森の仕事をしているけれど
そのカフェは吉祥寺駅近くの路地裏の古いビルの上にひっそりとあった。森の中の臆病な動物たちが隠れる木の洞(うろ)のような、東京の街の僕の避難場所だった。
残念ながら昨年末にお店が閉店してしまうことが決まり、久しぶりに立ち寄った。その日は「靴下まつり」という手編み作家たちの展示会をしていて、店内には天井から大量の靴下がぶら下がっていた。靴下は蔦のようで店はますます洞のようだった。
ドアを開けると厨房の中から、毛糸の帽子を被ったオーナーのあけみさんが顔を出す。「あら、久しぶり。とこ