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【小説】パパ活狩り

 ミサコのケツにほくろなんてあったんだな、と思っていると
「おい、誰が手を下げていいって言ったよ」
 そう怒鳴られた。
 ケントは再び両手を床と水平の位置に上げた。両肩が熱を持って震えている。正座に組んだ両足はすでに感覚を失っている。おそらく立ち上がれないだろう。
 ベッドに腰かけた男は煙草を吸いながらケント達の免許証などを改めていたが「下手くそ、歯を立てるんじゃねぇ」とミサコの頭を叩いた。後ろ姿しか見えないが泣いているのがわかる。しかし、どうにも出来ない。
 隣で顔面を腫らせたマサヤスが嗚咽を漏らし始めた。泣きたくなる気持ちもわかるが泣いたって仕方ない。それにこの状況だと先に泣いた奴が勝ちだと思った。何の勝敗か分からないが、とにかくケントはそう思った。

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