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シドニー郊外でクラフトビールざんまい

オーストラリア、といえばデカいオージーがビールをがぶ飲みする…

そんなステレオタイプがあると思う。

実際、オーストラリア人は世界でも1,2を争うビール飲みだったそうである(今は知らないけど)。

でも、ちょっと前まではビールは質より量、という感じで、大手のビール会社が限られた銘柄のビールを独占して売っていた。

ま、そのあたりは日本もそうだったし、他の国でも同じだったのかな。

ところが、昨今のクラフトビール流行にもれず、オーストラリアでも個人経営のクラフトブリュワリーが増えてきた。

そうとなっては、さすがビール好きのオージー、なかなかハイクオリティーのブランドも増えてきた。

クラフトビールのいいところは、街からそう離れていない場所にブリュワリーがあるという点だ。

それに比べると、ワイナリーはだいたいワイン畑の近くにあるので、街に住んでいたらちょっとふらっと行く…というわけにはいかないものね。シドニーから一番近いワイナリーといえばハンターヴァレーだけど、車で片道3時間はかかるから。

マリクビル(Marrickville)というシドニー郊外のエリアがある。シドニーの街の中心からは電車やバスで15-30分ほどの、まあ近郊の町だ。

実はこのエリア、クラフトブリュワリーがやたら多い。このマップでピンをしたのがそれらだが、少しエリアを広げたらもっとある。たぶん10軒くらいはあるのじゃないだろうか。

ビール好きには聖地のような場所で(ちょっと大げさか)、ぼくも何回か訪れている。

コロナ禍でここ1,2年は入場規制などもあったのだが、それもほぼ解けたため、先日友だちとクラフトブリュワリー巡りをしてきた。

シティからバスに揺られて20分ほど。郊外の町を過ぎ、少し殺風景なエリアでバスを降りる。

少し歩くと、最初のお目当てブリュワリーの看板があった。

Grifter Brewing Co.

もろに倉庫を改造したブリュワリー。お隣は車の整備工場だった。

殺風景な入り口とは対照的に、中はきちんとバーカウンター、テーブルがセットされて、こざっぱりとしている。

ただこの反対側には大きなビア樽(ステンレス製だけど)、醸造タンク、フォークリフトなどがあり、やはりここでビールを作っているんだなあという実感がする。

さて、何を飲むか。

っていうか、こういったクラフトブリュワリーでは、普通に市販されているビールに加え、期間限定のここでしか飲めないビールもあるので、とても迷う。

それに、いくらビールが好きなぼくだって、そんなにガバガバ飲めない。この後何軒かまわる予定だし…。

という人のためにうってつけなのが、小さなグラスに何種類かのビールを頼める、Tasting Paddle というメニュー。

種類は自分で選んでもいいし、バーのスタッフと相談してもいい。

「どんな味が好みなの?じゃあそうだね~、コレとコレ…なんかどう?」
みたいな感じで選んでくれる。

僕が選んだのはこのラインアップ。詳しい説明は省くが、この色を見ただけでも様々な味わいのビールだなあ、というのが想像できると思う。

ここで一番面白かったのは、オーストラリア原生の花を使った、Hand in Handというラガーだった。

グラスに鼻を近づけると、Lemon Myrtle という、レモンに似た花の香が漂って、夏にはぴったりのビールだなあ、と思った。

そして、こういったブリュワリーではもちろん自社のビールをテイクアウェイすることもできるし、オリジナルグッズも売っている。

…っていうか、ここのTシャツ、カラフルでとてもイケてない?普通のベタなお土産よりよっぽどセンスがいいのでは、と思って、思わず買ってしまいそうになった…っていうか、次回は買おう!

さて、4種類のビールを味わい尽くした後は、2軒目へ。

表通りからすこし入ったところにあるのが、このブリュワリー。

Sauce Brewing Co.

