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バイオインフォマティクスまとめ

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書記のBio/Chem-Info日誌#20 深層学習を用いた分子記述子による薬理活性の推定(PyTorchによる実装)

書記のBio/Chem-Info日誌#20 深層学習を用いた分子記述子による薬理活性の推定(PyTorchによる実装)

今回は深層学習を用いた分子記述子による薬理活性の推定を,PyTorchによる実装で示していく。

問題「CHEMBL203」に含まれる化合物について,EGFR kinaseに対する阻害活性の有無を,pIC50により評価したい。化合物を示すデータとしては,分子記述子を使用する。

データの前提条件データはKNIMEのTeachOpenCADDにある「W2_filtered_compounds.csv

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書記のBio/Chem-Info日誌#19 STRINGによるタンパク質間相互作用(PPIs)の検索

書記のBio/Chem-Info日誌#19 STRINGによるタンパク質間相互作用(PPIs)の検索

単一のタンパク質からネットワークを作る例として,ヒトのエストロゲン受容体(ESR1,UniP-ID: P03372)を扱ってみる。

検索するといくつか候補が出てくるので,目当てのものを選択する。

デフォルトのネットワークがこちらである。丸がタンパク質で,相互作用の関係が線で結ばれている。

下にはネットワークの情報が書かれている。

更に下には,エンリッチメント解析の概要が書かれている。中でも

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書記のBio/Chem-Info日誌#18 化合物の味覚を機械学習で予測するツール

書記のBio/Chem-Info日誌#18 化合物の味覚を機械学習で予測するツール

今回は,化合物の味覚を機械学習で予測するツールについていくつか紹介する。

創薬 (dry) Advent Calendar 2021参加記事

味覚とは何かまずは味覚の概要について,以下レビュー論文より,ポイントを解説する。

・味覚を感知する解剖学的な単位は味覚受容体細胞(TRC)であり,舌や口蓋上皮の様々な乳頭に分布する味蕾に集められる

・味蕾に存在するTRCには,形態的に異なる3つのサブ

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書記のBio/Chem-Info日誌#17 AutoDock Vinaで分子ドッキングをする

書記のBio/Chem-Info日誌#17 AutoDock Vinaで分子ドッキングをする

AutoDock Vinaで分子ドッキングをする方法にはいろいろあるが,細かいことを気にしないならUCSF Chimeraと組み合わせるのが楽でいいと思う。

前回の続き:

準備AutoDock Vinaは以下よりダウンロードできる。

https://vina.scripps.edu/downloads/

ダウンロードすると,「autodock_vina_1_1_2_mac_catalina

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書記のBio/Chem-Info日誌#16 UCSF Chimeraでリガンド結合部位を観察する

書記のBio/Chem-Info日誌#16 UCSF Chimeraでリガンド結合部位を観察する

UCSF Chimeraを用いることで,立体構造を可視化することができる。

準備以下よりダウンロード:

今回は,β2受容体である「3SN6」の構造を用いる。PDBファイルをダウンロードしておく。

UCSF Chimeraで開いたものがこちら。

操作には,3ボタンマウスを用いると便利である。以下に操作方法をまとめた,まずはこれらに慣れておきたい。

分子の回転:左クリック + ドラッグ

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書記のBio/Chem-Info日誌#15 タンパク質構造予測のコンピュータゲームFolditで遊ぶ

書記のBio/Chem-Info日誌#15 タンパク質構造予測のコンピュータゲームFolditで遊ぶ

タンパク質の折りたたみ(Folding)をゲームで体感することができる。実際に,コンピュータがうまく解決できない問題をプレイヤーが解いた事例もあるそうだ。

チュートリアル初期状態,これは2つの残基が衝突していることを示している。

左の残基を動かしてみると衝突が除かれ,スコアが上がりクリアとなった。

活用事例・低温電子顕微鏡(cryo-EM)専門家とFolditプレイヤーとの協力

・M-PM

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書記のBio/Chem-Info日誌#14 プライマー設計をする(Primer3Plus,Primer-BLAST)

書記のBio/Chem-Info日誌#14 プライマー設計をする(Primer3Plus,Primer-BLAST)

