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【連載小説】僕と彼女の宇宙旅行【連載中】

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彼女との初の宇宙旅行は”ミステリーツアー”。 どこに着くかわからない旅の始まり。 しかし、予想もしない展開が待っていた。
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#魔女

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#1】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#1】

#1 宇宙をお散歩していたら...
 無重力は楽しい。何でもぷかぷかと浮かぶ。
 だから、宇宙を散歩するのは大好きだ。今日も少しだけ散歩しよう。

「宇宙は綺麗だなぁ。」

 宇宙では大声で独り言を言っても、外に声が漏れることはない。外には誰もいないし、何てったって真空だから。

「また言ってる。よくもまぁ、毎度毎度感動出来るわね。」

 外に声が漏れる事はないけど、隣にいる人には丸聞こえだ。

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#22】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#22】

#22 森の魔女 目の前にいた紫色の女は魔女だった。
 最初は捕まっている弱弱しい女性だったはずが、今ではその雰囲気が全くない。

「じゃあ、もうここから出してくれよ。扉開けたんだから。」
「そうよ。早く地上に出たいから帰ろう。」

 二人は扉を出て廊下を再び戻ろうとした。

「…そのまま帰すと思ったのかい。」

 そう言いながら、廊下の向こうから魔女が現れた。
 どうやって移動したのか。つい2~

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#24】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#24】

#24 紫の魔女はどこに「え!なぜ!さっきまでここに!!!」
「一瞬だよ。ほんの10秒とか20秒とか。」

 紫の魔女は突如として、その存在を消した。
 部屋は暗くなっていて、どうやら蝋燭が消えている。廊下からの光で真っ暗になっているわけではなかったが、この部屋に僕たち二人以外の人がいない事はわかった。

「ちょっと待って。揺れてない?」

 カタカタカタカタ、ガタガタガタガタ

 揺れは徐々に大

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#25】

#25 地上への扉「待てええぇぇぇ!ここからは一人も出す気はない!」

 紫の魔女が、目の前に現れた。魔女は宙に浮いていて、確かに只者ではないのが一目でわかる。

「マーク!マーク!!」

 紫の魔女の力なのだろうか。僕がいる廊下は、地上への扉からどんどん離れていく。押し戻されているのだろう。
 徐々にレイニーからも離れていく。

「レイニー!行くんだ!!地上へは真っ直ぐ上がれ!分かれ道は全て上だ

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#26】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#26】

#26 向こう側へ マークは、遠ざかる扉を見ながら、レイニーがどうか助かりますようにと願っていた。
 初めての宇宙旅行で、二度も彼女と別れる事となってしまった。しかも、もうこのまま会えないんじゃないか、と後悔ももちろんあった。
 ただただ、彼女の無事だけを願いながら、洞窟の奥で巻き起こっている事を見られる限り見ることにした。

 相変わらず二つの光がぶつかったり、消えたり、また現れたりした。
 宙

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#27】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#27】

#27 ピケ マークは、一歩一歩しっかりと歩いた。

 あと9m。あと8m。あと7m。

 着実に進んでいる。向かいにいるレイニーの顔も近づいて来た。
 しかし、ここで遂に起こって欲しくない事が起こってしまった。

『逃がさないよ。』

 さっきまで光がぶつかりあっていたはずだが、今では空洞の中に響いていた轟音もなくなっていた。
 そして、真横に紫の魔女が迫っていた。

『一歩でも進んだら、どうな

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僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#28完】

僕と彼女の宇宙旅行【連載小説#28完】

#28 別れ 何分経っただろうか。
 わずかながら空が白んでいて夜明けが近いのがわかった。

 僕たちは必死に駆け上がった。

 地震は収まらず、洞窟がいつ崩れるかわからない恐怖の中、走り続けた。
 それでも、全員が洞窟から地上へ上がって来られた。

 地上の光が見え、やっとだと思った時。魔女が声なのか音なのかわからないような怒号を鳴らしながら上がって来るのが見えた時には、もうすぐなのにこれまでか

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