「難病になって何を学んだんですか....?」(7)
(写真は2016年10月に扁桃腺摘出手術を終えて病室に戻った私)
「紫斑病性腎炎」という難病を患い、入退院をくり返しながら、様々なことを考えたり、学び直したりの日々を送っていました。その中からいくつかをシリーズで紹介させて頂こうと考えて、一週間が経ちました。
こんな大変な目に遭ったのだとか、大変でしたねとか、同情を誘うためでも自分自身のカタルシスのために書こうと思ったのでもありません。
ハイパフォーマンス・コンサルタントの髙澤健(たかざわたけし)です。
難病を発症して何を学んだかと尋ねられることが少なくありません。
これを読んでくださっているあなたの成長のために何らかの刺激になればと願ってしばらくシリーズで書きたいと思います。
ステロイド剤「プレドニン」
発症してからステロイド剤の「プレドニン」を腎臓の炎症を抑えるために投与していました。この薬は様々な効用があるのですが、同時に様々な副作用もあって、私の場合は副作用によって一時的に糖尿病になってしまい、インスリンを一日4〜5回打つことになりました。また、副作用を抑えるために10種類の薬を併用して飲んでいました。
この薬の副作用で「ムーンフェイス」と呼ばれるものがあります。顔がふっくらとお月様のように丸くなってしまうので、こう呼ばれるのだそうです。私の場合、もともと丸顔でしたので気になることは全くなかったのですが、実際には太ってもいないのに顔が丸くなることから、気になさる方もいるようです。
もう一つの副作用は「不眠症」です。これには悩まされました。私はもともと「いつでも」「どこでも」「どんな状況でも」眠ることのできる人でした。東京の山手線を一周したこともありますし、温泉につかりながら居眠りをしてしまって沈んで目が覚めることもありました。1〜2分で眠りにつくことができますので、眠れない人の気持ちは全く分かりませんでした。
「不眠症」
プレドニンを投与し始めてから、目がさえて眠ることができなくなりました。最初は海外出張から帰国してすぐの入院でしたので、時差ボケで眠れないのだと思っていたのですが、一向に眠ることができません。
寝なくて死ぬ人はいないんだから、その内眠ることができるだろうと思っていたのですが、それは甘い考えでした。常習性のない睡眠導入剤を飲むのですが、消灯時間の午後10時から午前2時くらいまでしか眠ることができず、起床時間の午前6時までの4時間ほど全く眠くならないのです。
最初は眠くならないのだから仕方がない、等思っていたのですが、徐々に睡眠不足が影響して頭が一日中ぼーっとするようになってしまいました。若いときに徹夜をくり返した時の様になりました。
そうなると、深く考えたり、何かの決断をしたり、何かを思い出したりする事が難しくなりました。話している時や考えている時に、突然頭の中が真っ白になってしまって何を考えていたのか、何を話していたのか全く分からなくなってしまうことさえありました。
ある時には、壊れたレコードのように同じことを何度も言ってしまうこともありました。その時には話している相手に席を外してもらうまで、同じことを言うのを辞めることができませんでした。自分では同じことを言っているのが、なんとなくわかっているのですが、どうしてもきっかけをつかめず、空回りして同じことを言ってしまうのです。
このような状態なら目をつぶれば、眠れるのではと思いますが、ぼーっとしたままで眠ることができない状態が長く続きました。
で、何を学んだの?
睡眠がいかに大切かを身体で理解することができました。現在、寛解に至り一切の薬を飲んでいませんので、眠ることができるようになりました。もちろん、時には寝付きにくいことやストレスで目が覚めてしまうこともあるのですが、ステロイド剤を飲んでいたときのようにはなりません。
ところで、しばらく前のことになりますがロンドン・ビジネス・スクールのリンダ・グラットン教授が来日公演したことがあります。
日本のビジネスパーソン対象の講演後に質疑応答がありました。あるビジネスパーソンがこのような質問をしました。
「リーダーとしてより良い決断をするために何が必要ですか?」
グラットン教授はすぐさまこう答えました。
「1に睡眠、2に睡眠、3に睡眠です。」
睡眠不足で良い決断をする事は不可能であると話されました。
その教えを不眠症になって思い知りました。
より良い決断をするために必要なものトップ3
1.睡眠
2.睡眠
3.睡眠
これを読んでいるあなたも毎日決断をするでしょう。重要な決断をするのであれば、十分な睡眠をとってからその決断をなさることをお勧めいたします。
ここまでお読みくださってありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?