恋文供養人 第2話「画家」
「少しずつ物量が増えてます。体調に気を付けて、今日も1日、ご安全に!」
尾崎主任の一切無駄のない朝礼が終わり、各自現場へと散って行く。
「本間さん、ちょっと」
「はいはい?」
事務員の沢本さんに呼び止められた。その表情を見る限り、何かやらかしたっぽい。
「伝票、また日付書いてませんでしたよ」
「まさか!? ちゃんと確認したんだけどなぁ」
始業前、ちゃちゃっと書いた伝票の日付が空欄のままになっている。
「えーと、4月28日と……」
「27日です!」
口を「あ」の形にしたまま固まる。
「ごめん。あとで全部書き直すから……」
「もう。寝不足なんじゃないですか?」
「そうかもね。ははは……」
横目で尾崎主任を見ると、「やれやれ」という具合に小さく首を横に振っている。
「あの……」
沢本さんが声を潜めた。何を言おうとしているのか想像がつく。
「昨日の夜、行ったの?」
「まぁ……」
「今月、何回目?」
「2回目――」
「3回目でしょ?」
僕が嘘をつくのを見越していたかのように、沢本さんはズバッと突き刺す。
「多すぎだって。持っていかれても知らないわよ?」
「いや昨日はアレだ。中学生の女の子の爽やかな手紙だったから、元気もらったよ。うん。調子がいい」
「死人から元気なんてもらえないよ?」
「はいはい。分かってる分かってる」
お説教から逃れるように、その場から離脱した。
――死人。
確かにそうだ。どんなに言葉を交わしたり、心を通わせても、相手はこの世のものじゃない。下手をしたら連れていかれたり、悪い影響があるかもしれない。
それでも僕は……。
***
「どうも」
店に入ると、マスターはいつものお辞儀をせず、黙って僕を見た。カウンターの上には茶色の封筒が数枚置かれていて、マスターは眉間にしわを寄せてそれを見ている。
席に着くと、マスターは険しい表情のまま水割りを出した。
「どうかした?」
「少々危険な気配がします」
「危険? じゃあ、今日はやめた方がいいかな」
「いえ、もう手遅れのようです」
マスターが申し訳なさそうに言った瞬間、後ろからにゅっと人の手が伸びてきた。驚いて身を縮めると、白い手は僕の水割りのグラスを掴み、後ろに引っ込んだ。ゴクゴク……と喉を鳴らす音が聞こえる。
「何だい、この薄い水割りは。飲めたもんじゃないねぇ」
ゆっくりと後ろに顔を向けると、着物にたすき掛けをした女性が立っていた。
「こん……ばんは」
「そんなに怖がらなくてもいいよ。取って食ったりしないからさ」
女性は白い歯を見せて笑い、両手を腰に当てた。
「あたしはフミコ。よろしく」
「本間奏太です。25歳……」
「あら、ゼンジさんと同じじゃないか。偶然だねぇ」
「はぁ、そうですか」
あまりの迫力に呆気に取られていると、フミコさんは隣にドカッと座った。マスターが水割りを出す様子はない。さっき「飲めたもんじゃない」と言われたのを気にしているんだろうか。まぁ、気にしないわけないか。
「あのー、お仕事は?」
「上野の旅館で仲居をやってたんだ。聚楽の近くのね」
「あー、聚楽ですか。分かります分かります」
「もうとっくに潰れちまったけど」
マスターが「危険な気配がする」と言うので緊張していたが、悪い人ではなさそうなので安心した。カウンターの上の茶色の封筒を見る。
「その手紙は、フミコさんの?」
「そうだよ。ゼンジさんとあたしのね」
「おお、ゼンジさんね」
どんな話が始まるのかワクワクする。
「ゼンジさんはあたしより6つも下で、岩手から画家を目指して上京してきたんだ。あたしが働く旅館の支配人と遠縁らしくて、旅館の一部屋で下宿しながら毎日絵を描いてたよ。油絵をね」
