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書記のBio/Chem-Info日誌#11 SWISS-MODELでホモロジーモデリングを行う

アミノ酸配列からタンパク質の立体構造を予測する方法として,類似した構造をテンプレートとして構築するホモロジーモデリングが挙げられる。最近では,無料のホモロジーモデリングのツールも登場している。

今回は,SWISS-MODELを用いたホモロジーモデリングを行う。


参考:


事例

Homology models of mouse and rat estrogen receptor-α ligand-binding domain created by in silico mutagenesis of a human template: molecular docking with 17ß-estradiol, diethylstilbestrol, and paraben analogs


ABST

エストロゲン受容体αリガンド結合ドメイン(ERα-LBD)の結晶構造は,げっ歯類にはなくヒトには存在する,そのため,げっ歯類を用いたERα-LBDへの化合物の結合に関する研究では分子レベルでの解釈やヒトへの外挿に限界があった

げっ歯類とヒトのERα-LBDの塩基配列は95%以上一致していることから,両者の立体構造とリガンド結合は非常によく似ていると考えられた,この仮説を検証するために,ヒトのERα-LBDの構造(PDB 3UUD)をテンプレートにして,ラットとマウスのホモロジーモデルを作成し,種間比較を行った

リガンドをヒトERα-LBDにドッキングさせて算出したリガンド効率は,公表されている実験データとよく相関していた

・これらの結果から,我々が構築したげっ歯類のERα-LBDはヒトの受容体と同様にリガンドと相互作用することがわかり,げっ歯類からヒトへのリガンド-受容体相互作用の外挿に高い信頼性が得られた


今回は,ヒトERα-LBD (Y537S) と17β-エストラジオールの複合体の結晶構造 (PDB 3UUD) をテンプレートに,マウスのERαのタンパク質配列(UniProtKB - P19785 (ESR1_MOUSE)についてホモロジーモデリングを行うこととする。


配列情報の入手

Uniplot経由で,Fastaファイルを入手する。

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これをコピーする。

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Structureの欄をみると,立体構造があるかどうかがわかる。この配列については,AlphaFold2以外には報告がない(後述)。


テンプレートの検索

先ほどコピーしたアミノ酸配列をペーストして,テンプレートを検索する。

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少し待つと,テンプレートの候補が出てくる。

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今回は,LigandsにEST(Estradiol)を含む中で,GMQEが高い「7nel」「2ocf」をテンプレートとして選択する(3uud構造が検索になかったため)。


アラインメントについて。

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モデルの構築

Build modelsをクリックすると,モデルを構築することができる。

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よりGMOEが良いのは「2ocf」モデルであった。

Z-Scoreについて。

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QMEANDisCo Localを見ると,どの部分が信頼できる構造かがわかる。端の方はテンプレートに含まれていないので,当然信頼性は落ちる。また,ループ構造をとる部分は,どうやら信頼性が低いようである。

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リガンドとの相互作用について。

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Structure Assessmentを開くと,品質の確認ができる。

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作成したモデルはpdbファイルで保存できる。


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