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・サウナで首の付け根から芽が生える話・


最近、巷ではサウナブームだそうで。

そんなブームに乗ってじゅんじゅんもついにあれだけ嫌いだと言っていたサウナにハマり出した、しめしめ。

私はというと、子供の頃からスーパー銭湯好きだった両親に連れられ毎週末のようにサウナに入っては、まだー?まだ入るのー?とサウナの入り口でコロコロと転がっていたっけ。


丸い鏡の前に、うなだれてデロリと座る。
カラダの皮膚がそこらじゅうチリチリと、なんとも言えない収縮をするような感覚が心地よい。

ここまではいつもの感覚。

そのうちに、首の付け根から何か芽のような物が生えてきた気がして。
芽はジャックと豆の木みたいにどんどん太くなって伸びていき、
背骨の髄の奥底からエネルギーを吸い取りながらスルスルと成長し続けて、からだ中の毛細血管に根をはり、自分が球根になったみたいだった。
果たしてこれは木なのかしら、自分のカラダの一部が大きくどこか遠くに伸び続けていく感じがとてもおもしろい。強い力で一方向に引っ張られる感覚はよくあるのだけれど、身体の一部が伸び続ける感覚はお初、ね。
伸びていく部位とは反対にそれ以外のカラダはしっかりと地に足をついてどっしりとしてきた。

そうこうしているうちに、今度はそのめきめきと大きくなった木の重さに耐えきれなくなって、頭と身体が後ろに引っ張られ木が下がり始めたので自然にあたまが天井を向き、さっきとは逆に天井をみる形になった。
その途端に、木は水になってバシャーーーと滝のように流れて落ちて、自分の体からもなんの液体かわからない液がずっと下に流れていく感覚が襲ってきた。さっきまで上にあった空間が足元に広がってる感じがして、私が座っているケロリンの黄色い椅子と足を置いてる数枚のタイル以外は宇宙空間みたいに底無しでそこにずっと謎の水なのか体液なのか、身体が溶け出していたのかはよく分からないけれど雨みたいに底無し空間にぽたぽたと落ちていく。そのうちにその液体が霧みたいに、水蒸気になるみたいになって蒸発し始め身体と空間の境目が曖昧になっていくなぁと浸り出したところで常連さんであろうおばあちゃんの「こんばんわ」で意識と身体が銭湯に戻ってきた。

あのまま水蒸気になっていたら本当にしばらく戻ってこれなかっただろうなあなんて思いながら、これだからサウナトリップはやめられないね、と。

これはこの前の昭和湯でのお話、感覚の備忘録。


www.harukasuzuki.info

写真はリトアニアに住んでいた時の友人達の身体


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