シェア
外からドーン、ドーンと音が聞こえる。 花火だろうか。 季節外れだなと思いながらも、仕事に…
夜の鍵を閉める係を担当することになった。 勝手に開かないように、しっかりと夜の帳を下ろし…
地平線を歩いて来た旅人が、疲れた顔をして言った。 「人がいるところは騒がしくていかん」と…
僕の少し前を、自転車を押しながらゆっくり歩いている女性がいた。 道幅が狭い道路で、申し訳…
交差点の信号が青になり、誰もが一斉に歩き出す。 どうしてみんな、そんなに迷いなく歩き出せ…
廊下に小さな付箋が落ちていた。何気なく拾って見てみると、シャーペンで小さく「何もいらない…
外から子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。祭りが終わったらしい。呑気なもんだ。俺は仕事でヘトヘトになって帰って来たってのに。 「あー! うるせぇ!」 勢いよく窓を開けると、そこには誰もいない。 薄暗い街灯が無機質なアスファルトを照らしている。 湿った風が吹いた。 「ああ、俺だけ置き去りか」 (140字小説) こちらもどうぞ。 テーマ「創作」でCONGRATULATIONSを頂きました!
いつも窓辺に佇んで空を見上げている人がいる。 普段は挨拶を交わすだけだが、今日は思い切っ…
灼熱地獄の中、道路の向こうに水溜まりが見えた。 「逃げ水か」と思った瞬間、逃げ水はこっち…
明日からの連休だ。さて、何をしよう。 部屋の掃除をして、洗濯をして、ついでに模様替えもし…
「君は僕のフレグランスなんだ。君の隣にいると、いつも風に乗ってシャンプーのいい香りがして…
「快速『深海』は間もなく海に入ります。えら呼吸の準備をしてください」 アナウンスと同時に…
遠くで小さな女の子がシャボン玉を飛ばしている。 ふよふよと風に乗って流れて来たシャボン玉…
引っ越し先で荷物を片付けていると、いつの間にか夕方になった。 知らない町のコンビニで買ったお弁当をレンジでチンして食べていると、急に不安に襲われる。 たまらず窓を開けると、遠くから小さくガタンゴトン……と電車の音が聞こえた。 まるで「大丈夫だよー」と囁いてくれたようで、少し元気が出た。 【140字小説】 こちらもどうぞ。