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急激な血糖値の上昇は危険です。

 血糖値スパイクとは、糖尿病とは診断されていない状態で食後に血糖値が異常に上昇する現象です。糖尿病の検査では糖尿病と診断されることはない状態の人が、「食後の短時間だけ」血糖値が急上昇するという現象があることが分かってきました。この現象を「血糖値スパイク」と言います。

 「血糖値スパイク」が発生しやすい状態として、
1. 朝食や昼食を抜く。
2. 1日1食などの極端な糖質ダイエット。
3. 糖尿病の予備状態。
4. 糖分の多い(GI値の高い)食品。
等があげられます。

 そして何故「血糖値スパイク」がよくないのかというと、血糖値が高くなるとそれを下げるために膵臓からインスリンというホルモンが分泌されます。血糖値が高い状態が続くとこのインスリンを作り出す細胞が疲弊してインスリンの量が少なくなったり、インスリンを受け入れる細胞が麻痺して感受性が悪くなったりという現象が起こることが知られています。これが2型糖尿病の原因になっていると考えられています。

 それでは「血糖値スパイク」を防ぐにはどうしたらよいかということですが、1日3食を摂ると「血糖値スパイク」は起こりにくくなります。また、朝食400kcalの摂取後の血糖値は120mg/dl程度になりますが、昼食800kcal摂取してもそれ程高くならないのが一般的です。つまり、寝ている間に何も食べない状態の後に食事を摂ると量が少なくても血糖値は高くなる傾向があるということです。

 1日1食ダイエットで、夕食に1,000kcal摂取した場合、食後の血糖値は160mg/dlを超えることもあります。つまり、「欠食は血糖値スパイクを招きやすくなる」ということはご理解下さい。

 しかし、一方で糖質を制限する必要のある人は、食事の回数が多くなっても全体的に糖質の量をコントロールすることが必要であることに変わりがないとご理解下さい。糖質制限をする場合には、細かい間食で低カロリーの補食をすることをお勧めします。補食の目安は80kcal程度の間食(標準的なおにぎりやゼリー状の栄養補助食品は180kcal)が一般的な量です。

 次にGI値について説明します。GIとはGlycemic Indexの略語で、食品中に食物繊維の含有量や、糖質の密度によって決まります。そして、GI値が高い食品ほど、「血糖値スパイク」を起こしやすくなります。
下に代表的な食品のGI値を示します。
食パン、フランスパン 95  精白米 84
玄米 56  パスタ 50  うどん 85
そば 54  
実は食材の組み合わせも重要で、糖質に高タンパクの食品(納豆やチーズ)を混ぜるとGI値は下がります。

 同じメニューでも食べる順位を変えると血糖値は抑えられます。「ごはん→サラダ」の順に摂取すると30分後に血糖値が40mg/dl上昇したとしましょう。同じ量を順番を変えて、「サラダ→ごはん」の順番で食べると血糖値の上昇は90分後に28mg/dl程度に収まったという報告もあります。

 食物繊維を先に摂って、その後に糖質を食べることは血糖値の上昇を穏やかにしてくれる効果があり、「血糖値スパイク」を防ぐには効果が期待できます。

 最後に食後の運動ですが、食事の後にはゆっくりして交感神経を刺激しない方が食品の消化には良いことは知られています。一方で、食後にすぐに寝ると血糖値が下がりにくくなることも知られています。この両方の事実を理解して、食品の消化に影響のない程度で、身体を動かし、すぐに寝ることは控えましょう。

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