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風を感じて|140字小説

僕の少し前を、自転車を押しながらゆっくり歩いている女性がいた。
道幅が狭い道路で、申し訳ないが少し邪魔だ。

歩調を早め、一気に追い抜こうとした瞬間、女性の動きが止まった。

――おっと!

すれ違いざま、何となく女性を見る。
女性は目を閉じ、少し微笑んでいた。

きっと夏の風を感じていたんだろう。

(140字小説)


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