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【簡単】揚げなくていい鯖の竜田揚げ×「作 玄乃智」~日本酒ペアリング研究会 報告書No.3~

※「日本酒ペアリング研究会」は、日本ソムリエ協会が認定する日本酒・焼酎のソムリエ資格「SAKE DIPLOMA」を持つ筆者が、日本酒とご家庭でもできる料理の合わせ方を提案する企画です( ˘ω˘ )。
     ついでに日本酒では三重の地酒を中心に取り上げ、料理ではほとんど三重の地物食材を使っています。また、料理のレシピも詳しく解説していますので、ぜひお読みください( ˘ω˘ )。


〇はじめに

 こんばんは( ˘ω˘ )。
 そして遅ればせながら、明けましておめでとうございます!!
 今年も引き続き、この「日本酒ペアリング研究会 報告書」企画を遂行してまいります。皆様、どうぞよろしくお願いいたします( ˘ω˘ )。

 というわけで3回目のこの企画。またまた三重県鈴鹿市のお酒「作」から、今回は「玄乃智」を選びました。

 料理は「揚げなくてもいい鯖の竜田揚げ」です。もちろん揚げてもいいんですが、油の処理が面倒なのでより少量の油で揚げ焼きします。揚げ物食べたいけど大変だし、天ぷら鍋とかないしなーという方にもおすすめ( ˘ω˘ )。

鯖の竜田揚げ

 それではさっそくやっていきましょ~。

◯材料と作り方

◇材料(1人ぶんかそれより少し多いかなぐらい)

鯖         200g
醤油                             大さじ1
日本酒       大さじ1/2
にんにく・生姜   お好きな量
片栗粉       適量
油         量は作り方にて解説
お好みで山椒

 上記のような「比率」で覚えるとよいです( ˘ω˘ )。鯖の量が変わっても「比率」で覚えれば、調味料をどれだけ使えばいいか計算できます。392グラムとかなら400gとしてやるか、気持ち少なくするみたいな感じでしましょう。

 醤油はいつもどおり伊賀越さんの「天然醸造 国産丸大豆しょうゆ」。油は桑名の油清さんが販売しているこめ油を使ってます。こめ油は油臭さが少ないので、大量に揚げ物をつくるときでも油酔いがないです。あと油切れがよく、揚げ物もカラッと仕上がります。酸化しにくいので、美味しさも長持ち。ちょいと値段が高いですが。もちろん、ふつうのキャノーラ油やサラダ油などでもOKです。

 また、僕は「料理酒」ではなく「日本酒(清酒)」を使います。今はタカラさんの「料理のための清酒」ですね。「料理酒」は「清酒」とはちがい、塩やらなんやらが入っているんですよ。それが悪いわけではないんですが、すでに液体に溶けているものは減らせないので、もし「しょっぱいな…」と感じても調整が利かないんですよね…。逆に言えば足りないものは足せるので、他のものが入っていない「日本酒」を使うことにしています。

 また、今回は比較的手に入りやすいので鯖にしました。ちなみにゴマサバを使ってます。

三重県産ゴマサバ。お腹のほうまでまだら模様があります。マサバはお腹にはまだら模様がないです。

スーパーでも切り身で売ってますね。もちろんマサバでも美味しいです。
 そして、使う魚は鯖じゃなくてもいいです。ほかにおすすめなのは鰆、いわし、アジなどです。青魚がいいですね。そういえば、鰆が準絶滅危惧種に指定されちゃったんですよね…。大好物なので残念です…。サンマでやっても美味しいですが、獲れないうえに漁に出ても燃料代のが高くて赤字になるなんて話を聞くとね…。

