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【MSW必見!】医療ソーシャルワーカーの役割について

こんにちは 。現役社会福祉士のタカヒロです。

今回は、「医療ソーシャルワーカー」についてお伝えします。

僕は約6年間、全て回復期病棟の医療機関に、医療ソーシャルワーカーとして働いていました。

現在は老健で支援相談員を行っていますが、今一度、医療ソーシャルワーカーとしての役割や仕事内容を振り返りたいと思います。

この記事では、医療ソーシャルワーカーの説明に加え、患者さんや多職種との関わり、僕が体験したエピソードについて説明します。


医療ソーシャルワーカーとは

日本医療社会福祉協会によると、医療ソーシャルワーカーとは「保健医療機関において、社会福祉の立場から患者さんや家族の方々の抱える経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図る業務を行う」と明記されています。

具体的には6つの業務を担っています。

①療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
②退院援助
③社会復帰援助
④受診・受療援助
⑤経済的問題の解決、調整援助
⑥地域活動 となっています。

医療ソーシャルワーカーが働く場所は主に医療機関が多いですが、患者さんやご家族が求めていることは病気の治療だけではありません。

病気以外ではこんな問題があります。

「その病気がどこまで治るのか不安」
「今後職場復帰できるか心配」
「生活費が足りない」

このように医療機関で治療するということは、病気以外に社会的な不安を多く抱えることにつながります。

その不安や問題を丁寧に聞き、課題分析を行い、的確なサポートと必要な社会資源の提案及び調整が必要です。併せて、患者さんが自己決定できるよう情報提供を行い、不安なく治療に専念することで円滑な退院となるよう支援していきます。

また、退院後の生活について支援することも大切です。例えば介護保険サービスを利用する患者さんに向けては、入院中から介護認定の申請や介護支援専門員との情報交換など、事前に退院後の生活を想定して生活が継続できるよう支援を行います。

医療ソーシャルワーカーは病気の治療はできませんが、病気やケガによって被る社会的な不安や退院後の生活を見据えて支援を行う「縁の下の力持ち」との役割も担っています。


医療ソーシャルワーカーは多職種との連携で力を発揮する

医療ソーシャルワーカーの業務指針の中に「退院援助」という業務があります。平成22年の診療報酬改定では「退院支援は入院早期から関わることが重要であり、チームアプローチが必要」と明記されました。

医療機関では様々な「チームアプローチ」が行われています。カンファレンスの開催もその一つです。各職種が目標に沿った評価結果を出し、退院に向けての課題分析やチームとしての目標設定を行います。

医療ソーシャルワーカーは多職種連携の観点から、生命予後・病態・身体機能・介助方法などの医療的情報を収集し、それらの情報を退院後の生活に転回して介護支援専門員など関係機関へ情報提供を行う役割があります。

例えば、看護師には入院前の内服や健康管理を伝え、入院中に取り組めるよう促したり定着の進捗を確認したりします。またセラピストにはご家族が患者さんの状態を把握できるよう、リハビリの様子を見学できるように調整したりします。

医療ソーシャルワーカーは多職種が取り組んでいることを、退院後の生活イメージに照らし合わせて情報発信する役割も担っており、「医療機関の顔」と言っても過言ではありません。


患者さんやご家族と一緒に考えることが必要

患者さんやご家族は前述した通り、医療機関に関わることで社会的な不安を抱えています。そのような状況に対して医療ソーシャルワーカーは、不安に感じていることや将来の希望などを丁寧に聞くことを必要です。

単に聞くだけではなく潜在的な不安やニーズを紐解き、患者さんやご家族と共有することで、患者さん自身が課題に向けて解決できるよう促していくことを求められます。

また、経済面や家族問題など人によっては話しにくい内容のことは多くあります。そのような問題を自然と医療ソーシャルワーカーへ語れるような雰囲気作りや信頼関係の構築なども、患者さんやご家族と関わる上で大切なスキルです。

「何が課題で、どのように解決したら希望する生活に戻れるか」

退院までの道標と、退院後の生活設計を一緒に考えていくことが、医療ソーシャルワーカーとしての存在意義と考えます。


医療ソーシャルワーカーは地域との協働も視野に仕事をすること

僕が働いていた回復期病棟は主に脳出血や脳梗塞、または骨折など突然病気になり、命はつないだものの、障害を抱えた状態で急性期病棟から転院してくる方を対象としている病棟です。回復期に入院してくる方の中には認知症の方も多く、退院後の生活場所が不透明なこともあります。

僕が経験した支援として、一人暮らしで認知症を呈した患者さんからこのような意向を聞いていました。

「どうしても家に戻りたい」

しかし、ご家族や多職種の発言はこうです。

「一人暮らしは難しいだろう」

医療機関ではよくある話です。でもここで医療ソーシャルワーカーは諦めてはいけません。

僕は、患者さんと地域住民との関係性が良好であったことにひとすじの光を感じました。

そこでご家族の同意のもと、自治会長や民生委員に医療機関へ来てもらい、リハビリの様子を見てもらいました。状態を把握してもらった後、地域包括支援センターや介護支援専門員へ患者さんの「家に戻りたい」という意向を代弁しました。

次に、患者さんが住んでいる公民館で医療機関・介護サービス事業所・地域住民などを集め、地域ケア個別会議を開催この会議で退院後に地域住民が手分けして患者さん宅へ訪問することが決まり、自宅へ退院する運びとなりました。


まとめ

今回は、「医療ソーシャルワーカー」についてお伝えしました。

医療ソーシャルワーカーは、決して一人では仕事をすることができません。

患者さんやご家族の思いをしっかり受け止め、課題だけではなく患者さんが持っている「強み」にも着目して支援することが必要な職種だと考えます。

今回はここまでとします。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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