社内政治の教科書

#推薦図書 高城幸司(2014)『「課長」から始める社内政治の教科書』,ダイヤモンド社 の紹介

平社員のこーぞーです。

ちょっと思うところがありこんな本を読みました。
別に課長とかの役職についているわけではないんですけどね。

筆者の高城 幸司(たかぎ こうじ)氏は,リクルートに勤めた後,人事コンサル会社を創業し,代表となっています。

社内政治と言うと,汚いことをやるというイメージを持つ方もおられるかもしれません。
しかし本書は,どちらかと言うと,そういう汚いことをやる人のいる職場でうまく立ち回る方法を教えてくれる内容であると感じました。汚いことに手を染めるのを勧めている内容ではないです。

誰かが「正しいことをしたけりゃ偉くなれ」って言ってましたね。
一方で,本書で紹介されている内容は,必ずしも昇進を狙っているわけではないと言っていいでしょう。

本書の内容の紹介

では,本書の内容をざっくり,部分的に紹介していきます。

・社内政治力を生み出す源として,以下の2つが挙げられています。
1. 権限
 職務権限とか人事権とか。
2. 影響力
 信頼関係,実績,専門知識などにより生み出される。
 高城氏は,社内政治は影響力のゲームだと述べています。
これ,多分昇進しなくても,平でも身に付けられるものですよね。

信頼は政治力のインフラ。社内政治で大切なのは信頼を貯金することで,そのためには誠実であることが大切である。
読んでいてこの部分気に入りました。悪いことをするわけではないんだと安心しましたから。

・相手に自分の重要感を持たせる。挨拶するとか名前を覚えるとか。
それで自分の味方を増やすことができる。
ちなみに,皆さんは職場の人の名前ってどれくらい覚えてますか?会社の規模にもよるでしょうけど。私は挨拶は無差別にしています。

・上司からの褒めると叱るはそれぞれ何割がいいとか言うみたいですけど,高城氏は,その割合が大事なんじゃなくて,相手をちゃんと見てるかどうかが重要だと述べています。
この部分,これまでの経験を振り返ってみるとすごく共感できます。
自分を見てくれないとごねる中学生とか…
また,私自身も,上司に見てもらえている,気にかけてもらえている感じがしたときは嬉しかったものです。話を聴いてもらえているかと言ってもいいと思います。

・自分がこんなふうにしたいという「私心」は捨てなくてもよい。
そこに「大義」があるかどうか。それをやる意義があるんかって話ですね。

情報は社内政治の武器。

・社内政治において「べき論」は無力。組織を動かすのは権力で,その根幹は人事権。
すごくよくわかります。

・社内の派閥の状況は大きく4種類にわけられる。すなわち,
1. 無派閥状態
2. 派閥どうしが健全な緊張関係にある状態
3. 派閥どうしが排他的な関係にある状態
4. 派閥どうしが敵対的な関係にある状態
望ましいのは2。切磋琢磨して社内にいい影響を及ぼすということですね。

敵の「ネガティブキャンペーン」はチャンス。相手がネガティブキャンペーンをしてきた時にこちらがネガティブな感情を出してしまうと,自分の立場を悪くする。ポーカーフェイスでいれば自分の政治力を保てる。
普段から信頼の貯金を蓄えておけば,敵のネガティブキャンペーンを疑ったり,不信に思う人がいる。その人たちをさらに自分に引き付けるチャンス。
そのために,敵を褒める。
皆さんこれできます?

・負ける喧嘩はしない。しかし,勝てる見込みがあるならやる。
本書でとある社内の政治闘争を紹介していますが,ここで政治闘争に勝つ5つの条件が挙げられています。すなわち,
1. 大義がある
2. 大義を果すだけの力を持っている
3. 組織の民意を得ている
4. 退職の覚悟がある
5. 不正の事実がある
4. はすごく共感できます。こんな職場辞めてもいいわーとか思えると気楽になれます。それだけでは駄目なんですがね。

・場合によっては政治闘争など降りてもよい。何より自分を大切にすること。

余談

私がこれまで仕事をしていて,理にかなってない,理不尽な場面にいくつも遭遇してきました。しかしそれがまかり通る。そういうのがどうしても好きじゃないんですね。どうみても黒いはずのものが白いとされる。そんなのおかしいじゃねえか!って自分1人が正論を吐いたところで,ほぼ意味がなかったです。世の中理不尽なことでありふれてますけど,そういうのやっぱりむかつくんです。自分おこちゃまだなーって思いますが。
時には,こんなの結果駄目になるに決まってるって,若造にもわかることがありました。多分,誰が見てもそうだったんでしょう。そして実際駄目になります。あーあだから言ったじゃないですかーなんて言いませんけど。仮に言ってもしょうがないですしね。
それは私に,社内というか職場内での政治力がなかったからです。自分に政治力があれば,職場が正しい選択をしたのかなあとか思います。一丁前ぶったことを言うようですが。
職場内で影響力を持つ人っているじゃないですか。必ずしも役職についていないけど,平だけどそういう人。そういう人になりたいです。

ちなみに,類似の内容でもう1冊あるんですよね。
芦屋広太(2018)『社内政治力』,フォレスト出版 です。
書評を書くかどうかは未定です。

おわり。

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