である.日本三大玄武洞のひとつとされる芥屋の大門は,日本最大の玄武洞であり,その不思議な形状は遊覧船に乗ると見ることができる.

着いてすぐの便は満席だったため1便待ってその間に近くの海岸へ
海岸の入口には石が並べられた鳥居が立つ
芥屋の大門の東側の海岸
海岸には黒い玄武岩の石が転がる
海岸横の展望台へ行く道はトトロの森と呼ばれる
その名の通りトトロに出てきそうな森である
意外と長い階段を登る
開けた場所が見えてきたら間もなく展望台
芥屋の大門の上にある展望台から海を望む
遊覧船がちょうど戻ってきた
黄色い小さな遊覧船に乗り込む
海は透き通っていて美しい

 遊覧船乗り場の近くにある海岸やトトロの森で時間を潰していると,意外とすぐに次便の時間となり,芥屋の大門の遊覧船に乗り込む.
 芥屋の大門は糸島の強い波の浸食によって形成された洞窟であり,遊覧船はその外側を見て回るだけかと思っていたら,なんと洞窟の中にも入ってくれるらしい.ただし,この日は波が大きく洞窟の中には入れない時間もあったらしい.さて,どうなるか…

芥屋の大門の入口
洞窟の穴が柱状節理に囲われているのが面白い
今回は洞窟の中に入ることができた!
海は青く美しく,天井は柱状節理の断面が蜂の巣状に見え,なんとも不思議な光景である.
日本に数ある柱状節理の中でも特に不思議な形状である
左横の奇岩には天女にまつわる伝説が残されているそう
芥屋の大門の裏側も柱状節理の壁が美しい

 遊覧船は波で大きく揺れており,洞窟の中には入れないかもという考えが脳裏をよぎったが,このくらいの波は大したことないのだろうか,洞窟内に入れるかは波の状況次第という事前説明にもかかわらず,何事もなかったのかのように洞窟の中まで入ってくれて,美しい光景を見ることができた.
 とはいっても,やはり洞窟の中は狭いようで,遊覧船が入れるのは洞窟のほんの入口までであった.船首を洞窟内に入れたところで船を少しの間止めてくれて,その間に我々乗客は芥屋の大門の内側の不思議な光景を堪能した.

姉子の浜

 遊覧船に乗る時間は30分と短い時間であったが,じゅうぶんに楽しむことができた.遊覧船から降りてからはさらに西へと進み,佐賀県との県境の手前にある,姉子の浜という海岸へ向かった.

青い海と白い砂のコントラストが美しい姉子の浜

 この姉子の浜は,砂の上を歩くと鳴いているような音がする「鳴き砂」で有名な場所であるが,実際に歩いてみたところ何も音がしない.近くの観光案内所の方いわく,砂の乾き具合によって鳴いたり鳴かなかったりだそうで,この日のような雨が降ったあとだとあまり鳴かないらしい.
 その観光案内所にはすり鉢に入った鳴き砂が用意されており,棒で垂直に押してみるとたしかに「キュッキュッ」と音がなる.この音は,砂に含まれている石英の粒子が擦れ合うことで鳴るものだそう.

白糸の滝

 糸島というと海のイメージが強いが,内陸のほうへ進んで山道を登ると,白糸の滝がある.

道路のすぐ横に白糸の滝があり,車を降りると早速滝の音が聞こえる.
糸島の白糸の滝
白糸の滝の横にはそうめん流しなどの食事を楽しめる店がある
高台にある白糸の滝からは糸島の海が俯瞰できる

 滝自体は落差24mだそうで,先日訪れた富士山麓の白糸ノ滝と比べるとスケールに劣るどころか白糸という感じもしなかった.とはいえ,遊歩道は滝のすぐ下まで続いており,滝を間近に感じられるうえ,近くにはそうめん流しやヤマメ釣りを楽しめる場所が整備されており,観光スポットとしては良い場所である.

 白糸の滝の近くにはいきさん展望台はろ展望台という,糸島の海を俯瞰できる展望台がある.いきさん展望台のほうは一部崩落しているうえに草が生い茂っており展望はほとんどないので,はろ展望台のほうがおすすめである.

