木田 哲二

1996年から独立して労働衛生コンサルタント事務所プライム(2016年より株式会社プラ…

木田 哲二

1996年から独立して労働衛生コンサルタント事務所プライム(2016年より株式会社プライム)で産業医をしています。多くの企業で産業医という業務を通して産業保健の価値をお伝えしてきましたが、最後の集大成をnoteにまとめたいと思っています。

最近の記事

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自己紹介

 産業医をひとり株式会社でやっています。  平成8年(1996年)9月16日が個人事務所で起業しました。平成26年(2014年)9月16日に株式会社としました。  一時期は、業界紙の連載等もしておりました。現在、産業医の仕事も減らし、ゆったりと仕事をしている状態です。  今まで経験した事例を中心に産業医やその他のことについてこのnoteでお伝えしたいと思っています。よろしくお願いします。 【資格等】 医師 専門:労働衛生、産業医 労働衛生コンサルタント(保健衛生) 【

    • 急激な血糖値の上昇は危険です。

       血糖値スパイクとは、糖尿病とは診断されていない状態で食後に血糖値が異常に上昇する現象です。糖尿病の検査では糖尿病と診断されることはない状態の人が、「食後の短時間だけ」血糖値が急上昇するという現象があることが分かってきました。この現象を「血糖値スパイク」と言います。  「血糖値スパイク」が発生しやすい状態として、 1. 朝食や昼食を抜く。 2. 1日1食などの極端な糖質ダイエット。 3. 糖尿病の予備状態。 4. 糖分の多い(GI値の高い)食品。 等があげられます。  そ

      • 会社でのアルコール依存症問題

         アルコール依存症って職場で論じられなければいけない問題?と思われる方も多いと思います。しかし、実はアルコール依存症の方の多くは、一度は定職に就いていた人か、その配偶者であるという事実を知れば、職場で取り扱うことの重要性をご理解いただけると思います。言い換えれば、他人の援助でアルコール依存症になるまでお酒が飲める環境にいることはかなり特殊な状況と言えます。職場でのアルコール摂取に関する教育は重要であると考えています。  健康診断で肝機能の一種であるγ-GTPが高値の時に再検

        • 良い眠りが取れていますか?

           睡眠に関して大切なことが3つあります。今回は、この3つのことについて詳しくお話しします。  その3つとは、  1. そもそも睡眠をおろそかにしていませんか?  2. 次に、眠れない状態を放置していませんか?  3. 最後に、眠っているはずなのに昼間眠くて困っていませんか? という事です。順番にいきますよ。ただし、今回は「ストレスがあって眠れない」という話は除外して話を進めます。ご了承下さい。 1. そもそも睡眠をおろそかにしていませんか?  どうも日本人の国民性として、「

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          モンスター社員を育てたのは誰?

          *感情の起伏が激しく、周囲に大きな影響を及ぼす「境界性パーソナリティ障害」について理解して下さい。  A氏、35歳男性、独身。有名国立大学工学系大学院卒業。製品開発技術者、係長。2年前より現在の仕事をしている。同僚が顧客からのストレスによるうつ病休職後に異動。その後、人員補充のないまま現在に至る。  1年前から会議中に気に入らない話題になるとテーブルを叩き、会議室から退席し、顧客からの電話を叩きつけるように切り、「そんなこと出来るわけないじゃないか!馬鹿か!」と怒鳴ることが

          モンスター社員を育てたのは誰?

          長時間残業に陥った開発者

          *ちょっと古い2000年代のケースです。その後、残業や働き方に法規制が設けられて、今ではこのような開発業務が行われていることは少ないかも知れませんが、このケースを通して不安が強く必要なことが言えない傾向が強い「回避性パーソナリティ」を理解して下さい。  A氏、30歳男性、既婚で単身赴任、6年目の技術者。係長。A氏はある製品の設計を任されていた。A氏の今までの仕事ぶりを見て、上司B課長推薦での大抜擢であった。  業界の慣習として、新規製品は前の製品に対して性能が向上しているこ

          長時間残業に陥った開発者

          集団に馴染めない社員

          *人と接することが苦手な「高機能自閉症」について理解して下さい。人と接することを苦手とする発達障害を自閉症と言います。自閉症の多くは知恵遅れを伴っていますが、知恵遅れのない自閉症を高機能自閉症と言います。  A氏、28歳女性。一般職。地元短大を優秀な成績で卒業して、短大からの推薦で入社。  人事担当者から産業医へ「会議室で昼食を食べさせて欲しい」という申し出が休職中のA氏からあったのですが・・・という相談があった。 普通なら断るところだが、この社員はうつ病の診断で2度の休職

          集団に馴染めない社員

          産業医ってなあに?

           労働安全衛生法によって50人以上の企業に選任義務がある産業医ですが、実際の仕事についてご紹介します。  まず、産業医とは「産業界の医者」だと言うことをご理解下さい。病院という場所は一般的に臨床と言われ、そこに居るのが臨床医。行政にも医者がいて、そこに居る医者は医官、自衛隊にも医者がいて自衛隊医官と言っています。  産業界に居る医者である産業医は何をするかというと、医学の専門家ではない経営者や労働者に医学や医療の事柄を知らせ・調べ・ちょっとだけ実行し・意見を述べるというこ

          産業医ってなあに?

          発症時の対応と復職が成功した典型例

           A氏30歳男性、営業職8年目。そもそも気が弱い面があり、厳しい営業先は避けるように上司が調整していた。この4月から主任になった。そのために厳しい営業先も受け持たなければならなくなった。営業先で、不条理なことを言われることがあり、そんな時には気分的に落ち込み、なかなか眠れない日もあった。  6月から全く眠れない日もあり、朝起きることが困難な日もあった。 *睡眠障害が見られたこのタイミングで上司に相談すれば問題は大きくなりませんでした。眠れなくなったら必ず上司に相談して下さい

          発症時の対応と復職が成功した典型例

          うつ病なので職場異動が望ましいという診断書

           あまり、こんな事を書いてあるのを見たことがありませんが、書いておきます。  「産業保健は労働契約の上に成り立っている」 ということです。これが理解できていない人が多いようです。  ある会社で、社員が上司に「うつ病なので職場異動が望ましい」という内容の診断書を提出しました。事前には何の相談もありません。  実は、このようなケースは10年ほど前からいろいろな契約企業で相談を受けます。  この場合の対処ですが、「労働契約上、どの社員をどこに異動させるかは会社が決めること

          うつ病なので職場異動が望ましいという診断書

          noteデビュー ご挨拶ですm(__)m

           そもそも、私の人生ってB型肝炎のキャリアであることが医学部の2年生に献血で分かって、それ以来、普通の医者じゃない人生を選択せざるを得ませんでした。  大学卒業後は、臨床医にはならず、病理学教室の大学院に進学したのですが、その年の夏にB型肝炎が慢性肝炎の急性増悪(トランスアミナーゼが800代に達しました)しました。それでも家族を養う必要があったので、4年後、大学院を中退し健診機関に就職しました。  まともな指導医もいない状況で、毎日移動健診をする日々を送りました。  トラ

          noteデビュー ご挨拶ですm(__)m