福岡で夏至にしか見れない景色を見てきた
1年で最も太陽の出ている時間が長い日である夏至の日,福岡のリゾート地として有名な糸島へと向かった.
糸島
芥屋の大門
最初に訪れたのは,糸島半島の西側に位置する「芥屋の大門(けやのおおと)」である.日本三大玄武洞のひとつとされる芥屋の大門は,日本最大の玄武洞であり,その不思議な形状は遊覧船に乗ると見ることができる.
遊覧船乗り場の近くにある海岸やトトロの森で時間を潰していると,意外とすぐに次便の時間となり,芥屋の大門の遊覧船に乗り込む.
芥屋の大門は糸島の強い波の浸食によって形成された洞窟であり,遊覧船はその外側を見て回るだけかと思っていたら,なんと洞窟の中にも入ってくれるらしい.ただし,この日は波が大きく洞窟の中には入れない時間もあったらしい.さて,どうなるか…
遊覧船は波で大きく揺れており,洞窟の中には入れないかもという考えが脳裏をよぎったが,このくらいの波は大したことないのだろうか,洞窟内に入れるかは波の状況次第という事前説明にもかかわらず,何事もなかったのかのように洞窟の中まで入ってくれて,美しい光景を見ることができた.
とはいっても,やはり洞窟の中は狭いようで,遊覧船が入れるのは洞窟のほんの入口までであった.船首を洞窟内に入れたところで船を少しの間止めてくれて,その間に我々乗客は芥屋の大門の内側の不思議な光景を堪能した.
姉子の浜
遊覧船に乗る時間は30分と短い時間であったが,じゅうぶんに楽しむことができた.遊覧船から降りてからはさらに西へと進み,佐賀県との県境の手前にある,姉子の浜という海岸へ向かった.
この姉子の浜は,砂の上を歩くと鳴いているような音がする「鳴き砂」で有名な場所であるが,実際に歩いてみたところ何も音がしない.近くの観光案内所の方いわく,砂の乾き具合によって鳴いたり鳴かなかったりだそうで,この日のような雨が降ったあとだとあまり鳴かないらしい.
その観光案内所にはすり鉢に入った鳴き砂が用意されており,棒で垂直に押してみるとたしかに「キュッキュッ」と音がなる.この音は,砂に含まれている石英の粒子が擦れ合うことで鳴るものだそう.
白糸の滝
糸島というと海のイメージが強いが,内陸のほうへ進んで山道を登ると,白糸の滝がある.
滝自体は落差24mだそうで,先日訪れた富士山麓の白糸ノ滝と比べるとスケールに劣るどころか白糸という感じもしなかった.とはいえ,遊歩道は滝のすぐ下まで続いており,滝を間近に感じられるうえ,近くにはそうめん流しやヤマメ釣りを楽しめる場所が整備されており,観光スポットとしては良い場所である.
白糸の滝の近くにはいきさん展望台とはろ展望台という,糸島の海を俯瞰できる展望台がある.いきさん展望台のほうは一部崩落しているうえに草が生い茂っており展望はほとんどないので,はろ展望台のほうがおすすめである.
二見ヶ浦 夫婦岩
この夏至の日に最後に立ち寄ったのが,糸島の海岸の中でも特に人気のある,二見ヶ浦である.
二見ヶ浦の海岸には,櫻井神社の海中鳥居の先に,御神体岩として信仰されている夫婦岩(めおといわ)が佇んでいる.
そして,1年で最も日が長いこの夏至の日には,伊勢の二見ヶ浦の中心から朝日が昇り,糸島の二見ヶ浦の中心へ夕日が落ちるという現象がおこり,夕日が夫婦岩のちょうど真ん中に落ちるという光景を見ることができるそう.
実は私はそのことを知らずにたまたまこの日に来たのだが,姉子の浜の観光案内所の方に教えていただき,夏至の日にそんなことが起こることを知った.しかもこの日は予報に反して晴れ空が広がっている.年に1回,この時にしか見れないものに期待が膨らむ.
夏至の日にしか見れない光景に期待が膨らむ中,夕日の沈む方向には雲が湧いていた.それでも,夫婦岩の間の先に見える,雲の切れ間に夕日が現れることを期待したも束の間,夕日が夫婦岩の間に落ちる頃には,雲の切れ間もなくなってしまい,非常に残念なことに,その光景を眺めることは叶わなかった.
とても残念ではあるが,それでも,その後に暮色に染まる二見ヶ浦は,とても美しい景色であった.
宗像大社
予報に反して晴れた夏至の翌日は,予報通りの雨であった.この日は天神に用事があったのだが,その用事の前後で軽く観光をした.
この日の朝に訪れたのは,世界文化遺産にも登録されている,宗像大社の辺津宮(へつぐう)である.
宗像大社は,玄界灘に浮かぶ沖ノ島を神域として信仰する神社であり,沖ノ島の沖津宮,大島の中津宮,本土の辺津宮によって構成される.そのうちの沖津宮は,沖ノ島の島全体が神域とされているため,一般人は立ち入ることができないが,大島の中津宮は船でアクセスが可能である.
しかし,今回は島へ行く時間は取れなかったため,辺津宮のみを訪れた.
住吉神社
用事のあとは帰りのフライトまで時間があったので,博多駅近くにある住吉神社に立ち寄った.
住吉神社というのは日本全国に2千以上あるが,その中でも博多の住吉神社が最初と言われているそうで,住吉大神をお祀りしている神社のなかでも日本三大住吉のひとつに数えられるものである.
そんな住吉神社の社殿は朱色に彩られており,鮮やかな印象を受ける.
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