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レッスン① 部下のモチベーションを気にしすぎないことが大事(成果・パフォーマンスに目を向けて)

まず1つ目のポイント。部下のモチベーションを気にしすぎないこと、そして、部下の成果・パフォーマンスに目を向けること、です。

■2人の対照的な部下がいた話。管理職には本質を見抜くことが求められます

昔、マネジメントしていたチームには、対照的な2人の部下がいました。

1人は元気いっぱい(Aさんと呼ぶとします)。Aさんは、やる気もみなぎっていて、「渡辺さん、私、何をしたらいいですか?」「渡辺さん、私に仕事をください!」と、目をキラキラさせて、手を挙げます。当時、その部下はまだ社会人になって1年~2年だったので、周囲の関係者からも「やる気があって、いいね」と評価されていました。

もう1人は冷静沈着なタイプ(Bさんと呼びます)。Bさんは極端に言えば、社交的ではなく、声も小さめ、表情も決して豊かなわけではない。「私でよければ、対応しますけど…」と一歩退いたスタンスで、仕事を担います。一度、「仕事、好き?」と訊いたら、「別に…」と言って、目を伏せたこともありました。指示されたことを淡々とこなし、定時が来たら、「じゃぁ、私はこれで」と帰っていきます。

モチベーションの高さ、意欲の高さ、または分かりやすさで言えば、Aさんです。いつもやる気に満ち溢れていて、元気です。きっと、多くの関係者が、「ああいう新人はいいね」と目を細めて、ほほえましく見ます。事実、Aさんがいると職場の雰囲気は明るくなるし、私も朝、「おはよう」と声をかけると、笑顔で「おはようございます! 今日もよろしくお願いします」と返してくれるので、Aさんに対しては、好印象を抱いていました。

一方で、Bさんは、ちょっと心配されてしまうタイプ。朝、声をかけても、「あ…、おはようございます…」という声がかろうじて聞き取れるかどうかだし、ランチに誘っても「あ…、お弁当持ってきたんで…」と素っ気ない(Aさんがすかさず「私、行きます」と手を挙げます)。周囲の関係者から「Bさん、突然、辞めちゃったりしない?」と声をかけられることもしばしばありました。

でも、私は冷静に考え、見ていたのです。確かにBさんはモチベーションが高いとは言えないけれども、彼女は責任感が強く、また、仕事に正確さを重視していることを。パッと見た印象では、Aさんの方が、分かりやすく「やる気に満ちているタイプ」だけれども、組織がいざという時に必要とするのは(私が業務上で頼りにするのは)Bさんだと言うことも、私には見えていました。

部下一人ひとりと向き合い、見ることが求められます

■印象で判断・評価してはいけない。部下の業務遂行力を見極めることが大事なのです

管理職・上司の立場としては、分かりやすく明るく、元気で、はきはきしていて、やる気に満ちている人を評価したくなる(それはそれで評価すべきは確か)。だけれども、部下の“仕事に対するモチベーションの高さ”と“業務遂行力(成果・パフォーマンス)”は決して比例しない現実があること、チームとチームの成果を管理すべき立場としては、その現実を冷静に理解しておくことが大事だと、私は経験上、強く強く思うのです。


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