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私には帰る場所がちゃんとあるから




卒論ラストスパート


日曜に出した私的最終添削は、先生から「ほとんど完成です. あとは用語の統一を. 」と書いて返ってきた。

本気を出せば月曜にはもう終わりそうな雰囲気だったけれど、いや、卒論のために彼との週1デートをキャンセルするなんて悔しいのでいつも通りデートして、

火曜日。のーんびりと進めていたら、あれ?終わんねえ。
一度こだわりはじめると、用語の統一が気になったり、ここもっと文献引用した方がいいんじゃないかとか、この文章しっくりこねえな〜〜!とか思ったりして、時間がかかって。なんとか21:59に(ほんとうに最後の)最終添削にまわしたけれど、そのあとも修正履歴が重なっているがゆえにpdfにしたのを読み返した途端に誤字脱字を見つけたりなどして、ちょくちょく修正して、就寝準備を含めて2:00頃、やっと寝れるぞ!と思ったのも束の間。

ハッ!! 明日(いや、もう今日)のクリスマスプレゼント、準備してない!となって、作業続行。

毎年、その年のゼミ最終日はクリスマス会と決まっていて、そこではプレゼント交換(1000円以内)が行われる。私は毎年、おすすめの文庫本にオリジナルの帯をつけて、プレゼントすることにしているので、帯を書かなければならなかったのだ。

ちなみに贈った本は 宮下奈都さんの『太陽のパスタ、豆のスープ』。
包装に使用したのはこちら↓ 。


こうしてなんだかんだ寝たのは3:00で、起きたのは8:00。

起きて少ししたら先生からの最終の最終添削が来ていて、そのあと1~2回修正して提出した。最後の最後までギリギリで、焦るばかりの卒論だったけれど、終わってみればそのわちゃわちゃ感が楽しかった気もしてくる。記憶の捏造って、コワイ。もう、二度とやりたくないけど。



ゼミのクリスマス会 & 忘年会


卒論提出日はゼミの日だった。

13:00に締切で、13:00からゼミのクリスマス会。その後はフリータイム。

まずは他ゼミの友達と顔を合わせて「卒論お疲れ〜!」とおしゃべりして、卒論お疲れ様会やろうね〜!と約束して。自主制作の卒業文集に誘われてその説明を受けたりなどした。

ゼミの部屋に戻ってからは、クリスマス会でイントロドンをやった影響で嵐トークに花を咲かせ、卒業旅行どこ行こう?、普段スキンケアとかメイクとかなに使ってる?、とか話したり。セブイレの1つ160円の肉まんをはんぶんこしたり。

そんな感じでみんなでおしゃべりしながら17:45まで待機して、18:00から大学近くにあるお馴染みの居酒屋さんで飲み会。今回は参加人数15人(全員で24人?。相変わらず参加率高くて、嬉しかった)。


シャンディガフ、レモンサワー、シャングリア(白)、日本酒(にごり)、梅酒、日本酒。


たっくさん恋バナできて、たくさん飲んで、満足。


23:00頃まで飲んでいたけれど、名残惜しくて「二次会、カラオケ行こー!行く人ー!」と誘って(すでに酔っぱらい全開)、私入れて7人で30分カラオケ。私は酔いで舌が定まらない中で『唱』を、30分延長後に『踊』を歌って、最後にみんなで『君が代』を歌って、お開き。

帰ってしまった友人から聞いた話だけど、「帰宅組はカラオケ楽しそうやな〜って恨み節してた」らしい。先輩である私の提案だからと気を遣って無理に参加することもなく、参加するとなれば嫌々ではなく前向きに参加したいと思ってもらえているということなのかな。そうなのだときたら、ほんとうにメンバーに恵まれたゼミだなぁ。

いつの間にか終電が消えていて、家族LINEに「(ゼミの友人)が泊めてくれるって」と連絡すると、かつてないほどすんなりとOKが出て、急遽、人生初イベ・ ”友達のお家でお泊まり” が決定した。

セブイレ寄ってお買い物して、最低限メイクだけ落として、私が寝る分の布団を一緒に敷いたあと、友人がお茶を淹れてくれた。結局、3:00までお風呂にも入らずにおしゃべりしていた。

翌朝も9:30頃に起きてから昼までお茶1杯でしゃべり散らかした。


「楽しかった。ほんとうにありがとう!お邪魔しました!」と言った私に、彼女は「またおいで〜」と言ってくれた。




就職先の飲み会


ゼミの飲み会の翌夜は就職先の飲み会だった。

12月に入ってすぐ、以前内定式後の同期飲み会の日に唯一話した女の子が「今度、関西組の数人で飲み会やるんだけど、よかったら来ない?」と誘ってくれたので「その日なら卒論も終わっているから」と参加することにした。

その子は少し計算高さが垣間見えるものの、いい子そうではあって大人しそうな子だったから、そんな変な会にはならないだろう、と思っていた。

のだけれど、招待されたLINEグループの様子や、幹事とのやりとりを経て "チャラいな" と思い「これっていわゆる合コンってやつかも…(男女比の偏りは異常)」と気づいた頃(招待された数分後)にはあっという間にキャンセルができない状態にされていた。

