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#読書感想文

コメディでホラーでリアルな現実…:読書録「養父母の介護」

コメディでホラーでリアルな現実…:読書録「養父母の介護」

・養父母の介護
著者:村井理子
出版:新潮新書

翻訳家で滋賀在住の村井さんによる介護報告エッセイ(?)。
村井さんのことは「滋賀でゴールデンリトリバーを飼ってる翻訳家」として知っててw、犬関係の著作を読んだことがあります。
村井さんは日記のようなものを連載されているので、そこから介護関係の記載をピックアップした感じでしょうかね。

義母の認知症が八年前に始まり、義父も五年前に脳梗塞で倒れた。 結

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「信念のある政治家」ってのも、それはそれで…:読書録「笑うマトリョーシカ」

「信念のある政治家」ってのも、それはそれで…:読書録「笑うマトリョーシカ」

・笑うマトリョーシカ
著者:早見和真 ナレーター:蒼木智大
出版:文藝春秋(audible 版)

テレビドラマ化されていますね。
そっちの方は見てなかったんですが、併せてオーディオブックにaudibleになったので、聞いてみることにしました。
かなり面白かったです。

サマリー
若き総理候補が誰かの操り人形だったら? 人の心の闇に迫るミステリー
有望な若き代議士の周りには彼を操ろうとしている人た

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コレ、主人公、倉島じゃないやん:読書録「暁光の街」

コレ、主人公、倉島じゃないやん:読書録「暁光の街」

・暁光の街 公安外事・倉島警部補
著者:今野敏 ナレーター:浅木俊之
出版:文藝春秋(audible 版)

今野敏作品は「隠蔽捜査」シリーズをメインで追っかけながら、気が向いたら他の作品・シリーズも…って感じのお付き合いです。
しかし作品、多いですからねぇ。
で、audible でもフォローしようかな、とチョイスしたのがこのシリーズです。
公安外事・倉島警部補シリーズ。
…でもこの第一作の主人公

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思い入れがそこまでない分、大胆に訳すことが出来たのかな:いま読む『源氏物語』

思い入れがそこまでない分、大胆に訳すことが出来たのかな:いま読む『源氏物語』

・いま読む『源氏物語』
著者:角田光代、山本淳子
出版:河出新書

大河ドラマ「光る君へ」の便乗って言うところはあるんでしょうけど、そもそもの対談自体は、角田光代さんが源氏物語を翻訳し終えてというのを契機としているようですね。
翻訳に当たって、角田光代さんが山本淳子さんの著作を参考にされていると言うのもあるようです

一番驚いたのは「源氏物語」を角田光代さんが翻訳したのは、角田光代さんの希望ではな

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予想してたより、ずっと面白かったです:読書録「東京都同情塔」

予想してたより、ずっと面白かったです:読書録「東京都同情塔」

・東京都同情塔
著者:九段理江 ナレーター:白妙あゆみ
出版:新潮社(audible 版)

この作品が芥川賞を取った時、文章を生成AIで書いているっていうのが評判になったんですよね。
「それは面白そうだなぁ」
と思って読んでみようと思ったんですけど、著者のインタビューなんか読むと、作品の中で生成AIが回答をしている部分を、実際の生成AIの回答を使ったと言うだけだったんですよね。
それじゃあんまり

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ヒロインが間抜けすぎw:読書録「破斬 勘定吟味役異聞(一)」

ヒロインが間抜けすぎw:読書録「破斬 勘定吟味役異聞(一)」

・破斬 勘定吟味役異聞(一)
著者:上田秀人 ナレーター:茶川亜郎
出版:光文社文庫(audible 版)

上田秀人さんが初期から描き続けておられる「水城聡四郎」シリーズ第1作。
長いんで手を出しかねていたんですが、audibleで順次刊行…となったようなので、手を出してみることにしました。
時代は徳川家宣の時代。
柳沢吉保は隠居しているがまだ力を持っており、新井白石は盤石な権力をまだ握りきれて

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いや、書きませんよ。小説w。:読書録「読んだら最後、 小説を書かないではいられなくなる本」

いや、書きませんよ。小説w。:読書録「読んだら最後、 小説を書かないではいられなくなる本」

・読んだら最後、 小説を書かないではいられなくなる本
著者:太田忠司
出版:星海社新書(Kindle版)

「小説を書きたいなぁ」
と思ってたのは、大学2年くらいまでですかねぇ。
社会人になってからも、アイディア的なものが過ったりはしましたけど、のめり込みはしなかったです。
今は「全然その気はない」ってところ。
いや、「書きたいもの」がないし、何より「面倒くさい」。
「書く楽しみ」よりも他のことが

