奇跡

ネイバーズイン金沢が生んだ奇跡の物語


ふと、考えることがある。


もしもあの時、今とは違った選択をとっていたらどんな人生になっていたんだろうって。

あの時家にいたら出会わなかった人がいる。あの時外に出ていたら出会わなかったテレビ番組がある。あの時右に曲がっていたら出会わなかった景色がある。あの時電車を乗り過ごしてたら出会わなかった広告がある。

人生は偶然の連続だけど、その偶然のなかに少しでも心を動かされる出来事があった時、あなたは何らかの行動を起こすことができただろうか。心に小さな情熱の火が灯った瞬間を、どうか忘れないように。

2018年の終盤にかけて、僕の人生は、音を立てて加速したんだ。



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転勤で金沢に引っ越してきたのが今から約1年前。これまでの25年間を大阪や東京で過ごしてきた僕は、地方という場所が新鮮だった。

これは今からちょうど1年前に撮った金沢の風景。たまたま30年にいちどの大雪に見舞われていた金沢には、眩しいほどの白い世界が一面に広がっていた。地元の人たちは悲鳴をあげていたけど、僕は子供のようにはしゃいでいたのを覚えている。

金沢はまだ交通網が発達していなくて、僕の移動手段は自転車。普通はひとり1台車を持っているらしい。まずこのことが衝撃的だったね。都会だったら電車でどこにだって行ける。そのせいもあって、僕は車はおろか免許すら持っていない。

不便。最初はよかったよ。東茶屋街のような町屋がいっぱいの情緒あふれる街並み。そして何より海鮮が美味しい。人も少ないから落ち着いている。そんな旅先で味わえる非日常は、時間が経つにつれて日常に変わりはじめる。忘れようとしていた「不便」の二文字が頭角を現し出した。雪もはやく溶けてほしくなっていた。

やっぱり都会がいい。一時期の非日常感はすぐに消えてなくなり、僕は金沢という場所に飽き飽きしていた。だって新しい体験が少なすぎる。知り合いはわずかな職場の人たちだけで、休日はいつもひとりで過ごしていた。外に出かけようとしても、面白い場所やイベントも少ないし。ここから逃げるように、週末は友達のいる東京や大阪に行くことも多くなっていた。

そんな感じの生活が9ヶ月くらい続いてた時、家の中のベットの上で、過去最高に面白い人と出会ったんだ。


「家に住まない男」


その男は「新R25」というWebメディアのなかを楽しそうに旅していた。彼は家を持たずに、Airbnbやゲストハウスを転々としながら生きている人だった。

こんな生き方ありなんだ!と素直に僕は思った。そしてこれなら僕にだって真似できそうだ。飽きてきた日常を、非日常に変える手段がこれだと思った。

僕のなかで、小さな灯り火が、静かに音を立てた。

さっそく調べてみると、金沢にはゲストハウスがたくさんあった。僕は不動産屋さんに行って賃貸を解約した。部屋にあったものは全部メルカリで売ったよ。

ネイバーズイン金沢ってゲストハウスが、なんとなくいちばん心地よかった。たぶん7軒くらいのゲストハウスに泊まったんだけど、ここがいちばん安いし、ゆったりとした共有スペースがあったんだよね。僕はしばらくこのネイバーズイン金沢を中心に生活をすることにした。

この選択が、とっても大きな転機になったんだ。もしもあの時、家を引き払うという選択を、数あるゲストハウスの中からネイバーズイン金沢に住むという選択をしていなかったら、今とはまったくの別物の人生を歩んでいたんじゃないかって、ほんとにそう思えるんだよね。

よく、なんでそんなことをしたの?と聞かれるんだけど、ほんとにたいした理由はないんだよ。ただなんとなく面白そうだったから。日常を面白くしたかったから。根源にあるのは単なる好奇心。それだけ。でも、ほとんどの人はそんなことをしないんだ。必要ではないモノや固定観念に囲まれているせいで、好奇心のままに行動を起こせない。素直に自分の欲求を満たしてやることができなくなっている。でもね、ほとんどの人がそうだから、稀にいるそんなことをする人どうしを引きあわせてくれるんだよ。

僕がゲストハウス生活をはじめた1ヶ月後、同じ生活をはじめた人とネイバーズイン金沢で出会ったんだ。彼の名前は吉川佳佑(ミニマリスト高校教師よしかわ)。僕と同い年の高校教師。イカれてるよね。

奇跡だと思ったよ。たぶん北陸中を探しても、そんなことをしているのは僕たちふたりだけ。そのふたりがたまたま同じゲストハウスで出会ったんだ。当然僕たちは仲良くなる。ていうか仲良くならざるを得ないよね。

人ってさ、共通点を通して仲が深まるものだと思うんだ。同じ出身地、同じ趣味、同じ好きな音楽、同じ夢。そして、その共通点がレアなものだったらどうなると思う?その感動を誰かに伝えたくなるのさ。彼は僕のことをいろんな人に紹介してくれた。彼のおかげで僕は、ひとり、またひとりと、新しい友達と出会っていくことができたんだ。ありがとね。

そんななか、実はもうひとりネイバーズイン金沢という共通点で出会った人がいる。宇波豊さん。僕の2コ上。この人は婚活事業の経営者なんだけど、関東と北陸に拠点を持っていて、その2拠点を行き来している。で、金沢に来る時はいつもネイバーズイン金沢に泊まっている人だったんだよ。

