笑って過ごす命日
九月八日は父の命日。
一日それを思い作業をした。
父の趣味だった演歌の作詞。
それを妻が朗読した音源を聞きながら過ごす。
最後におまけがあって――
「雨宿り」と題された詩を既存のカラオケにはめて私が歌っている。
往年の渡哲也さんを意識したおふざけモード。
でも、父に贈ったらとても喜んでくれた思い出がある。
一年前の葬儀に私だけ行けなかった。
参列した妻から後日「内緒の話」として告白された。
葬儀で私の母がその音源を流したそう。
拙い朗読に居たたまれなくなった妻。
それでも「父の詩」に耳を傾ける参列者を見て心を落ち着けた。
出棺のとき。一番大事な場面で「渡哲也」が出てきて感情が壊れた。
……笑っちゃダメ。でも……
下を向き堪えていたが、隣にいた私の妹が「お兄ちゃん、何やってんの?」と突っ込むのを聞いて腹筋崩壊した。
「ほんと申し訳なかった」と懺悔する妻に「父は喜んでたと思うよ」と返した。
今もその光景を想像して「ふふふ」となっている。
父の詩と過ごす白露の忌日かな
(ちちのしとすごすはくろのきじつかな)
※ツマヨムで公開したいところだけど、カラオケ音源の著作権が……どうなんでしょうか?
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