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モチベーション依存からの脱却。「集中・成果・成長」の為の組織ルールと評価制度

山本翔太郎 / シキラボ代表

##はじめに

こんにちは。シキラボ代表の山本です。本日は、シキラボの「成果・集中・成長」を重視した組織ルールと評価制度についてご紹介したいと思います。

■シキラボという組織の業務内容
最初に、我々の紹介をさせてください。
シキラボは、ゲーム・EC・SaaS・eラーニングシステム等、幅広いジャンルの開発プロジェクトを、各々1億以上という予算規模感で並列して遂行しています。
体制は、開発部長1名と、数名のPM(プロジェクトマネージャ)、そして40名近いエンジニア・デザイナです。

■以前の惨状
・ メンバーのモチベに、プロジェクト成果が左右
・そのモチベを奮い立たせること(1on1など)にPMが苦心し、疲弊
・開発規模の拡大に比例し、品質問題や納期遅れが度々発生。

その状態で、規模の拡大を急いだ結果、「成果物の品質低下」「一部メンバーの長時間残業」ということがありました。また、評価軸が曖昧で、成長を実感しにくい課題もありました。

■現在は改善
2021年に入り、月間平均残業時間10時間未満。成果物の品質も上がり、月間売り上げは最高を更新しています。評価制度も、ルールに従って、全社的に運用されています。

■何が良かったのか
大前提として、メンバーの成長があります。が、それを支えたのは、識学の理論から構築された、「モチベに依存せず、成果・集中・成長を重視した組織内ルールと評価制度」を定義し、それを全社レベルで運用できたことが大きいです。上記組織内ルール成立までの経緯と、その内容をかいつまんで紹介したいと思います。

##モチベは最初に上司が与えるものではなかった

マネジメント歴が浅い時は、部下のモチベを上げることも上司の仕事と思っていました。しかし、1on1を行い、話を聞いたりコーチングすることで、「一時的」には向上可能な部分もありますが、「恒常的」には難しいことに気付かされました。(ここを深掘り退避とは、下記リンク先をご参照ください)

評価項目や中期ビジョンを伝えることで、モチベーション持続に有効そうですが、一般的な「半期目標」などでは、特に変化の激しい現代のIT企業では、現実とマッチしない為、頻繁に修正が必要です。目標の修正は、緊張感と達成感のバランスを崩し、モチベ維持と成長への集中を阻害します。

結果として、管理コストが増え、マネジメント層の時間を大量に消費してしまい、「とにかく解決してくれる優秀なPM・マネージャが足りない(からどうにかして採用しよう)」という安易な課題感に着地してしまいまいがちでした。

■なぜモチベ依存組織はダメなのか?
色々あるとは思いますが、私の見解は下記です

・成果が安定しない→事業責任者の信頼を損なう→真面目な人ほど精神的に辛くなる
・問題の本質を掘り下げづらい為、組織としての学びがなく、積み重ねのない(成長できない)組織になってしまう
・モチベは、本人の意思で出したり引っ込めたりできるようなものではない。
・モチベは、他人に与えて貰えるものでもない。
・モチベが高くないと機能しない組織は成果が安定しない。

##理想はわかっても、実現とルール浸透が難しい

「明確な結果設定」と「正しい評価制度」。目標達成時、つまり成果を出せた時に正しく「達成感」が味わえる、そして物質的な評価(昇給、昇格)を得ることができる状態をつくることこそ、真のモチベーション管理だという結論に辿り着きました。

しかし、その結論(≒理想)を、組織全体に浸透(認識させ、実現できていることが当たり前の状態を作る)させるのは、大変なことでした。
シキラボでは、「評価制度」「ルール」と「ツール」を用いて、達成することができました。

##具体策❶評価制度

識学が考える、評価制度の考え方を前提とします

評価式を決め、その変数は成果を定量化したものである必要があります。

■評価式の要件
・メンバーの高成果が、メンバーの高評価と連動する
メンバーの高評価が組織の高評価(社会に発揮する価値=売上)と連動する
・評価結果は、軸(尺度)を持つ必要がある
(期を終えた段階で、「Aさんは110%達成」「Bさんは90%達成」などと評価できる)
評価式の運用、シキラボは具体的にどうやった?
評価式の為に、開発メンバーの成果度合いは、どのように測ったらいいのか。以下の流れにしています。

