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レッスン② 部下のモチベーションは、部下に率直に尋ねるのが近道

私の歴代の部下には、Bさんのように、モチベーションが見えづらいメンバーが複数いました。Aさん、Bさんとは別のチームをマネジメントしていた時、Cさんという部下がいました。

■モチベーションが高いとは言えないけれど、優秀な部下

彼女もまた、仕事ができるタイプ。ただ、やはりモチベーションが高いタイプとは見えない部下でした。

「ねぇ、猫背、疲れない?」と心配して声をかけてしまうくらい、彼女は姿勢が悪い。「ほら、ストレッチして、姿勢を伸ばして」と促したこともあります。「へへへ、私、昔から、姿勢が悪いんですよ」と笑う彼女は、事務作業をすべて担って、こなしてくれる優秀な部下でした。

■ため息をつく部下と、それにビクビクする上司の私

ある時から、私の右に座るCさんが、仕事中に、ため息をつくようになりました。「このデータを集計しておいてもらえる?」と声をかけると、「承知しました」と返事をして、書類に目を通し始めると、私の右耳にCさんのため息が聞こえてきます。

はぁ~。

「ん?」と私は緊張します。「私の依頼の仕方、良くなかったかな?」と自省します。

電話が鳴ります。Cさんはすぐに受話器に手を伸ばし、的確に要件を聞き、メモを取り、関係者に伝言メールを送ります。私にもccでメールが届くので、「ありがとう」と声をかけます。Cさんは「いえいえ」と言って、またデータ集計に戻ります。すると…

はぁ~。

そっと様子を窺うと、右手はパソコンのマウスの上で、左手は左頬に当て、肘を机についている。そして、また、ため息をつきます。

はぁ~。

そんな日々が続きました。仕事はきっちりこなすし、私が依頼したことは全て完璧に対応してくれる。でも、ため息が止みません。

「もしかして、仕事に飽きている?」「このチームに嫌気がさした?」「上司である私に、不満を持っている?」「モチベーションが低下している?」

■部下の本音は、部下に直接訊くしかないのです

私自身が、彼女のため息に耐えられなくなってしまい、ある日、仕事中に、「あのさ」と努めて明るい声を出し、「最近、何かあった?」と質問を投げかけました。

彼女はきょとんとして、「いえ? 別に」と答えます。私は続けます。「でもさ、最近、ため息が多いし、なんとなく疲れているのかなー? 仕事のモチベーションが下がっているのかなー?って思ってさー」と一気に訊きながら、彼女の顔色を伺い、返事を待ちます。

Cさんの回答に、私は拍子抜けします。

「私、ため息なんて、ついていませんけど?」

私はビックリして、思わず、高い声で返します。「いやいや、この数日間、ずっとため息ついているし、私はそれで“どうした、どうした?”って気になって、ちょっと鬱になりそうだったし!」

彼女は「いやいやいや、私はため息なんて、ついていませんし、何も前と変わっていません」と続けます。笑顔でそういう彼女を見て、ほっとしたとともに私は、また学びます。

管理職・上司は、部下のちょっとした仕草や表情や態度に、色々と不安を覚えるけれども、部下が何を思っているかは、直接、尋ねてみないと分からないのです。Cさんとのやりとりで、私は気付かされました。

■ついでに訊いてみた、「今、モチベーションのレベルはどれくらい? 点数で教えて」

私は、その会話の延長線上で、一番訊きたいことを訊きました。

「仕事に対するモチベーション、0から10までで表現すると、今、いくつ? 0が“もうこの仕事、嫌!”“もう辞めたいな”で、10が“この仕事、最高!”“私はこの仕事が大好きだ”なら、何点をつける?」

「んー、7点ですかね」

…絶妙…! でも、低いわけでもない…。本人が気づいていない中で、ため息はついているけど、モチベーションが低いわけではないのか…。

正直、「3点くらいですかね」と言われることを覚悟していた私は、ほっと胸をなでおろしました。

長文になってしまいましたが、部下のモチベーションは、部下に率直に聞いてみるしかないんだな、と実感したエピソードです。

よって私は、あれこれ想像し、考え、頭を悩ますよりは、部下本人に「今、モチベーションレベルは、どれくらい?」と数値化して答えてもらうのが良いと思っています。

この記事を読んでいる管理職・上司の皆さんは、是非、「数値化して教えて」と部下のモチベーションの現状を尋ねてみることをオススメします。

ちょっと勇気は必要ですけどね。


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