鈴鹿産 鰆の切り身。…すいません。これはすべて炙りで食べました…。参考画像です…。

と、少し話がそれましたが、赤身白身に関わらずお好きな魚で作ってみてください( ˘ω˘ )。それでは、続いて作り方です。

◇作り方

1.醤油・酒・にんにく・生姜をあらかじめボウルに合わせておく。
 
生魚を触る前やったほうが、手洗いの手間が1回減って楽です。特に冬は乾燥で手が荒れやすいですから。しっかり混ぜておきましょう。


2.鯖の骨を取り除いて一口大に切る。

 骨は切り身のときに抜いておくと食べやすいです。骨抜きは百均でも売ってますが軟弱なので、しっかりしたやつを買ったほうがいいです。

3.切った魚を1で作った漬けだれにいれて揉みこむ。
 魚は鶏肉より柔らかいので、あんまり力を入れるとボロボロにるので注意。

あ、これ鰆ですね…。


4.キッチンペーパーをかけて30分漬けておく。

 魚は肉より早く味が染みるような気がするので、30分にしてます。
 キッチンペーパーは乾燥防止のためです。いちばん上にある魚にもちゃんと漬けだれが行き渡るようになります。

こっちは鯖です。


5.漬けている間に、バットや大きな皿に片栗粉を用意しておく。油や油切るようのペーパーなども用意する。

 片栗粉は足りない分には足せるので、少なめに用意しておきましょう。
 そして、揚げる準備もしておきましょう。揚げ焼きなのでフライパンを使います。油はフライパンの底にぎりぎり空白ができないぐらいの量をいれましょう(画像参照)。


6.漬け終わったら、片栗粉をまぶす。
 水分が多ければキッチンペーパーで取り、片栗粉をつけます。けっこうしっかり付けて大丈夫です。


7.フライパンを弱めの中火にかけてじゅうぶん温まったら、6をフライパンに並べて揚げ焼きする。

 魚はそんなに厚みがなく、比較的火は通りやすいです。片面3-4分ぐらいですかね。あくまで目安なので、両面ともしっかり焼いて、しっっっっかり火を通してください。
 油はあまりにも熱すぎると、火が通る前に表面だけ焦げるので注意。6を置いたときに軽く「じゅ~」といって泡が出るぐらいがいいかと思います。とはいえものによっても違うので、そのちょうどいい部分は頑張って探しましょう。

軽く泡が出てるのがわかるでしょうか。これぐらいです。


8.しっかり火が通ったら、キッチンペーパーなどで油をきる

 油で揚げる際もそうなんですが、最初は出てくる泡が細かく、火が通ってくると泡が大きくなってきます。そして、表面がこんがりときつね色になります。それを両面ともにしっかり行いましょう。ただし、横から見て生の部分があれば、いくら表面に火が入っていても中は生です。不安ならいちばん厚みのあるやつを割って確認してください。
 皿にキッチンペーパーを置くだけでもいいです。ただ、バットと網があったほうがちゃんと切れます。百均でも売ってます。
 ちなみに油の量は、揚げ終わった後に数枚のキッチンペーパーで拭き取れるぐらいを目指しましょう。


9.盛り付けて完成
 
お好みで山椒をかけても美味しいです。


◯今回のお酒とペアリング考察

 今回の料理には「作 玄乃智」を合わせていきます。

作 玄乃智

◇お酒の基本情報とコメント

蔵元情報は公式HPへ。
「清水清三郎商店」ホームページ↓


「作 玄乃智」(三重県鈴鹿市 清水清三郎商店)

「作 玄乃智」750ml 表/裏ラベル

区分:純米
米:国産米 精米歩合60%
度数:15度
公式商品紹介ページ:

筆者のコメント:
<香り>
バナナメロンを思わせるような果実香に、ライムなど青くて酸味が強い柑橘類のような香りが合わさっているのが特徴的。
     +
炊いた米のような香り。
ローリエのようなハーブ感も少し。

<味わい>
 甘身はふくよかに感じられるが、キレのあるシャープな酸味が綺麗に立って全体を引き締めているので、甘口のなかでは比較的ドライにも感じられる。また、中盤からは純米らしい旨味とレモンピールのようなほろ苦い大人の味わいが感じられ、それが余韻まで続いていく。そのため、全体としては味わい豊かでしっかりとした印象になっているが、しつこさはなく透明感もある。

<総評>
 このお酒は「作」のなかではいちばんボディ感があり、味が濃いめの料理にも負けない芯の強さがあります。そのため、食中酒としてはいちばん合わせる幅が広いと思われる。また、熱燗にしても美味しい。