❶開発組織において、成果度合いは「顧客(or社内事業責任者)」からの評価獲得量で決める。
❷「顧客」の評価量とは、契約書に記載された予定受託(予算)額
❸PMの評価は、プロジェクトにおいて、予定受託額 / 実績コスト

❹予定受託額は、各タスクにPMの裁量で分配することができる(分配された金額は、担当者の時間単価で割り算され、時間へと変換される)
❺各タスクの予定時間と、終了条件は、PMと担当者で必ず事前合意
■PM以外は、各タスクに、事実に基づき実績時間を記録する
■実績時間は、担当者の時間単価が掛けられた上で、プロジェクト毎に集計され、プロジェクト実績コストとなる。

##具体策❷ルール

以前、「プロジェクトのゴールやビジョンをメンバーに根気よく説明して腹落ちしてもらえれば、後は自ずと各々が最適な行動をとる」
と考えていたことがありますが、これはやるに越したことはありませんが、必須条件ではありません。
もっと重要なのは、各自のメンバー単位まで、日々のタスクの期待値をきちんと定義して明文化することです。

■結果で評価する為のタスク化ルール
・タスクは、完全結果である(期限と、終了条件を記載)
・タスクは、遂行の為の前提条件も明らかにする
・タスクに予定時間をセットする(評価に用いる)
・タスクの目的をセットする
・タスクの粒度が大きい時は、分解する。具体的には予定時間は原則8時間以下とする

上記をツールに入力したら、PMとタスク担当者双方が合意を取り、タスク化完了(見積もり時間の妥当性担保の仕組みについては、また別の機会でご紹介します)朝会・夕会で、自分が担当になっているタスクを報告することで、成長に不可欠な、適度な緊張感を生み出します。

■ルールで得る効果
・タスクの予定時間以下で終わらせると、高評価につながるので集中できる
・状態が定義されているので、上司のプロセス関与が不要になる
・目的・ゴールを事前に決めているので、取り掛かりが早い
・分解により、抽象度がさがり、認識のずれを予防できる。
・予定時間見積もりを必須にすることで、作業前にある程度ゴールまでのイメージを頭の中でシミュレーションする習慣がつく
・タスク分解の過程で、問題の具体化が事前に行われる為、想定外が起きにくくなる

##具体策❸ツール(Wrike)

リアルタイムの状況把握と、進捗の可視化、成果の記録の為に、タスク管理ツールは必須です。Excelでも不可能ではないですが、スムーズに共有の為に、クラウドツールが良いと判断しました。
Asana、Jira、Redmine、Backlog等、過去のプロジェクト経験から、殆どのツールを利用してきましたが、シキラボでは「Wrike」というツールを利用しています(なぜWrikeなのか?はまた別の機会に紹介します)

評価の値は、全てWrike内の入力値の集計で計測されます。よって、社員であろうと、業務委託であろうと、正しい評価を獲得する為に、正確に入力します。特に、実績時間は、確実な入力の為に、以下のルールを設けました。

■社員
Wrike上の、タスク毎の時間記録合計を、勤怠管理ツールの時間集計と一致させる

■業務委託
準委任契約の場合、請求時にWrikeのタイムログレポートをエビデンスとして添付する。

##まとめ

組織として、正しいメンバーのモチベーション管理とは、部下に対し、成長を感じることができる環境・仕組を設定すること。モチベーション(以下、モチベ)を直接部下に与えることではなく、部下にて自己発生させる為の環境づくりまでを行うこと。そして、その為には、評価制度ルールツールが重要でした。

最後に、識学youtube貼っておきます

山本翔太郎 / シキラボ代表
長崎県佐世保市生まれ。新卒で伊藤忠テクノ(CTC) /アカツキ、グリーにてエンジニア、ゲーム開発ディレクタ/創業→カドカワグループにM&A/現在識学グループとして株式会社シキラボの代表。全ての日本企業内に強い開発組織を立ち上げることが使命。https://shiki-lab.jp