はろ展望台から糸島の海を望む
霞んでいて海が綺麗に見えないのが残念

二見ヶ浦 夫婦岩

 この夏至の日に最後に立ち寄ったのが,糸島の海岸の中でも特に人気のある,二見ヶ浦である.
 二見ヶ浦の海岸には,櫻井神社の海中鳥居の先に,御神体岩として信仰されている夫婦岩(めおといわ)が佇んでいる.
 そして,1年で最も日が長いこの夏至の日には,伊勢の二見ヶ浦の中心から朝日が昇り,糸島の二見ヶ浦の中心へ夕日が落ちるという現象がおこり,夕日が夫婦岩のちょうど真ん中に落ちるという光景を見ることができるそう.
 実は私はそのことを知らずにたまたまこの日に来たのだが,姉子の浜の観光案内所の方に教えていただき,夏至の日にそんなことが起こることを知った.しかもこの日は予報に反して晴れ空が広がっている.年に1回,この時にしか見れないものに期待が膨らむ.

海中鳥居と夫婦岩の佇む海が美しい二見ヶ浦
海中鳥居の先に夫婦岩を望む
夫婦岩の間に夕日が落ちる,夏至の日にしか見れない光景まであと少し.
ところが,残念ながら夕日は雲に隠れてしまった.
日没後の,暮色に染まる二見ヶ浦も美しい.

 夏至の日にしか見れない光景に期待が膨らむ中,夕日の沈む方向には雲が湧いていた.それでも,夫婦岩の間の先に見える,雲の切れ間に夕日が現れることを期待したも束の間,夕日が夫婦岩の間に落ちる頃には,雲の切れ間もなくなってしまい,非常に残念なことに,その光景を眺めることは叶わなかった.
 とても残念ではあるが,それでも,その後に暮色に染まる二見ヶ浦は,とても美しい景色であった.

宗像大社

 予報に反して晴れた夏至の翌日は,予報通りの雨であった.この日は天神に用事があったのだが,その用事の前後で軽く観光をした.

 この日の朝に訪れたのは,世界文化遺産にも登録されている,宗像大社辺津宮(へつぐう)である.
 宗像大社は,玄界灘に浮かぶ沖ノ島を神域として信仰する神社であり,沖ノ島の沖津宮,大島の中津宮,本土の辺津宮によって構成される.そのうちの沖津宮は,沖ノ島の島全体が神域とされているため,一般人は立ち入ることができないが,大島の中津宮は船でアクセスが可能である.
 しかし,今回は島へ行く時間は取れなかったため,辺津宮のみを訪れた.

辺津宮の入口の鳥居
世界遺産の碑と辺津宮
辺津宮の本殿
辺津宮境内には,沖津宮と中津宮の御分霊をお祀りしている第二宮(右)と第三宮(左)がある.
この第二宮と第三宮の社殿は,伊勢神宮の別宮である伊佐奈岐宮と伊佐奈弥宮の旧社殿だそう.
第二宮・第三宮の先にある長い階段を登った先には高宮祭場がある.
思ったよりも階段が長く少しきつい.
この高宮祭場は宗像大社境内で最も神聖な場所の一つであり,岩や木々をはじめとする万物に神々が宿るという神道の根源である自然崇拝を今に伝える古代祭場である.
宗像の海
晴れていれば大島や沖ノ島を望める
近くにある新原・奴山古墳群も世界遺産の構成資産である

住吉神社

 用事のあとは帰りのフライトまで時間があったので,博多駅近くにある住吉神社に立ち寄った.
 住吉神社というのは日本全国に2千以上あるが,その中でも博多の住吉神社が最初と言われているそうで,住吉大神をお祀りしている神社のなかでも日本三大住吉のひとつに数えられるものである.
 そんな住吉神社の社殿は朱色に彩られており,鮮やかな印象を受ける.

神門
国の重要文化財にもなっている本殿
石畳の上は神様の通り道であるため,石畳上からの撮影は禁止されている.
朱色の鳥居が立ち並ぶ稲荷神社
こちらも正面は神様の通り道であるため撮影禁止

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