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「属人化」の解消で考えておきたいこと。

(写真はシンガポール植物園で見た虹:2015年7月撮影)

「担当の○○さんが不在の時に問い合わせがあって、誰も対応できなかった。」
「○○さんが休職したら、担当していた業務が完全に止まってしまった。」

職場などでこんな問題を見聞きしたことが一度はあるのではないでしょうか。

ある業務の内容、進め方や進捗状況について特定の担当者だけが把握しているために、当人意外はわからなくなってしまい「ブラックボックス化」してしまっている状態を、業務の「属人化」と呼びます。

リモートワーク、テレワークが普及するのに伴い、「属人化」の問題が注目されてきているように思います。

「属人化」の解消のために、業務内容や進捗状況の「見える化」や業務の「標準化(平準化)」を計って、ある特定の人に依存しないような手立てがとられています。

今回は、そんな「属人化」を解消する際に、見落としがちと思われることを取り扱います。

「属人化」によるマイナス面

ある個人が責任を持って業務を遂行しているという前提があって「属人化」するわけです。

また、当人が自分のやり方で一番成果を出しやすいと思われる方法で遂行していることがほとんどでしょう。

そのような面からは、「属人化」が悪いようには思えないかもしれません。

しかし、それでも「属人化」のマイナス面は大きいと思います。

  • 「属人化」された業務は、「業務改善」は起きにくくなります。そもそも改善の必要にさえも気づかない可能性があります。

  • 「属人化」された業務の進捗が、個人の稼働状況に左右される。

  • 「属人化」された業務に関連するノウハウやスキルなどが他者に共有されて、育成や引き継ぎなどが困難になる。

このように組織のミッションを遂行するためには、「属人化」は解消するべきでしょう。

そもそも...

「属人化」は何故起こるのでしょうか?

業務が「属人化」する原因は何でしょう。

よく言われる原因として、人手不足で多忙により業務の進め方や業務遂行のノウハウ、進捗状況を共有することよりも、自分で遂行して結果を出すことが優先されるから、というものがあります。

また、そもそも専門性が高い業務で、担当者以外に同等の専門性を持つ人がいないという理由も挙げられます。

しかし、それらは根本原因なのでしょうか?

問題解決をする時には、対処療法的な処置が全く必要ないとは思いませんが、問題症状を生み出している根本原因を取り扱わなければなりません。

「属人化」という「症状」には、どのような根本原因があるのでしょう。

いくつかの根本原因を考えることができます。

(1)同じ業務を継続して行うことに対する価値

もちろん、永遠にその業務を担当すると考えている人はいないでしょう。終身雇用を考えている人はいないかもしれません。

しかし、任された業務を同じように忠実に遂行することに、価値を見出す文化は組織内や個人の中に残っているように思います。

また、変化の量やスピードを上げることは、必ずしも良いことではないという「現状維持バイアス」が働いて、任された業務を改善したり、他の人に引き継いだりすることに対して消極的になっている場合があるように思われます。

このようなマインドセットをそのままにして、業務のシステム化によって「属人化」を解消しようと思っても、業務の遂行によって望む成果を上げる効果は得られない可能性があります。

(2)業務は原則的に一人でするという考え方

個々人が担当する業務は、組織全体の一部なわけですが、チームワークで業務を遂行するという理解が欠けている場合には、「属人化」しやすくなるように思います。

チームスポーツであれば、メンバーにはそれぞれの役割やポジションがあるわけです。同じチームのメンバーは、戦略などを共有するわけですし、自分の役割やポジションについて「属人化」することはあり得ないわけです。

しかし、複数であってもチームスポーツでない体操などの競技の団体戦のように考えて業務にあたれば、この業務は「自分のもの」という考え方になってしまいます。

チームとして業務を遂行する意識が根付いていないと「属人化」の解消をしても効果がでないケースもあるでしょう。

(3)自分だけのものを抱え込むことで価値ある存在になる

リーダーの役割は、一人ひとりの強みを組織に共通する成果に結びつけることです。適材適所を行って全体最適に向かうことが求められます。

そして、適切な「承認」を与えることも大切な役割の一つです。「褒める」こともその大切な一つでしょう。

それによって、業務遂行者は何が成果として求められているのか、どのように業務を遂行していったらよいのかを理解することになります。

そうでないと、自分自身の組織における価値を「自分だけのもの」を抱え込むことによって価値を見出そうとする意識が働きます。

このような自己保身的意識をそのままにして「属人化」の解消は対処療法になってしまいます。

まとめ

「属人化」は解消する必要があると思いますが、根本原因を取り扱わずに「標準化」や「システム化」を計っても、手落ちになる可能性があります。

組織に「属人化」の症状がみられたら、根本原因を明確にして取り扱うことをお勧めいたします。


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