「おお、油絵ですか。モネ、ゴッホ、ええと……」
「そうそう。ゼンジさんはいつも、モネは偉大だとか、ゴッホは天才だとかって話すんだ。あたしは絵のことは分からないから、モネさんやゴッホさんの話をされても、さっぱりだったよ」
「実は僕もです」
僕は元吹奏楽部なので音楽に関しては自信があるが、絵についてはからっきしダメだ。咄嗟に出たモネやゴッホも、はっきり言って名前しか知らない。
「ゼンジさんは礼儀正しくて、いいのはいいんだけど、小柄でヒョロッとしてて、髪はボサボサで、とにかく小汚くてねぇ。風呂嫌いときたもんだから、毎日番頭が無理やり温泉にねじ込んでたんだよ。あたしもたまに背中流してあげたりして」
「芸術家っぽいですねぇ。あ、僕は毎日ちゃんとお風呂に入って体洗いますよ?」
「そんなこと、聞いちゃいないよ」
「あはは……それで?」
「いつも絵を描きに街に出てたねぇ。雨の日は旅館の中で絵を描いてた。あたしは絵の上手い下手は分からないけど、ゼンジさんが絵を描いてる時の気迫みたいなもんは凄かったね。温泉で暴れる駄々っ子とは別人だった」
フミコさんはカウンターに両手を置き、天井を見た。その横顔を見て、「いつの時代の話だろう」と考えていた。間違いなく、インターネットや携帯電話なんかがない時代だろう。化粧はしていないか、ナチュラルメイクといったところか。黒髪を後ろでまとめている。凛とした顔立ちの美人だ。なぜか頭に「昭和」という文字が浮かんだ。
「ある日ね、いきなりあたしに頭を下げたんだよ。『脱いでください!』って」
「もしかして、ヌードモデルですか?」
「そう。『やましいことなんてありません! 芸術のためにお願いします!』って。引き受けたよ。減るもんじゃないし」
僕はフミコさんの方に頭を向け、全身に視線を走らせた。背筋がピンと伸びていて、とても姿勢がいい。ガリガリでもないし、少しふっくらしているけど、太っているわけでもない。着物の上からだと分かりにくいが、割と胸は大きいと思う。なんか……妙なエロスを感じる。
「こら。ジロジロ見るんじゃないよ」
「いえいえ、やましいことなんてありません。いや、ちょっとあるかも」
「はぁ? 面白い人だね、あんた」
「ほら、続き続き」
僕は身を乗り出していた。
「あたしは旅館の一室で裸で椅子に座って、ゼンジさんは絵を描いてたよ。ひたすらね」
「……それだけ?」
「ガッカリしたよ。本当にやましい気持ちがなかったんだって。だから、こっちから……」
フミコさんは俯いて頬を赤らめた。
「きたきたきた! マスター! BGMとかないの?」
「申し訳ありません」
「あっそ。で? で?」
「野暮なこと聞くんじゃないよ! そうなっちまったんだよ!」
「ゼンジさんやるぅ! マスター! 水割りのおかわり、お願いね」
マスターは無表情で空のグラスに氷とウィスキーを注ぐ。完全に置いてきぼりを喰っているマスターには悪いと思いつつ、ここはフミコさんと盛り上がる方を選ぶ。
「晴れてゼンジさんと結ばれて、恋人同士になったってことですよね?」
「そんな色っぽいもんじゃないけどねぇ。なんせ、あたしの方が6歳も上だったし。ゼンジさんの邪魔になるようなことだけはしないようにしてたよ」
「才能ある芸術家と、それを支える姉さん女房か。うん、映画みたい」
「それから少しして、有名な画家の先生に認められたとか言って喜んでたよ」
「凄いじゃないですか! 画家として世に出られるってことですよね?」
「まぁ、そうなんだけどねぇ……」
フミコさんの表情が一変した。口を真一文字に結んでいる。冷静になった僕は、ここから話が悪い方へ向かうと確信した。この話がサクセスストーリーやハッピーエンドなら、フミコさんはここにはいない。ここは、そういう場所なのだ。
