見出し画像

Yes or Noなのか?それとも、妥協点を見出すのか?

(写真は雨のシンガポール:2015年12月撮影)

人は一日に3万〜4万回の決断をしているといわれています。

そのほとんどは、無意識下で行われているのだそうですが、あるものはそれこそ「頭をひねって」考えて決断するものもあります。

無意識下でもそうでなくても決断には頭を使う、すなわち脳が活動しているわけです。

脳は機械ではありませんから、それだけ活動すれば疲れるわけです。私は日が落ちてくるころには、頭の回転が遅くなっているのを実感します。

意識的に決断をする時に、どのような条件をつけているでしょうか。

今回は、数ある決断の中で、妥協しないか、妥協するかの決断について考えてみたいと思います。

初代iPhone「ボタン1つ」

商品開発において妥協しない例で有名なのはiPhoneの開発でしょう。

2007年に初代iPhoneが発売された当時、スマートフォンといえば携帯情報端末としてビジネスに導入されていた「BlackBerry(ブラックベリー)」が普及していました。

BlackBerryは、ネットワークを通してメールやブラウザとしてパソコン同等の機能をモバイル環境で使用できる端末として、「元祖スマートフォン」として広く使われていました。

実物を見たことのない人も写真を見れば分かるように、パソコンさながらの小型キーボードが装備されていました。

また、携帯電話といえば0〜9までの番号を押すことのできるボタンが装着されていました。ネットワークへの接続のために「iモード」ボタンもついていましたから、10個以上のボタンがついていました。

多機能を装備するために、沢山のボタンがあるのが当り前、そのような時期にiPhoneは、「ボタン1つ」にこだわったわけです。

スティーブ・ジョブスは開発途中に、ホームボタンに加えて「戻る」ボタンを加える必要があると主張していたそうですが、開発チームが二つではなく、タッチスクリーンの他にはボタンはたった1つにするべきだと反論したそうです。

多機能になっている携帯の様々な機能はメニューに埋もれてしまって複雑化いることから、そのボタンを押せば必ずホーム画面になるというボタンを一つだけ用意することがユーザーの信頼を勝ち取るためには大切だとスティーブ・ジョブスを説得したというのです。

チームは創業社長であるスティーブ・ジョブスに反論して決して妥協する事はなかったようです。

「ボタンは1つ」それ以外はない。

開発チームは確信していたので妥協点を探そうともしませんでした。

アップル社の妥協しない判断が、iPhoneの大成功に繋がったわけです。

アマゾンの書籍販売

アマゾンの創業者ジェフ・ベソスは、1994年にエグゼクティブをしていたヘッジファンドを退職して「世界最大の商店としてのオンラインストア」を創業することを決めたのでした。

それから、オンラインストアで売る事のできる20品目を選び出し、さらにその中から5品目を絞り出したのでした。

  • コンパクトディスク(CD)

  • コンピュータハードウェア

  • コンピュータソフトウェア

  • ビデオ

  • 書籍

そして最終的に、

  • 世界的な需要

  • 低価格

  • 膨大な商品(タイトル)

を有する「書籍」に商品を定めたのでした。

現在は様々な商品を扱う「世界最大の商店」として大きな成長を遂げていますが、創業時は「オンラインの本屋」として始まったのでした。

妥協したのではないと思いますが、最初から「世界最大の商店」を造りあげることにこだわったのではなく、「世界最大の○○店」としてのブランドを確立することにこだわりました。

ある意味において、「世界最大の○○店」の○○に何が入るかは、順序としてより良い選択肢であれば、それほど重要ではなかったわけです。

この考え方をMVPで説明することができます。

MVPといっても大リーグエンジェルスの大谷選手が受賞したMost Valuable Player(最優秀選手)ではありません。

Minimum Viable Product (実用最小限製品)の事です。

最小限の機能を搭載した製品(MVP)を実際に小規模テスト販売し、速やかにフィードバックをもらうことで、製品がユーザーの需要に応えているか仮説を検証するために利用するわけです。

アマゾンの場合は、最終的には様々な商品を扱う百貨店を目指しているのですが、「世界最大のオンライン商店」という完成品ではなく、書籍だけに絞って、「オンライン書店」として需要に応えているかをテストしたわけです。

「世界最大」ということや、「総合百貨店のような品揃え」にこだわらず、書籍販売のオンラインショップというMVPからスタートしたわけです。

その後アマゾンが当初の目標である「世界最大の商店」へと急速に成長したことは説明不用でしょう。

パンか赤ん坊か?

アップルとアマゾンのそれぞれの決断は、大きな成功を導き出しました。

決断をする際に、何にこだわるのか?何については柔軟に対応するのか?

この二つのストーリーからも多くのことを論じることができると思います。

20代の後半に出会った米国のコンサルタントに教えてもらった質問を思い出します。

それは、「あなたが扱っているのは、『パン』なのか?『赤ん坊』なのか?を考えなさい」というものでした。

もしそれが、「パン」であるなら、一斤全部でなくても、ひとかけらでも美味しく食べられる。しかし、それが「赤ん坊」であるなら、ひとかけらの妥協もしてはならない。

あなたが直面している決断はどのようなものでしょうか?

最後までお読み下さってありがとうございます。



「ひとづくり」スペシャリスト髙澤健の公式LINEはこちら↑




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?