ここも、もろに倉庫だった建物だ。

なぜこのエリアにクラフトブリュワリーが多いかというと、結局このような倉庫街だから、ということなのだろう。

実はこのエリア、シドニー空港からそう遠くもないせいか、やたらと倉庫が多い。じっさい、ひっきりなしに上空を飛行機がかなり低い高度で飛んでいく。

ブリュワリーなのでそれなりの敷地は必要、でもパブや酒屋に卸さないといけないので街にはそれなりに近い方がいい、ビールをつくるのでそんなに清浄な空気や水が必要なわけではない…などの理由が重なって、ここがクラフトブリュワリー密集地帯になったのかな、と思う。

閑話休題、次のビール。

ここでは、ちょっと中休みでどれかを一杯だけ飲もう、ということになった。

このタップはすべて、限定リリースのビールたち。むむ、迷う。

結局、バーのお兄さんのおすすめもあり、Rye Pale Aleというビールにした。

ここは、建物の中はそれほどバースペースはなかったが、裏庭がちょっとしたビアガーデンのようになっていて、ゆったりとビールを楽しめた。

これがここのブリュワリーのイメージキャラクターなのだろうか。今風のファンキーなカップルだなあ…。

このビールは、名前の通りライ麦を使ったペールエールで、色からも分かるようにまろやかでコクがあるビールだった。これからだんだん涼しくなってくるシドニーで飲むには美味しいビールだな。


さて、このブリュワリーを後にすると、前をカップルが歩いていた。

あれ、あの人たち、一軒目のブリュワリーにもいたよなあ…。

クラフトビールが好きな人は、どうせ1軒に留まることはなく、一杯飲んだらその次に行く、というパターンなので、だいたい似たような動きになるんだろう。

この順路だと、絶対次も同じブリュワリーに行きそうだよね、と友だちと話していたら、それを聞きつけたわけでもないのだろうけど、彼らもこちらを振り向き、

「次もブリュワリー行くの?」とにっこり笑って話しかけてきた。

「うんうん!やっぱりあなた達もそうなんだ~!」とこちらも返し、その後はクラフトビール談義に話を咲かせながら3軒目のブリュワリーに向かった。

といっても、ものの5分ほどで次に到着。いやあ、ブリュワリーが固まっているので、歩いて回る分には本当に便利。別にワインをディスるわけではないけど、ワイナリーではそうもいかないでしょ?

Philter Brewing

さて3軒目は、とてもダサい(でも味のある)1970年代風のビルの中にあるブリュワリー。

ここが今まで行った場所の中では一番普通のパブっぽい作りになっていて、もうこの頃には6時位になっていたせいもあり、このあたりで働いていて、仕事を終えた人たちで賑わっていた。

ブリュワリーの中も、ちょっとレトロな雰囲気。こんなテレビもあったしね。

ここでもがんばって、Tasting Paddle を頼んだ。こんな木のトレイというかコンテナに入っていてちょっとかわいい。

それにしても、酸味のあるビール、フルーティーなビール、どっしりとしたビール、シャッキリとしたビール…本当に、クラフトビールは楽しい。

その時の気分、天候、気温…そんな状況に合わせてビールを頼めるのは嬉しいものだ。

ここを出たときはもうとっぷり日が暮れていて、次に行こうと思っていたブリュワリーはちょうど閉まったところだった。

行ったのが平日だったので、やはり閉店時間も少し早めで夜8時というブリュワリーが多かった。残念、でもまた来よう!

もう街灯くらいしか点いていない、かなり暗い道を歩いて、それでも5分ほど歩いただけで電車の駅に着き、あっという間に街に戻れた。

クラフトブリュワリー巡り、シドニーの「観光地」としてはまだまだ知られていないと思うけど、ディープでローカルなエリアを訪れてみたい、そしてビールが大好き!という人には全力でおすすめしたい。

乾杯!


同行した友人がStand FM を収録していたので、よろしければどうぞ。ガヤガヤした雰囲気、実際飛行機が上空を飛んでいる音などが伝わってくると思います。


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