「ゼンジさんは朝から晩まで、それこそ狂ったように絵を描いてたよ。飲まず食わずで書いてるもんだから、あたしが握り飯を口に放り込んで、お茶を流し込んで。それでも手は止めなかったよ」
「執念ってやつですね。巡ってきたチャンスに、全てを懸けていたんだと思います」
「でも、全然楽しそうじゃないんだよ。鬼のような形相でうーうー唸りながら書いてて。なんかもう見ていられなくて」
フミコさんは「はぁ」と深いため息をついた。
「それで体を壊しちまってさぁ。ゼンジさんは体があんまり丈夫じゃないのに、無理に無理を重ねたから。それで、療養のために岩手に帰ることになって」
「フミコさんは一緒に行かなかったんですか?」
「そんなことするもんかい。言っただろ? 邪魔はしたくないって。私にも仕事があったし。それで、少しの間手紙のやり取りをしてたんだけど、ある時からぷっつりと手紙が来なくなってねぇ」
「手紙が書けないくらい病状が悪化したってことですかね」
「自殺だとさ」
「はい?」
あまりの急転直下に、変な声が出た。
「一緒に仲居をやってて、盛岡に嫁に行った友達がいてね。住所と名前を教えて、様子を見に行ってくれって頼んだんだよ」
「そう……だったんですか」
「でもね、最悪なのはこの後さ」
フミコさんの目がつり上がる。これよりさらに悪い展開なんて想像がつかない。僕は呼吸を整えた。
「ゼンジさんが世話になってたっていう画家の偉い先生の屋敷に行ったんだよ。そしたら、ゼンジさんの絵があってさ」
「そりゃまぁ、絵を教えてもらってたわけですから」
「あいつ、ゼンジさんの絵を盗んだんだよ」
「いや盗んだって……」
「あいつの屋敷は画廊も兼ねていて、そこに堂々と飾ってあったよ。絵の下にあった名前はゼンジさんじゃなくて、あいつの名前だった。問いただしたら、分かりやすいくらい動揺してねぇ。それで確信したんだ。こいつのせいでゼンジさんは死んだんだって」
「教え子であるゼンジさんに、『無名の君より、私が発表した方が注目されるし、評価される。だから君の絵を譲れ』、みたいな?」
「まぁ、そんなとこだろうよ。汚いやり方さ」
フミコさんにもゼンジさんにも申し訳ないと思いつつ、よくあるパターンだと思った。絵に限った話じゃない。音楽や小説でも、きっと似たようなことは起きている。いつだったか、有名な作曲家が、実は作曲ができなくて、他人に曲を作らせて著作権ごと買い取っていたという事実が発覚し、ワイドショーを賑わしていた。作曲ができないのに作曲家を名乗る、絵が描けないのに画家を名乗る。つまり、そういう図太い神経を持っていないと生きていけない世界なんだと思う。
「で、殺そうと思ったんですか?」
それまで無言だったマスターが突然口を開く。
「殺すって?」
「包丁を持って、夜にもう一度あいつの屋敷に行ったんだよ。あいつの指を全部切り落として、ゼンジさんの墓前に手向けてやろうと思ってね」
「ちょ……ダメですよフミコさん。変な気を起こしちゃ」
話が不穏な方向に転がり、最初にマスターが言った「危険な気配がします」の意味がようやく分かった。
「思い留まったんですよね?」
「いや、行ったよ。で、返り討ちにされちまった」
「は?」
さらっととんでもないことを言うフミコさんの横顔をポカンと見ていると、突然フミコさんは「うう……」と低いうめき声を上げ、歯を食いしばった。
「ちょっと……どうしたの?」
フミコさんが右の脇腹を手で押さえると、着物に血がにじんだ。僕は慌ててフミコさんの手と一緒に脇腹を押さえる。
「マスター! 救急車! 早く!」
