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法隆寺から未来の月へ
その日、ウサギとカメは薄暗い「建築倉庫ミュージアム」の中で、建物の模型を見つめていた。精巧な模型は芸術作品のように、棚の上で肩を寄せ合っていた。
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公式ホームページより
「見て、中目黒のスタバがあるわ。下北のボーナストラックも。建物の形なんてすっかり忘れていたけど、こんな感じだったのね」と、ウサギが小さく声上げた。
建築倉庫を一通り見て回った後、「法隆寺から宇宙まで」という展覧会の会場へと足を向けた。そこで最初に目に飛び込んできたのは、法隆寺五重塔の精緻な構造模型だった。
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「法隆寺五重塔は7世紀に建てられ、世界最古の木造建築と言われているんだ。1300年の時を超えた構造だと思って眺めると、その凄さがわかるね」と、カメが静かにいった。
「飛鳥時代から建っているなんて驚きだわ。木製は脆いイメージなのにね」と、ウサギ小さく声を上げた。
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「これまで構造なんて考えたことはなかったけれど、こうして見ているとその重要さがよくわかるわ」ウサギはそう言いいながら、周りの模型を見渡した。
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「それにしても…不思議な形のものもあるのね。これ、一体どうやって住むのかしら」
彼女は首をかしげながら、興味深そうに模型を指さした。
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「見て、月に住むためのものもあるわよ!ちゃんと準備されてるのね」と、彼女は目を輝かせながら模型に駆け寄った。
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「人間が月に滞在するためには、たくさんの工夫が必要だよね。続きは図書館の分類番号538.95の宇宙ステーションの書架で調べてみようよ」とカメが提案した。
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静かな夜の街を歩きながら、ウサギはふと立ち止まり、輝く星を見上げた。「いつか月に住める日が来たら、どんなに素敵だろうな」
星々は微笑むように煌めき、彼女の小さな夢を包み込みながら、静かに夜空に広がっていた。
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