 「作」はかなり現代的なお酒だが、玄乃智はそのなかでも比較的むかしながらの日本酒のような雰囲気が残っている。


◇今回の料理との合わせ方

 今回の「作 玄乃智」は、穂乃智と同じく「バナナ・メロン系」の香りがするお酒ですが、そこに青い柑橘のような香りもあるのが特徴です。爽やかな酸を感じる香りといいましょうか。そして味わいでもがしっかりと立っており、後味には旨味とほろ苦さを感じながらもすっきりとした印象を残していきます。乳酸発酵の感じはないので、生酛ではないとは思うんですけどね。そういえば、以前のラベルには7号酵母って書いてあったような…?
 
 それはともかく上記のような特徴から、料理に対してはそれこそライムやスダチを搾ってかけたようなすっきりとした印象やしっかりした酸味が与えられます。さらに、「作」らしい甘味や純米らしい旨味・苦みが味わいに深みを加えます。これが特に火を通した魚料理をより美味しくしてくれるんですよ。あとは鶏や魚介の揚げ物にも合います。こうしたことから、今回は「鯖の竜田揚げ」を選びました。冬はマサバが美味しくなる季節ですしね。あと鰆も。

鰆の竜田揚げ×作 玄乃智

 醤油・酒・にんにく・生姜という定番の味つけによる力強い旨味、片栗粉の衣による香ばしさとサクサク感。これらが脂ののった青魚の旨味をさらに増幅させます。そして、こういった料理にはよくくし切りにしたレモンや半分に切ったスダチが添えられていますが、要するにその役割を「玄乃智」が担うようなイメージです。このことから、同様の理由で魚の塩焼きや鶏のから揚げ、焼き鳥なんかにもよく合います。冬は熱燗で、夏は冷酒でいただくとよりよいもしれません。

 皆様もぜひ試してみてくださいね( ˘ω˘ )。


〇終わりに

 今回は「揚げなくてもいい鯖の竜田揚げ」に「作 玄乃智」を合わせてみました。個人的に「玄乃智」は「火を通した魚料理にはこれ」という位置づけで、竜田揚げだけでなく煮つけや塩焼きなどなど様々な魚料理に合わせています。また、刺身や寿司に合わせても悪くないです。一般的には、魚料理には淡麗辛口な日本酒というイメージがあるような気がしますが、キレのいい酸味と味の深みを与える「玄乃智」もなかなかいいですよ( ˘ω˘ )。

 淡麗辛口のお酒は魚の脂をすっと流す「ウォッシュ効果」や、白身魚の淡泊な味わいを損なわないという強みがあるかと思います。一方、玄乃智は魚料理に異なる味わいを与えて料理の味を補うことによって、その料理を引き立てつつまた違う美味しさを生み出していくという効果があります。もちろん、口のなかをすっきりさせる効果もありますけどね。このように、両者ともにそれぞれの良さがあるので、せっかくならどちらも用意して楽しんじゃいましょう( ˘ω˘ )。

 また、今回の「揚げなくてもいい鯖の竜田揚げ」は、天ぷら鍋やグリルなど特別な調理器具・設備は使いません。普段から使っているフライパンでできるので、塩焼きよりも作りやすいと思います。また、実はこの料理はよく母が作ってくれていたもので、小さいころから好きでした。実家では漬けだれにカレー粉をいれて、スパイシーなカレー風味にしてましたけどね。懐かしい(笑)。こんなふうにアレンジも利きますし、なにより簡単ですので、ぜひ皆様の献立の1品として採用してください( ˘ω˘ )。魚って日々の食卓に不足しがちですしね。
 
 それではまた次回、お会いしましょう。
 次回は作とは違うお酒を扱う予定です。

 2024年も素敵な日本酒ライフを~( ˘ω˘ )。



「日本酒ペアリング研究会 報告書」のまとめを作りました。
他のメニューとペアリングもあわせてお読みいただけると嬉しいです( ˘ω˘ )。


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