「大丈夫だよ。もう死んでるんだから」
「いや、でも……」
よく見ると、手に血は付いていない。幻覚だろうか。でも、フミコさんは額に汗を浮かべて苦しそうな表情をしている。息も荒い。
僕はどうしていいのか分からず、立ち上がって後ろからフミコさんの両肩にそっと手を置いた。少しずつ、肩の上下の動きが収まってくる。
「ありがとう。だいぶ落ち着いたよ」
「無理しないで……」
両肩から手を離す。自分が刺された時のことを思い出したんだから、苦しくないはずはない。それ以上に、一体どれほどの恐怖だったのか計り知れない。フミコさんに辛い記憶を思い起こさせてしまい、途端に申し訳ない気持ちになる。
「フミコさん。大変お気の毒ですが、あなたのしたことは無意味です」
「マスター!」
マスターを睨みつけた。突然喋り出したかと思えば、この人は一体何を言い出すのか。
「無意味とか言わない!」
「本当のことです」
「へぇ。聞かせてもらおうじゃないか。薄い水割りが得意なマスターさん」
「フミコさん、あんまり喋らない方がいいよ」
嫌味を言いながらも、まだ表情は苦しそうだ。
「まず、ゼンジさんは自殺ではなく、病死です」
「そんなはずないよ。ちゃんと確かめたんだから」
「確かめた? どのように確かめたんですか? あなたは友人の話を鵜呑みにしただけで、自分の目で確かめてはいませんよね?」
「いや……それは……」
フミコさんは口をもごもごと動かしている。
「その友人も噂を聞いた程度でしょう。そして、友人もあなたも『芸術家は自分の作品がなかなか世に認められないことに苦悩するはず』みたいな先入観と偏見が加わり、勝手に自殺だろうと決めつけた。そんなところではないでしょうか」
図星だろう。フミコさんは下を向いたまま何も言わない。
「それと、ゼンジさんの絵は先生に盗作されたのではなく、ゼンジさんが自ら先生に頼んだものです。『自分の名前は一切出さなくていい。先生の絵として世に出してくれ』と」
「頓痴気なことを言うんじゃないよ! 自分の絵をタダでくれてやるバカがどこにいるんだい!」
「もちろん自分の名前で絵を出して認められたいという思いはあったんでしょう。しかし、自分の命が長くないと悟ったゼンジさんは、せめて自分の分身である作品だけでも陽の当たる場所へ出してあげようと考えたんです。先生は断り続けましたが、最後には折れて、ゼンジさんの願いを聞き入れたようです」
無音の空気が流れる。もう僕はあれこれ考える力を失っていた。考えないようにしないと、僕のメンタルがもたない。
「全て、ゼンジさんの最後の手紙に記されています」
マスターはくしゃくしゃになった茶色の封筒をフミコさんに差し出した。
「最後の手紙って……。 あたしは受け取ってないけど」
「その手紙が届いたのは、あなたが亡くなった翌日です」
フミコさんは封筒をびりびりと乱暴に破き、中の便箋を強引に引っ張り出した。両手で力いっぱい便箋を掴み、食い入るように読んでいる。
「東北から郵便を運ぶトラックが、台風のせいで発生したがけ崩れに巻き込まれたんです。それで、届くのが数日遅れてしまったようです」
「じゃあ、あたしがしたことって……」
「ええ、無意味なんですよ。いえ、もっと悪いです。あなたが先生に返り討ちにされたことで、先生は殺人容疑で逮捕されてしまった。正当防衛が認められて無罪にはなりましたが、もう元の世界へは戻れない。さらに盗作疑惑までかけられた先生は世間から白い目で見られ、アトリエで首を吊りました。結果的に、あなたは1人の画家の人生を狂わせ、最愛の人の作品を世に出すチャンスまで奪ってしまったんですよ。ゼンジさんの作品たちは、今も岩手の片田舎の倉庫の中で、農機具と一緒に埃をかぶっています」