今回は操作に慣れる目的で記事を作成した。結果は変かもしれないが特定の事項について調べるわけではないので気にしないことにする。

使う配列ヒトp53の配列を用いる。

Primer3

メイン画面はこんな感じ。ここでは600番目の塩基周辺からプライマーを設計する。

ざっと設定をして「Pick Primers」をクリック。

提案されたものがこちら。

他にも複数の候補がある。

「Primer3M

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書記のBio/Chem-Info日誌#13 マルチプルアラインメント(Clustal Omega,JalView,MEGA)

書記のBio/Chem-Info日誌#13 マルチプルアラインメント(Clustal Omega,JalView,MEGA)

以前やったことを,別のウェブツールを用いてやってみる。

今回の元データUniplotで「trpv1」と検索し,上位6つの生物種の配列を取得し,結合したものをfastaファイルとした。

Clustal Omega

入力配列を指定し,fastaファイルを貼り付けるだけである。

結果がこちらである:

系統樹も作成される。

相関マトリックスについて。

JalViewでの可視化以下サイトからダ

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書記のBio/Chem-Info日誌#12 パスウェイのデータベースを閲覧する(Reactome,KEGG PATHWAY)

書記のBio/Chem-Info日誌#12 パスウェイのデータベースを閲覧する(Reactome,KEGG PATHWAY)

Reactome

Reactomeは,ヒトをはじめとしたパスウェイのデータベースである。

Pathway Browserを開く。

ここではTRPV1に関するシグナルを見てみる。

青い四角をクリックすると,受容体の情報が列挙される。

白の丸と四角は,受容体によりカルシウムイオンが透過する関係を示している。

白い矢印の元を辿ると,RIPK1やRIPK3などがシグナル制御に関与していること

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書記のBio/Chem-Info日誌#11 SWISS-MODELでホモロジーモデリングを行う

書記のBio/Chem-Info日誌#11 SWISS-MODELでホモロジーモデリングを行う

アミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測する方法として,類似した構造をテンプレートとして構築するホモロジーモデリングが挙げられる。最近では,無料のホモロジーモデリングのツールも登場している。

今回は,SWISS-MODELを用いたホモロジーモデリングを行う。

参考:

事例Homology models of mouse and rat estrogen receptor-α ligand-

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書記のBio/Chem-Info日誌#10 Molinspirationで分子特性と生理活性を調べる

書記のBio/Chem-Info日誌#10 Molinspirationで分子特性と生理活性を調べる

Molinspirationとは

以下のサービスを提供するフリーのオンラインサービスである:

Molinspirationは、SMILESとSDfileの変換、分子の正規化、互変異性体の生成、分子の断片化、QSAR、分子モデリング、ドラッグデザインに必要な様々な分子特性の計算、高品質な分子の描写、部分構造と類似性の検索をサポートする分子データベースツールなど、分子の操作と処理をサポートする幅広

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書記のBioInfo日誌#9(2021/08/24) DrugBankで検索

書記のBioInfo日誌#9(2021/08/24) DrugBankで検索

今回は,薬剤に関するDBである「DrugBank」について扱ってみる。

薬剤の検索色々とできることはあるが,今回は最も基本である検索機能について実際に触れてみる。

例として,何かと話題な「レムデシビル」について検索する。

結果がこちら。

では,各欄についてざっと見てみる。

Identification薬剤の概要。

Summary:Remdesivir is a nucleoside a

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書記のBioInfo日誌#8(2021/06/04) 公共DBについて-2

書記のBioInfo日誌#8(2021/06/04) 公共DBについて-2

目的公共データベース(DB)について知る

結果参考文献:

全体像

今回はタンパク質のDBについて。

タンパク質立体構造

・PDBj

大阪大学蛋白質研究所が運営する生体高分子の立体構造およびそれに関連する二次データのデータベース。

参考:

新型コロナウイルスの構造に関する情報が手に入る。

一番上にある「6LU7」(The crystal structure of COVID-19

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書記のBioInfo日誌#7 GEO2Rを用いたマイクロアレイデータ解析(2021/05/15)

書記のBioInfo日誌#7 GEO2Rを用いたマイクロアレイデータ解析(2021/05/15)

目的マイクロアレイデータを解析する

結果以下の動画を参考にした:

参考文献:

Nicotinamide inhibits melanoma in vitro and in vivo

メラノーマ患者におけるナイアシン受容体の発現低下を,遺伝子発現データより調べた,という内容。今回はGEOを用いた解析について扱う。

GEOのトップページ

原発性メラノーマと転移性メラノーマでの発現(GDS3

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