(行きたくない行きたくないこわいこわい…)と怯えて、彼や友人に泣き言をいっては「なんかあったら連絡くれたら迎えに行くから」「まあLINE上ではイキってるだけで実は良い人たちかもしれないじゃん…(?)」と励ましを受けることを何度か繰り返して当日を迎えた。


当日は、女子が私を含め6人のなか、全員で学生証シャッフルをしたら、他の5人が固まって私1人だけ長テーブルに女子1人という布陣になることからスタートした。


入ってすぐ、(ア、皆様お知り合いですか、すっかり仲良くなってしまわれてイル…)と察した私の勘は当たっていて、すでにグループができていた。ハブられたパターンと、ほんとうに偶然こうなった結果、男漁りに来ている女子たちから反感を買うパターンがどっちなんだろう…(前例あり)と最悪のシナリオの想定が完了した。過去、同じコミュニティの陽キャたちからは漏れなく反感を買ってきたという経歴を持つ私はここから最低でも2時間、警戒体制Maxで生きることが確定した。

テーブル周りの男性陣の中に同じ大学の人を見つけて話が盛り上がりかけたタイミングで「あ、席変えるね!」と女子6人で女子会する座席に変更になって(いや、それはそれでコワイ…)だった。

こういう時に限って謎にじゃんけんに勝ってしまって自己紹介1番乗りになった私の苦労を考えてほしい。何を言ったか覚えていないのだけれど、向かいに座っていた女の子も他大ではあるが心理学部だと知って「(心理学)一緒だね!」と言うと、「私は〇〇大だけどね」と謎の学歴マウントを取られるところからスタートしたのだ。こういうときに、スンッ て使うんだな、と思った。

私はあの時「あー、うん知ってる笑、田辺だよねー?毎日通学大変でしょ?偉いね〜」と返すべきだった。

と、母に言われた。


そこからの女子会は地獄だった。

私のことを誘ってくれたこの会唯一の知り合いは、この会イチのビッチであることが判明した。

遅れて登場、服はガッツリ肩の開いたオフショル(このあとどんどん開き具合を自分で広げていく)、ネイルが割れたらしい指に包帯ぐるぐる巻きで注目を集め、包帯を自分で巻いたと説明することで自分が看護学部であることをアピールし、あっという間に発言権を手に入れ、この会の中心人物と成る様子は鮮やかすぎて、最早お見事!あっぱれ!だった。

しかもこの子のタダ者じゃなさはこれだけでは収まらない。男ウケだけではなく、女ウケにも秀でていて、こんな末端な私のことさえも無碍にせず、話しかけてくれたり、声の大きさが通常の3割くらいになっている私の拡声器になって話を広げてくれたりするのだ。もしかしたら、あまりにノレておらず見た目も彼女らほど垢抜けていない私に安心していただけかもしれないけれど。

他の女子たちの高度な計算による会話、なにも面白くないところでゲラゲラと笑い転げるノリに頭を通常の5倍速でフル回転させてもついていけず、30分で疲れて半泣きになった。

おかげでその後、私のことを初LINEから下の名前にちゃん付けで呼んできた幹事(男)から何度も「(輪の中に)入れてる?」「もっと真ん中の方おいでよ」「まだ本気出してないでしょ(すでに生ビール5杯目)」と言われる羽目になった。

その後の会は。

イッキ(飲み)&コール有り、座ってる私の後ろ通過する幹事(彼女持ち)からお尻を触られる、共通のSNSがインスタじゃなくてBeRealで通知が来た瞬間に「BeReal撮りたい人!!」と募られ、何人分ものBeRealに映ることが強制される、喫煙者多による煙の匂い、アルハラのオンパレード。

2次会との間に30分のカラオケを挟み、そこは「世代の曲(≠最近の曲)」というテーマに沿って、睡蓮花・さくらんぼ・小さな恋の歌・勝って泣こうゼッ!・新宝島 が選曲されるも、マイクを持つ人とそれをかき消す叫び声、歌詞にない謎のコール(当たり前のようにみんな歌う)により、採点に認識されずに70点台を連発するという空間で。2軒目に移動するために外に出れば、女子から「さっき歌ってた曲、わかった?」と謎のマウントが取られた。

2軒目でようやく恋バナがはじまったものの、それによって判明したことはこの場にいるほとんどの人には彼氏彼女がいること、それにも関わらず彼女ではない子に「桁違いにかわいいよね」「俺と付き合お?」「俺とえっちなことしよ?」とかキモいこと言う男と、それに対してまんざらでもない顔で「えーまた今度ねー」とあしらえたり、「酔っちゃったぁ〜」とくっつくことができたり、タバコ吸う男のタバコ火をつけたりすることができるような女が集まっているということだけだった。