もう救いようがない。次々と浴びせられるマスターの容赦ない言葉を、僕とフミコさんは黙って聞いていた。聞くしかなかった。映画よりもドラマよりも、やっぱり現実というやつは残酷だ。
「バカだねぇ。こんなバカなことはない。ゼンジさんの邪魔をしないようにって思ってたのに。邪魔どころの話じゃないねぇ」
フミコさんが力なく笑う。
「ゼンジさんの最後の絵は、あちらです」
マスターが僕とフミコさんの真後ろを指差す。振り向くと、壁に1枚の絵が飾られていた。着物姿で佇む女性がいる。
「後ろの山はおそらく岩手山でしょう。故郷の山に、一緒に過ごしたフミコさんとの思い出を重ねたんですね」
ゼンジさんは、本当はフミコさんに一緒に故郷についてきてほしかったんだと思う。しかし、無名の画家に、妻を養えるような経済力はない。今みたいに「主夫」などという言葉はないだろうから、「嫁に来い」とは言えなかったんだろう。お互いがお互いを大切に思うあまり、何かがズレてしまった。そしてそのズレは、最後まで修正されることはなかった。
「どうぞ」
マスターがフミコさんに水割りを出すと、フミコさんはそれを一気に呷った。
「美味いよ。やればできるじゃないか」
「ありがとうございます」
「ちなみにそれ、ゼンジさんのだろう?」
フミコさんがボトル棚を指差す。よく見ると、古びた絵筆が棚の隅に立てかけられている。
「もらえるかい?」
「ええ、どうぞ」
マスターが絵筆をフミコさんに渡すと、フミコさんの体はゆっくりと透き通っていく。
「ゼンジさんに謝らないとね。あの世で」
「逢える確率は万に一つもないと思いますが」
最後の最後まで、マスターはフミコさんに対して容赦がない。
「ちょっとあんた。そんなに面白い顔をするんじゃないよ」
「ええ? 面白い顔って……」
弾かれたように、僕は自分の顔を指差した。
「楽しかったよ。サヨナラ」
フミコさんは絵筆を胸に抱えたまま、笑顔で手を振った。消えていくフミコさんを、僕はただ呆然と見つめる。
「ゼンジさんの作品って、今もあるのかな」
「おかしなことは考えない方が身のためですよ? 供養人は黙って見守るのが役目です。あなたは感情移入しすぎ、それと喋りすぎです」
「すみませんでした」
謝りはしたが、あんまり悪いとは思ってない。
「なんかさ、この世の中、ホントに救いようがないよね」
「救いようがないのは世の中ではなく、人なのでは?」
僕はガクッと項垂れた。心の中で「救いようがないのはあんただよ」と毒づく。
「あの……」
「え? なに?」
心の中の声が聞こえたのかと思い、ビビりながらマスターを見る。
「さっきの絵、もう一度ご覧になってください」
――あ!
絵の中のフミコさんの横に、茶色の着物を着た男性が寄り添っている。
「ゼンジさん……」
そう呟くと同時に、絵は消えた。
「フミコさんがあの世でゼンジさんに逢える確率、万に一つもない?」
「ええ。まず逢えないでしょうね」
「万に一つで十分だよ。僕は逢えると思う」
「そうですか」
さっきまでフミコさんが座っていた席を見た。少しだけ、ほんの少しだけ救いはあったのかもしれない。そう思わないとやってられない。
「マスター、わざと薄い水割りにしてくれてたんですね」
「ええ。最初に会った時、あなたがお酒に弱いことはすぐに分かりましたから」
「ありがとう」
「おかわり、いかがですか?」
「もらうよ」
――これを飲み終わったら帰ろう。
でも、もうしばらくこうしていよう。
救いようのない世界と一緒に。
第3話へ
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