この人もめちゃくちゃ面白い人で、何か相談をしたら必ず「やっちゃいなよ」「やらない方がリスクだよ」の二言で返してくるくらいノリが軽いけど、本質をついてくるような人。

金沢に面白いふたりがいる!ということで、また宇波さんが僕と吉川くんのことを人に紹介してくれて、今の自分ではアクセスできない経営者の方々と繋がっていくことができたんだよね。例えばDMMの亀山会長もそのひとり。

こうやってたくさんの人と出会っているうちにわかってきたことがひとつあって、みんな普通の人だってこと。実際に会うまではどんなに凄そうに見えていた人でも、喋ってみると意外と普通の人で、生まれつき特殊能力があるわけでも、凡人には太刀打ちできないような才能を持っているわけでもないんだよ。

でも彼らは、ちゃんと自分の頭で考えているんだと思うんだよね。社会的にこうあるべきだという常識とか、周りの人がそうしてるから自分もするなんてことはしない。ちゃんと自分の感情と向き合って、やりたいことをやるためにはどうするべきなのかを考えて行動している。やりたいならやればいい。すごくシンプルなことを素直にやっている人たちなんだと思った。

もっと面白い人と出会いたい!湧き出てくる好奇心にしたがって、金沢にいるいろんな人に会いに行ったよ。しゅんダイアリーのしゅんくんもそのうちのひとりだね。今やチャンネル登録数15,000人超えの大学生YouTuberは、ほんとに3歳児のような素直さとひたむきさがあって、誰もが応援したくなるような雰囲気をまとっていた。

そうやって、一見凄そうだけど実は普通の人たちに会っているうちに、自分もやったらできるんじゃないかという考えが徐々に脳裏によぎってきたんだよね。挑戦したい。面白いことがしたい。運良くそんな願いを叶えるためのチャンスが、ポッと僕の前に現れたんだ。

ジョーブログ のイベントを主催できる権利が500,000円で売られていることを知った。これしかない!と直感が叫んでいた。でも迷ったよ。だって50万円なんてお金はないし、そもそも金沢に知り合いはまだいないに等しい。なのに、いけるとも思っちゃったんだ。今まで出会った人が僕を誰かに紹介してくれたみたいに、もっとたくさんの人に紹介してもらえばいいんだ。そうやって単純計算で200人と出会えばなんとかなる。大丈夫、いけるよ。だってそんなことをするやつは、僕だけなんだから。

買っちゃった!とりあえずクレジット決済で50万円!今まで味わったことのない緊張感と高揚感が同時にたたみかけてきた。もうやるしかない。そうやって僕の無謀な挑戦は、意外にも突然に、独りでに幕を開けたんだ。

…ごめん。さっきそんなことをするやつは僕だけだと言ったんだけど、もうひとりいたよ。そんなことするやつ。

滝谷恭兵。僕の3コ下。こいつ、マジでぶっとんでる。たまたま友達に呼ばれたイベントで出会ったんだけど、僕とまったく同じことに挑戦しようとしていたんだ。しかも同じ2019年1月開催。ジョーブログ に比べて知名度はかなり劣る、加藤秀視さんって人の講演会を開催するみたい。正直、誰?って感じだったし大丈夫か?と心配してたんだけど、今はもうすでにクラウドファンディングは達成しちゃったよ…。

ゲストハウスで吉川くんと出会ったように、そんなことをしている人どうしは引き合わされる。これ、あながち間違ってないのかもね。レアな共通点で結ばれた感動は誰かに伝えたくなる。そして、本人どうしの絆は一瞬にして強靭なものになる。僕たちは互いに切磋琢磨しながらも、互いに人を紹介し合いながら今日までやってこれた。もし彼に出会ってなかったら、と考えるだけでゾッとする。ほんとにたくさん助けてもらった。おかげで僕のクラウドファンディングもなんとか無事達成することができた。まだまだ目標の300人まではほど遠いんだけど。ありがとう。

他にもここに書ききれないくらいの人たちと出会った。たくさんのご縁が、また新たなご縁を紡いでくれた。こんな作り話のような日常を、実際に味わっちゃったからこそ思うんだ。もしもあの時、新R25の記事を読んでいなかったら、そして家を引き払ってネイバーズイン金沢に住むという選択をしていなかったらどうなっていたんだろうって。もしかすると今もまだ、金沢という地方に文句をたれながら生きていたのかもしれない。それとも、まったく違ったジャンルの人と出会っている可能性だってあるけどね。

なんにせよ、ひとつだけ確かなことがあって、日常は自分次第でいくらでも面白くできるってことなんだ。本を読んだり映画を観たり、誰かと出会ったり知らない場所に訪れたり。そのなかで感じたこと、心が動いた瞬間を忘れたらダメなんだよ。情熱はやがて冷める。それはあたりまえのこと。だから、あなたのなかに小さな灯り火が宿ったら、そいつをちゃんと育ててやってほしい。枠に収まる必要なんてまったくないんだ。自分の心で感じて、自分の頭で考えて、小さな一歩を踏み出してみてほしい。踏み出してしまえばこっちのもんさ。その火はユラユラと温度をあげる。水をやっても消えやしないさ。ゆっくりでいいから、自分の欲求に正直になろうよ。そして行動を起こしてみてよ。きっと想像もできないことが簡単に起こっちゃうからさ。どう?ワクワクしない?その瞬間が物語のはじまりなんだ。

じゃあまたね。新しい年のどこかで、この続きをしようよ。


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基本的に記事は喫茶店で書きます。その時のコーヒー代としてありがたく頂戴いたします。