その後、22:30頃に私とは反対方向の帰り道の子が終バスなくなるから帰る!と言い出したので便乗して私も帰らせていただいて、なんとかこの時間を終わらせた。

なかなかに、KHAOS な4時間だった。


あとがき


帰り道で、彼と、家に泊めてくれたゼミの友人と、1回生の時から仲が良くてゼミも同じ大学の友人に、遭遇した出来事について報告した。

だけどなんだか、あまり愚痴っぽくも泣き言っぽくもならなかった。

「楽しかった?」と聞かれたけれど、楽しいとかつまらないとかの次元になくて、私にとっては完全なる異文化交流だったのだ。


ヤバい面ばかりをあげつらってしまったけれど、セクハラアルハラ喫煙幹事を除いて個々人は悪い人ではなかったと思う。

端っこの方で明らかに浮いていたであろう私に下心なく普通に声をかけてくれる男の子もいたし、2次会で6杯目を迎えても酔う気配のない私の様子を見た幹事に渡されて一口飲んだ赤ワインのグラス(薄くて不味いやつ)をひょいっと取り上げて自分の水と交換して「このワイン、不味いな。こっち飲んどきな。」と言ってくれるような男の子もいた。私と同じように知り合いがほとんどいなくて「立ち回り、むずかしいよね」と笑いかけてくれる子もいた。

なにより、陽キャたちのひとりひとりの名前を覚えようとする姿勢とか、その場の雰囲気を悪くしないようにノリや笑いとして消化できるようにという気配りの元に発せられるリアクションだったりは、すごいなぁと素直に感心した。

そうやって、集団を見たときの評価をすべてにしてしまわずに、ひとりひとりを見て判断できるようになったんだ、と自覚したとき、
ああ、私、大人になったんだね、と思った。

中高時代に、パリピ陽キャな一軍と接するときはいつだって怯えていた。これ以上、嫌われないように、と必死だったし、ああいう場がもし当時あったのなら、ノリについていかないと、と空回っていただろうと思う。


だけど今回、そういうことがなかった。

残念ながら怯える心は完全には消えてくれやしないし、趣味がスポーツな人が続く自己紹介で、「趣味は読書」と言ってもさらにノリ悪い扱いされそうだな、と思って「水泳とカラオケです」と答えるという小細工?はした(嘘ではない)けれど、

無理にノリに合わせたり、似合わないことをやろうとしたり、嫌われないようにと必要以上に自分を押し殺したりはせずにいられた。


自分の話なんて誰も求めていない。
相手にされていない。


これまでならその状況は苦しいものだったけれど、今回は自然とそれを認めることができた。


だって、私の大切なものは何ひとつ、そこにない。


あの子たちのように、チヤホヤされること、撮影の角度を気にして不特定多数の人に少しでも自分をかわいく見せること、マウントを取って少しでも自分を良く見せようとすること、ひとりでも多くの男と遊ぶこと対して価値を感じられない。

私は、たったひとりの愛する人の大切な人になって、その人からさえかわいいと思ってもらえたらそれでいい。マウントを取るのはダサいと思っているし、男遊びなんてもっとダサいし、それを自分がやることを想像すると気持ち悪くて吐き気がする。

私はチヤホヤされたい側の世界で戦うことはきっとないし、向こうも真面目な恋をする側の世界で戦うことはきっと、ないのだろう。

ぜんぜん、住んでいる世界線がちがうのだ。


彼氏/彼女いる? という質問を、そのテーブルで最後に振られた私は いるよ〜 と答え、続くお馴染みの質問に「(彼の付き合って)5年目」「高校の同級生」と淡々と答えた。

え、ずっと同じ人と?5年も?
途中で他にいい人みつけて目移りとかしなかったの?

と聞かれて、迷わず「うん、なかったね」と答えると、次々と「きれい(な恋)だわ」「純愛だ」「国宝だ」と返ってきた。


という話を彼にすると、純愛だよ。 と答えたのちに、「だけどそれ多分、『遊び知らないの?(嘲笑)』っていうマウントだよ」と言った。

真意は別として、その可能性を全く考慮せずに私はその場で照れていた。

世界線がちがうと、マウントを取られている可能性に気づかないくらい、こんなにも綺麗に話が噛み合わないんだなと、もはや愉快で、案外仲良くなれそうじゃん、と思ってしまった(謎)。


いずれにせよ、私にはもう、自然体の私を受け入れてくれる場所がある。

私の誘いに乗ってくれる人がいて、またおいで、と言ってくれる人がいて、私を愛してくれる人がいる。


だからもう、大丈夫、
きっと私はどこででもやっていける。


それもこれも、大学で出会った素敵な友人たちと、5年間隣にいてくれている彼のおかげだ。私がお酒を飲んで酔えるのは、ゼミの飲み会と彼との飲みだけ。いくら飲んでも酔えない場があるってこと、酔えるかどうかはその空間に安心できているかどうかに左右されるってこと、初めて知った。


彼、ゼミのみんな、大学の友人たち、
私を強くしてくれて、ありがとう。

私の心に帰る場所をくれて、ありがとう。

君たちがいると思ったら、生きていける。








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