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【旅話】100のネタを持とう

夜は更けていき、もう既に22時半。
24時間歩行に挑戦し始めて五時間が経ち、もうそろそろ疲れがたまってくる。

友達から「一緒にやろう」と誘われ何となく始めた文章投稿。気が付けばもう二年が経過している。
最近、「noteを続けている理由って何だろう。」と、ふとした瞬間に疑問に思うことがある。

文章を書くのは好きだ。好きだが、文章を量産するのは難しいし、正直めんどい。質の悪い文章は投稿したくないという想いがあって、面白いアイデアが浮かんでも、上手く言語化できないようなら諦めることもしばしばある。見栄やら虚勢やらがじゃまをして想い全開の記事もなかなか書けない。

noteを通して世界が広がったか、と言われればそれもあまりない。noteを始めた当初は「色んな世界に出会いたくて始めました!」と言っていた。が、今思えばフォローしている人を選んでいるあたり、あまり世界探検に意欲的ではないのかもしれない。現実世界でも元々友達は多い方だけど大抵はよっ友、深い親交を交わしている奴なんて5人しかいない。現実世界でこれなら、note界であまり親交が増えないのも仕方がないような気がする。

文章力も大して変化なし。昔も今もやたら論理を大事にしている割には、肝心なところで詰めが甘いところが変わっていない。「甘めのコーヒーを一杯@大学生」ならぬ「甘めの論理を一枚@カス」に改名した方が良いのかもしれない。

継続力については聞かないでほしい。

このように、およそnoteを通して成長したことなど頑として無い。「何で続けてんの?」と聞かれても返答に困るし、「noteが無くても生きていける?」と聞かれれば間違いなくyesというだろう。

改めて、自分に問う。僕がnoteを続けている理由は何か。



「……なあ。」
ふと友達が声をかけてきた。

今は24時間歩行の途中。僕と友達は山の中を歩いている。
僕は考え事を止めて、友達の方を向いた。

「どうしたん?」
「いやさ、俺今気になっている人がいるんやけど」
「ほう!」
「二人きりになったときに何話せば良いのか分からんのよね」

友達ながら、コイツはなかなか可愛い悩みを持っている。僕はにまにましながら思った。そしてこうとも思った。
「なんで恋愛弱者の俺に聞く」

友達は僕の考えを読み取ったのかこう付け加えた。
「いや、お前めっちゃ話題の数が豊富やん」

なるほど、確かに僕は自分の話題数には自信を持っている。が、正直言って「話題の多さ」が恋愛に良い影響を与えたことは数えるほど少ない。僕は友人を諭した。
「お前の良いところは、人の話をちゃんと聞くところだ」と。

経験則から言えることだが、基本的に女子が求めているのは「自分の話を楽しそうに聞いてくれる人」だと思う。面白いことを言える男やそれなりに話題を提供できる男も重宝はされるが、「(恋人として)一緒にいたい」と思われることは少ないのではないだろうか。というか、面白いことを言える奴なんてこの世にざらにいる。ブルーオーシャンで戦わないといけなくなるので、競合がどうしても多くなるのである。

一方で希少価値が認められるのは、「人の話を楽しく聞ける人」だ。この場合のミソは「楽しく聞ける」。あたかも楽しそうに聞こうとしている人はたくさんいるけども、そういう奴は大体バレる。細かい仕草や相槌の仕方、顔の表情まで全部見られているのだ。ソースは俺。男と話す時(男かい)、「おい、そんなに眠そうな顔で俺の話聞くなよ」とよく拗ねられる。

その点、僕の相方はスゴイ。マジでずっと楽しそうに聞いてくれる。しかも時々挟む相槌が、絶妙に上手いのである。天性の聞き上手。君は小手先のテクニックを磨くよりも、自分の長所を伸ばした方が良い。

こんなところをだらだらと友達に言った。友達は曖昧な笑顔で「そんなことないよ」と言う。「そんなことあるのだ。分かんないかなあ」と僕は大いに嘆いた。

友人はため息をついてこう言った。
「そもそもお前、モテないじゃん。女心分かんないじゃん」
僕は傷ついた。「モテないというか……自分から告白しないだけなのだ」とよっぽど言おうと思ったが、「そういう待ちの姿勢がモテないんだよ」と言われそうなので黙った。

友人は続けた。
「それに……、俺はずっと話が溢れてくる奴に憧れているんだ」

確かに話題を出さないことには女子も話ししにくいだろう。男女限らず、先陣切って話題を提供できる人物がいないと、「話を楽しく聞ける」という長所も生かせないかもしれない。しかも「面白い話が出来る」というのが別に悪いのではなく、寧ろ二刀流で生かせたら強力な武器になるかもしれない。

そう思った僕は、友人に一つ提案した。
「話のネタを100個持てばいいんじゃない?」

100個も話のネタがあれば上出来だ。それだけ話の引き出しが多ければ、大抵の人には対応が出来る。しかも原型となるネタがあるだけでも、そこからどんどん派生して話を広げることが出来るのだ。ここで「人の話を聞く能力」も合わされば、えげつない相乗効果を発揮する。人の話を盗んで自分なりに消化し、さらに自分の宝庫を磨くことが出来るのである。

テンションが上がる私。友人に言った。
「じゃあ、今から100個ネタ言ってみて」

友人「えっと……。(以後沈黙が続く)」




さて、ここで冒頭である。
何故、私はnoteを続けるのか。

それはたぶん、自分の話で人を楽しませるためだ。
僕は日頃思ったことや考えたことをnoteに書く。中には言語化できない物もあるし、書くのが面倒な時もある。そういう場合もメモだけはする。

これは、僕の考えや経験を無駄にしないやり方だ。

強烈な印象を伴って生まれ変わった思い出は、僕の話題の糧にもなるし人生の糧にもなる。読む者を楽しませ、人を楽しませ、そして僕をも楽しませる。だから僕は、noteのそういう時間がたまらなく好きなのかもしれない。

人間、100のネタを持っていれば何とかやっていける。

そして、100のネタを作るにはnoteがオススメである。



……。
さて、沈黙した友人を他所に、時間は間もなく夜12時を超える。
24時間歩行もまだまだ終わらない。


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