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不愉快になったり、暗い気持ちになったり…w:読書録「DD(どっちもどっち)論」

不愉快になったり、暗い気持ちになったり…w:読書録「DD(どっちもどっち)論」

・DD(どっちもどっち)論 「解決できない問題」には理由がある
著者:橘玲
出版:集英社

橘玲さんの新作。
相変わらず橘さんの主張は、「一般常識」とは少しズレてるところがあって(もちろん意図的に、なんだけど)、読んでてハッとしたり、イライラしたり、不愉快になったり、暗い気持ちになったり…
なんだけど、「慣れてきた」ってのもあるかなw。
「まあ、そう言われりゃそうだよね」
ってな感じになるところが

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「友情」の物語やったんやね:再読「ストーンサークルの殺人」

「友情」の物語やったんやね:再読「ストーンサークルの殺人」

・ストーンサークルの殺人
著者:M.W.クレイヴン 訳:東野さやか
ナレーター:藤井剛
出版:早川書房(audible版)

「ボタニストの殺人」を読み終え、
「やっぱこのシリーズ面白いわ」
と改めて感心した後に、もう一度ポーとブラッドショーの出会いを確認したくなって再読。
今回はオーディオブック(audible)ですけどね。

イギリス、カンブリア州のストーンサークルで次々と焼死体が発見された。

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時代に合わせてアップデートしないと:読書録「『叱れば人は育つ』は幻想」

時代に合わせてアップデートしないと:読書録「『叱れば人は育つ』は幻想」

・「叱れば人は育つ」は幻想
著者: 村中直人
出版:PHP新書(Kindle版)

ちょっとマネジメントに関して、自分の知識を確認をしたいことがあって、目についた本書を購入しました
よく言われるのは
「怒るではなくて、叱るがマネジメントにおいては必要」
と言う考え方ですけど、本書はその「叱る」についてもネガティブな評価を下している内容になります。
まぁ、現場で考えると、結構「定義」の違いってところ

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どんどん長くなるけど、どんどん面白くなっている:読書録「ボタニストの殺人」

どんどん長くなるけど、どんどん面白くなっている:読書録「ボタニストの殺人」

・ボタニストの殺人<上・下>
著者:M・W・クレイヴン 訳:東野さやか
出版:ハヤカワ・ミステリ文庫(Kindle版)

「ワシントン・ポー」シリーズ第5作。
ついに上下巻になってしまいましたw。
しかし全く飽きない!
これまた一気読みでした。

押し花を受け取った著名人が連続で殺される事件が起きた。
捜査に挑むポーだったが、 彼の同僚の病理学者エステル・ドイルが父親の殺人容疑で
逮捕されてしまう

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過激な少数意見の声が実態以上に大きくなるが、使いようもある:読書録「「ネット世論」の社会学」

過激な少数意見の声が実態以上に大きくなるが、使いようもある:読書録「「ネット世論」の社会学」

・「ネット世論」の社会学 データ分析が解き明かす「偏り」の正体
著者:谷原つかさ
出版:NHK出版新書(Kindle版)

ネットでは少数の意見が過剰に大きく広がってしまうために、実際の世論との乖離が大きくなってしまう
…と言うのは、少し前から言われるようになっていて、実感もしてたんですけど、最新の状況について確認をしたくて読んでみた本です。
直接のきっかけは、都知事選での石丸候補の健闘にあります

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どんでん返しはあるけど、ミステリーともまた違う感じ:読書録「最後の証人」

どんでん返しはあるけど、ミステリーともまた違う感じ:読書録「最後の証人」

・最後の証人
著者:柚月裕子 ナレーター:星祐樹
出版:角川文庫(audible版)

会社の同期からのオススメ。
ようやく読む(聴く)ことができました。(名倉さん、ありがとうございます)
面白かったです!

サマリー(audibleより)
検事を辞して弁護士に転身した佐方貞人のもとに殺人事件の弁護依頼が舞い込む。 ホテルの密室で男女の痴情のもつれが引き起こした刺殺事件。現場の状況証拠などから被告

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そういう方向性が出て来たら、日本社会の停滞感も変わってくるかも:読書録「クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ」

そういう方向性が出て来たら、日本社会の停滞感も変わってくるかも:読書録「クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ」

・クリティカル・ビジネス・パラダイム:社会運動とビジネスの交わるところ
著者:山口周 ナレーター:小桧山崇
出版:プレジデント社(audible 版)

山口周さんの新作。
Kindleで買おうかな〜と思ってたら、audibleでオーディオブックになってたので、こちらで聴いてみました。
まあ、犬の散歩のついでに聴くのに向いてる本じゃなかったですけどねw。

サマリー(audibleより)
私は、本

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