「学習の原則」③ 主体性の原則
ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。
あなたが「最高の自分」に向って成長し続けることに役立ちたいと願って書いています。
「成長し続ける」ためには、「学習し続ける」必要があるのです。
そのようなことから、「学習の原則」についてシリーズで取り扱っています。
学びに関心をよせる以下のような方にお役に立てるよう努めてますのでよろしくお願いいたします。
自分自身の成長のために学び続けたいと願っている方
部下を育成する立場や人を教える立場他者の学習を支援している方
人材育成コンサルタントや教務主任のように学習を促進する学習環境や学習システムを設計している方
(質問・疑問・要望・ご意見などコメント欄にお願いいたします。)
さて、今回からは、いよいよ個々の原則についてみていきたいと思います。
第3回目は「主体性の原則」です。
誰の主体性?
学びの主体は誰にあるのか?ということをまず考えましょう。
はい、当たり前すぎる事です。
「学習者」ですよね。
はい、次!! と行きたいところですが、そうは行かないのです。この当たり前すぎる大前提がはっきりしなくなってくることがあるからです。
職場の例で考えてみましょう。
こんなことを考える上司がいます。
部下にやらせてみないと育たない。主体性が大切だ。そこで、思い切ってプレゼンを部下に任せようと思います。
「こんどの企画会議のプレゼンはお前に任せることにした。これまでの学びを活かしてしっかりやれよ!」
こんなフレーズと共に企画会議のプレゼンテーションをすることになった部下さんは、学習者としての主体性を持って仕事に取り組みながら、効果的な学びをすることができるでしょうか。
何ごとも経験ですですから、学習が起こらないとは言い切れません。しかし、学習の主体性原則がフルに機能しにくいと言えるのではないでしょうか。
どこが問題なのでしょう。
上司のフレーズだけの情報なので限られていますが、ツッコミどころはいくつかあるでしょう。
プレゼンを任せる:どこからどこまでを任せたのかがはっきりしていますか?スライド作りは?デザイン、内容、時間の選択権は?
これまでの学びを活かして:条件がついているけれど、どの学びを活かすのか?
しっかりやる:しっかりとは具体的にどのような事なのか?
会議までに上司と進捗状況をいつ、どのように確認するが必要あるのか?
そもそもこのプレゼンに期待されている成果はどのようなものなのか?
この上司さんの指示の仕方に文句をつけているのではありません。
学習の主体を学習者、すなわち部下さんになるように願っているとするならば、もう少し工夫が必要だということです。
任せたからといって自動的に学習者が主体性を持つわけではないのです。
主体性と自主性の混合
どのような工夫が必要なのでしょう?
主体性とは、自分の意思や判断によって自ら責任を持って行動する態度や性質のことを言います。
自分の意思や判断をどこからどこまで働かせることができるのか。これを明確にすることが大切です。
明確にすると言っても、この場合上司さんの頭の中で明確になっていても、主体となる部下さんの頭の中で明確になっていなければなりません。
もう少しつっこんで言えば、双方で明確になっていることが大切です。
そうでないと、部下さんは上司さんから指示されたことを、「自分の意思や判断」を働かせて実行しない可能性があるのです。
どういう事が起こるのでしょう。プレゼンを任されたので会議までに上司に言われた仕事を実行するのですが、主体性を持って行うのではなく、自主性のみで実行するわけです。
学習における自主性とは、「言われなくても自分からやる」という事です。
自主性は外圧によって強まることがあります。言われたくない、恥をかきたくない、怒られるなどで自主性が高まることがあります。
学校の宿題や課題、受験勉強を思い出していただければ、自主的に勉強するイメージがわきますよね。
ところが、自主性があるからといって、学習者に学習の主体があるとは言えないのです。
自主性のことであれば、「すぐに自分から」すすんで実行したかが問われます。主体性のことであれば、「自分ごと」になっているかどうかが問われるわけです。
これ以外にも主体性を直接、間接的に阻害するものが沢山ありますが、先に話しを進めます。
学びの主体を学習者が持つ
「上司と部下」「教師と生徒」「親と子」というように、教える立場と学ぶ立場がはっきりとしている場合には、主体がどこにあるのかが不明確になってしまうことがあります。
学習者に主体があると思いながらも、教える立場の人が学習者の主体性を奪ってしまうことさえあるのです。
それではどのようにして学習者の主体性を担保すれば良いでしょう。
ここでは私自身にとって助けとなっている一つの問いかけだけをご紹介します。
文部科学省の学習指導要領では、「主体的で対話的で深い学び」を進めるにあたって育む事柄を以下のようにまとめています。
知識・技能
思考力・判断力・表現力
学びに向かう力、人間性等
この2番目の「思考力・判断力・表現力」を麻布教育研究所所長の村瀬公胤所長はこう言いかえています。
「考え(思考力)、選び(判断力)、やってみる(表現力)」
この言いかえによって主体をより明確に意識することができます。
主体である学習者を主語にしてこう考えてみましょう。
学習者が、「自分で考え、自分で選び、自分からやってみる」学習活動になっているだろうか。
まとめ
長くなってしまいましたが、今回の原則はこれです。
「学びの主体が学習者である時に、学びの効果は高まる」
ご自分の学びにおいても、他者の学習を助ける場合でも、学びの主体が学習者に担保されているかどうかを意識することで、起こる学びをより効果的なものとしていきましょう!
最後までお付き合い頂きありがとうございます。
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